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受験生だった人に伝えたい、合格・不合格という結果との向き合い方。塾講師歴23年の著者が考える、合否に”強く固執する”と嵌ってしまう罠の存在

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ただし、このような青年期のアイデンティティの危機に対して、現代社会では一種の対応力を身につけてしまったところがあります。それは、アイデンティティの混乱と危機を、そのままの形で肯定・冗長するコンテンツがネット上に氾濫していることです。SNSを通じて似たような人間同士が集まり、自分と同じような状態の人を探して安心することで、自らの至らなさと向き合うことから目を背け、気持ちのよい居場所に流され続ける人が増えました。

また、YouTubeなどの露悪的な動画コンテンツは、多くの場合、アイデンティティの危機に対する投げやりな反応でしかないのですが、それに共鳴して気休めを得ることで、クソみたいな自分に対するかりそめの自己肯定を得る人も増えました。

これらは、至らない自分を至らないと噛みしめることもないままにただ気持ちいい方に流されるわけですから、そのような状態がその人の変容を生み出すわけがありません。どのタイプかにかかわらず、どうか、自分の至らなさを見ずに済ますような道には進まないでください。いまのあなたは決して「完成形」などではなく、これからのあなたも決して「完成形」などにはならず、あなたはいまのあなたを裏切り続けるのですから、それに翻弄されながら生きることを諦めないでください。

ここまで4つのアイデンティティの型を見てきましたが、どのタイプの人も、最終的に求められるのは、受験という経験を通じて自己と向き合い、自分自身の欲望や動機がどこにあるのかを問い直すことです。そのためのマッピングのために有効な分類をここに示してみました。

受験という出来事を終えたあなたへ

最後に、合格・不合格の話に戻りますが――この文章は受験の合格発表を終えたばかりの具体的な「あの生徒たち」に向けて書かれているものですから――大切なのは、この受験という出来事の全体を、あなたがどのように捉えるかです。

合格という結果は、間違いなく価値のあるものですが、その価値が「他者の評価軸」にまみれていることを見逃すことはできません。この意味では、不合格という経験は、逆説的に、自分がこれまで無意識的に依存してきた他者の評価軸そのものを問い直す貴重な契機になりえます。

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