ボルボやアバルトに学ぶ「輸入車」とは何か? EV化が進むメーカーの「うまい車づくり」

✎ 1〜 ✎ 61 ✎ 62 ✎ 63 ✎ 64
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

新しいモデルYで最も注目すべき改良点は、サスペンションだ。テスラ関係者によれば、現行モデルに比べて「かなり乗り味が良い」という。

現行車でも基本構造が同じ「モデル3」の初期版と比べると、乗り心地はかなり柔軟で上質である。それでもまだ、路面から突き上げに対してズシリという乗り味が残っており、ここが大きく改善されたのだと推測する。

いずれにしても、加速感はあいかわらずの迫力だ。停止状態から時速100km(0-100km/h加速)までの加速は4秒台と、スーパーカー並みである。

価格とパフォーマンスのバランスは、いまだにグローバルEV市場でのベンチマークだと感じた。

「いま、アバルトに乗っている」という感覚

続いて、ちょっと目先をかえてイタリアンコンパクトEVのアバルト 500eツーリスモ カブリオレを試してみると、これまた楽しい1台であった。

EVだが擬似的なエキゾーストノート(排気音)でエンジン車のようなフィーリングを味わえる(筆者撮影)
EVだが擬似的なエキゾーストノート(排気音)でエンジン車のようなフィーリングを味わえる(筆者撮影)

14ものブランドを展開するステランティスの中で、アバルトの商品性をしっかり生かしていると感じる。

愛らしいフィアット「500e(チンクエチェントイー)」をベースに、スタイリングやサスペンションをスパルタンな仕様としたモデルだ。

ガソリンエンジンを搭載しなくとも、これまで培ってきた“アバルトらしさ”が上手に引き継がれている。モーターの存在はあまり目立たず、「いま、アバルトに乗っている」という感覚が、クルマ全体から伝わってくるのだ。

全長3675mmと現代のクルマにあってコンパクトなことも特徴(筆者撮影)

一般的にEV専用プラットフォームを持つモデルは、当然だが乗り味・走り味は完全にEV化する。ガソリン車やハイブリッド車と車体を共用するEVであっても、「EVライク」な乗り味・走り味に寄せる手法を取る自動車ブランドが少なくない。

一方でアバルトが取った手法は、EV化の目標を「アバルトらしさを確実にキープすること」に置いたことだ。

次ページV8コルベットの象徴性
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事