中古物件購入で後悔しない必見"見極め"ポイント 注意したい「見えない劣化」と「契約」のリスク
先述した2種類のシロアリは在来種だが、近年は外来種のアメリカカンザイシロアリが一部地域で生息域を拡大し、深刻な被害をもたらしている。
雨漏り、建物の傾き、シロアリ被害などは、一見しただけでは気づきにくい兆候も多く、専門家でなければ見落としてしまう可能性もある。だからこそ、これらのリスクを事前に把握し、適切な対策を講じるために、購入前のホームインスペクションは非常に有効な手段となる。
プロならば長年の経験と専門知識に加え、専用の機器を用いるため、建物の状態を詳細に把握することが可能だ。その客観的な診断結果は、安心して中古戸建てを購入するための確かな判断材料となるだろう。
また、リフォーム前提の場合でも、まずは現状を把握し、隠れた問題点を洗い出すことで、無駄のないリフォーム計画につなげることができる。
知っておきたい「契約不適合責任免責」のリスク
中古戸建ての購入では、物件の状態だけでなく、契約内容、特に「契約不適合責任」について理解しておく必要がある。
契約不適合責任とは、売買契約後に隠れた不具合や劣化など瑕疵が見つかった場合、売り主が負う責任のこと。通常は引き渡し後3カ月間、売り主が責任を負う。
しかし近年、築年数が古い物件を中心に、「免責」とするケースが増えている。これは、売り主が引き渡し後の不具合について一切責任を負わない、というものだ。免責物件を購入する場合、購入後に問題が見つかっても、すべて自己責任で対処しなければならない。
予算内で理想の住まいを実現できる魅力的な選択肢である中古戸建てだが、こうした契約上のリスクもある。だからこそ、新築以上に慎重に検討する必要があるのも事実だ。
多額の修繕費用がかかる物件を避けるためには、専門家によるホームインスペクションの活用が有効だ。客観的な診断結果は、購入判断の確かな材料となる。
ただし、売り主が居住中の場合などは家具の裏側や床下など、確認できない箇所が出てくる。そのため、ホームインスペクションの結果を参考にしつつも、内見時には建物の外周(基礎や外壁のひび割れ、シミ)、室内(壁や天井のシミ、カビ)、そして可能であれば床下(水漏れやシロアリの痕跡)など、自分自身でもチェックポイントを確認することが重要となる。
また、過去のリフォーム履歴についても、売り主に確認しておこう。そして、契約前には、契約不適合責任が免責になっていないか、必ず確認することも大切だ。
中古住宅の取り引きに関しては、法整備も進んでいる。2018年の宅地建物取引業法改正では、不動産業者に対し、ホームインスペクションに関する説明などが義務付けられた。
さらに、2024年4月の標準媒介契約約款改正では、売り主の告知義務が強化されている。これらの変化は、中古住宅市場の透明性を高め、買い主がより安心して取引できる環境を整えるためのものだ。
中古戸建ての購入は、人生における大きな決断の一つ。専門家のサポートを受けながら、情報収集・内見、契約内容の確認を徹底し、慎重に、そして賢く理想の住まいを手に入れていくことが重要となる。
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