「選挙の神様」か? 「信条度外視の選挙屋」か? 藤川晋之助氏の急逝で噴出する"毀誉褒貶"の真実

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そうした中で小沢氏の「選挙を手伝ってほしい」との要請で政界に戻り、これまでの経験を生かして政治家の政策立案や選挙支援を手がけるようになったという。その中で、人脈があった自民党・旧田中派や旧民主党の小沢一郎グループ、さらには東京維新の会の選挙サポートを担った。ただ、関係者の多くは「旧来型選挙の担い手だった小沢氏らに体よく利用されてきたのが実態」と解説する。

そうした経緯を踏まえて、藤川氏は2023年に「一般社団法人 藤川選挙戦略研究所」を設立。昨年7月の都知事選で小池百合子知事と蓮舫氏による“女傑対決”に割り込む形で、選挙参謀として石丸氏を2位へと押し上げ、一躍「選挙の神様」に祭り上げられた。

ただ、都知事選後に石丸氏と距離を置いたことで、ネット上では藤川氏を批判する石丸氏の支持者の投稿が目立ち始めた。さらに、選挙期間中のライブ配信をめぐって石丸氏が公選法違反の疑いで刑事告発されたことについて関与を否定するなど、「取り巻く環境も複雑化」(元同僚)していたようだ。

現れそうもない"後継者"

藤川氏の死去を受けて政界関係者の間で注目されているのが「後継者が現れるのか」だ。とりわけ、このところの石破政権の度重なる迷走を受けて、2025年度予算成立後の衆院解散説も飛び交うだけに、中央・地方の政界ともに藤川氏の後継者探しが熱を帯びている。

ただ、選挙専門家の多くは「後継に名乗り出るつもりはない」と口をそろえる。もちろん、藤川氏の後を追って新たに名を挙げようとしている人物は多いとされるが、「選挙の実態を知らずに、付け焼き刃で藤川氏のマネをしても成功する可能性は低い」(有力プランナー)との見方が支配的だ。

このため、「藤川氏と並び称されるような人物は、当分、現れそうもない」(政治ジャーナリスト)というのが実情とみられる。良くも悪くも、藤川氏が唯一無二の選挙参謀だったことは確かなようだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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