アメリカが先導する「ディストピア的世界」の予兆 ビジネス界も多様性に「ノー」と言い始めた

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ともすれば、アメリカのビジネスエリートは、核心的な価値としての多様性を放棄してしまったのだろうか? もしそうだとすれば、ビジネス界においても世界的にDEIの衰退を加速させることになりかねない。それは、アメリカの競争環境を一変させ、国際的な人材にとって魅力的な国ではなくなる可能性もある。

また、この流れは、アメリカの政治家、外交官、経営者が、世界各国との関わりの中で、誰を正当なパートナーと見なし、誰を見下すかといったことにも影響を及ぼすだろう。

西側諸国、特にヨーロッパの同盟国は、本能的に真剣で対等なパートナーと見なされる。一方、アジアやアフリカの国々は、経済的にも技術的にも発展しているにもかかわらず、しばしば「発展途上国」の枠にはめられるだろう。

ただ日本は、歴史的・戦略的な理由から、アメリカが特に緊密な同盟国として扱っていることもあり、アジアの近隣諸国の多くよりも外交的な重みを与えられるだろう。

偏見で他国を格付け

ラテンアメリカは、重要な経済パートナーとしてよりも、むしろ安全保障や移民問題について交渉する国と見られている。アフリカ諸国は急速な経済成長を遂げているにもかかわらず、技術革新やビジネスチャンスではなく、対外援助という観点で語られることが多い。

トランプ大統領が特定の発展途上国を「shithole countries(クソ溜め国家)」と呼んだのは、単なる人種差別的発言ではなく、アメリカの指導者がいまだにメリットや戦略的価値ではなく、時代遅れの人種的・経済的偏見に基づいて国々を格付けしているという明確なシグナルだった。

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