川崎にある「SF感が漂う団地」の圧倒される光景 "Yを逆さにした住宅"はなぜ誕生したのか

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内部は斜めの柱が織りなす台形のダイナミックな空間が広がる。

川崎 河原町高層住宅団地
斜めに柱が立つ台形の空間(写真:筆者撮影)

足元は赤色のクッション舗装がされ、広場や体育館を思わせる雰囲気だ。

川崎 河原町高層住宅団地
建物にこんな空間が内包されていたとは……(写真:筆者撮影)

広場に立って見上げると、空が見えた。

内部のほの暗い空間に光が降り注ぐ。風が抜けて心地いい。重厚な建物だが、威圧感は感じられない。

50年以上前に川崎の好立地に誕生

この逆Y字住棟のある河原町団地の歴史は50年以上前へとさかのぼる。

資料によると、この地はもともと工場があり、移転による跡地利用で団地が計画された。

敷地面積は13.7ha、東京ドーム約3個分の広さだ。国鉄(現JR)川崎駅の北西約800mという好立地で、通勤にも便利な職住近接がかなう地だ。

神奈川県と川崎市、県・市住宅供給公社の共同事業で、1970年(昭和45年)から建設が始まった。

計画では、総戸数約3600戸、人口約1万3000人、1ha当たりの人口密度は約1000人。当時の周辺の人口密度は1haあたり400人ほどなので、非常に人口密度の高い団地計画であったことがうかがえる。高層住棟を取り入れた団地で、当時の資料には「河原町高層住宅団地」と記されている。

住棟は15あり、県営住宅棟と市営住宅棟、分譲住宅棟に分かれている。逆Y字の住棟は3棟あり、県営住宅にあたる。

団地内には小学校や保育園、公園、診療所、集会所、店舗などが盛り込まれ、団地はひとつの町として誕生した。

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