「子どもが生まれると、価値基準の判断がまったく変わる」。45歳男性が「経済的な理由で子を持たない人」へ伝えたいこと

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三木さんが結婚したのは2010年で32歳、妻は30歳だった。妻から「子どもができにくい身体なんだ」と聞いていたこともあり、1~2年後には不妊治療を始めた。

人工授精まで進んだものの、治療費が一桁増える体外受精まで進むのは難しかった。三木さんは現在のNPO法人を、妻は女性の就労支援を行う団体を立ち上げたばかりで、経済的に厳しかったからだ。

不妊治療で抱いた「違和感」

実際に治療を受けるのは、主に妻。三木さんも一緒に診察を受けたことがあるし、通院中も付き添いで病院にいたのに、なぜか医師は毎回、三木さんへの指示を妻に伝言する。

「精子を取るとか、精子の動きを活発にするプラセンタのサプリを飲んでほしいとか。その場にいたんだから、僕を呼び出してくれればいいのに言わない。言い方に気をつけないと夫が嫌な思いをするかもしれない、と妻は注意されたみたいでした。腫れ物に触るような感覚がすごく嫌でした」

半年以上に及んだ治療期間、一番しんどかったのは、妊娠できなかった結果を聞くとき。「僕も疲弊しますし、妻は僕の何倍もしんどそうで、仕事を休むこともありました」。

治療の終わりは見えないが、「お金と時間と労力がかかる未来だけが見える」。三木さん夫婦は、人工授精でダメだったら1回だけ体外受精に挑戦するか、それともここで断念するか、その都度話し合う濃密な数カ月を過ごした。

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