アメリカの自壊をプーチン大統領は喜んでいる ソフトパワーを放棄したことの意味

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模範と理想を掲げてリードする、つまりソフトパワーで主導することは、明らかにワシントンでは時代遅れとなっている。それとは対照的にハードパワーによる強要が最近の流れだ。トランプ氏がカナダやデンマーク、パナマといった敵対国ではなく小国や同盟国を脅すという異例のパターンを見れば明らかだ。米国はかつて他国の安全と自由の強化を約束することで他国を引きつけていたが、今では他国を遠ざけている。

世界の強権的指導者の手本に

米国によるソフトパワーの一方的な放棄は、同程度ではないが主な敵対国でのソフトパワーの増大につながっている。それはロシアという国全体よりもプーチン氏という独裁者のソフトパワーの増大であり、世界の強権的指導者の手本となっている。

ずる賢く人の心に干渉することで、プーチン氏は自らのソフトパワーをハンガリーのオルバン首相といった国外の模倣者に対して行使してきた。その最たる例がトランプ大統領だ。

過去80年間の「パックス・アメリカーナ」が歴史上のそれまでの標準と異なり優れていたのは、米国という一国家が多くのソフトパワーを善意を持って行使していたためだ。米国は2025年にソフトパワーを手放した。それは外部からの強制ではなく、米国の大統領が世界の反対側にいるもう一人の指導者が放つ魅惑的だが悪意のあるソフトパワーに引きつけられたからだ。

(アンドレアス・クルス氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

著者:コラムニスト:Andreas Kluth

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