NHKドラマ「脚本の完成前でも対価」に見る"覚悟" 連ドラ界を変える画期的な取り組みが始まった
そうした分析で得た知見を下地に、『3000万』ではドローンやクレーンを使用した俯瞰の視点では撮影せず、登場人物の目線の高さで映像設計することを大事にしたとも。
「自分の隣にいる人が闇バイトの人かもしれないし、自分もいつそちらに転がるかわからない怖さが今の社会にはあると思います。その“日常の隣に闇がある”というのを表現するために、登場人物の目線の高さが大事だと思ったんです。そのほうが実際に人が普段目にする世界になるのでリアリティが増すし、没入感が生まれるんじゃないかなって」
だからこそ登場人物がいま眼の前で起きていることを視聴者が一緒に体感できることになったのだろう。

第2期も募集することが決まった
このようにして出来上がった『3000万』。放送中、評判もいいし、第2弾をやろうかという話が持ち上がり、放送終了後に、WDR第2期を募集することが正式決定された。
「できれば、第2期もやりたいと思っていましたが、一度始めたからには何がなんでも続けないといけないとも思ってはいませんでした。明らかに失敗しているにもかかわらず、意地で継続するようなことは絶対にしたくなかった。
それがありがたいことに評判はよく、第2期をやったらどうかっていう話が局内からも出てきたので、僕たちからももう1回トライしたいですと申し出ました」
そう言いながら、とはいえもう少し一呼吸おきたいという気持ちもあったと保坂さんは笑う。
「オリジナルでゼロから、そして海外ドラマの手法を使って物語を構築することの難しさや、求めているレベルに到達するのは容易ではないことを痛感したばかりだったので、覚悟は必要でした。刺激的ではあるし楽しみですけど、また長い過酷な旅が始まるなという気分でいます」
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