「パナソニックIS流」ITソリューションの強みとは 新オフィスへの移転で加速する外販事業強化

攻めの姿勢を鮮明にする「外販強化推進」
パナソニックISが培ったITソリューションの知見・ノウハウを、DX推進や生成AI活用に悩むすべての企業へ――。
パナソニックグループのIT中核会社として、グループにおける全事業領域の情報システム構築や運用を担っているのが、パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)だ。グループ内のソリューションに主軸を置きつつ、培ったノウハウや技術を外部の企業へこれまでも提供してきた同社が今、「外販」の割合を拡大するべく、積極攻勢をかけている。
外販におけるフロントに立つ、カスタマーサクセス本部でユニットリーダーを務める渡邉 集氏は、その理由についてこう話す。

西日本ソリューション営業部
西日本第一営業所 第1ユニット
ユニットリーダー
渡邉 集氏
「あらゆる業界でDXが飛躍的に普及し、近年では事業推進において生成AIの活用も重要な要素となっています。しかし現実には、自社でどのように活用していけるのか、急速に進化するテクノロジーをどのように取り入れるべきなのか、考えあぐねている企業が多く存在します。そのような企業の皆様に対して、パナソニックグループのDX推進において、当社が培ってきた知見やノウハウを活用していただけると考えています」
パナソニックグループのDXにおける特徴は、長年の歴史をベースとした独自性にある。情報システム部門の歴史はすでに60年以上を数え、先進的な情報技術を積極的に事業に取り入れてきた。そして現在、グループ全社のDXの取り組みとして「Panasonic Transformation(PX)」を掲げ、企業カルチャーの変革と競争力強化を目指している。このPXにおいて、中核的な役割を果たしているのがパナソニックISだ。
グループのDXを進めるうえで最大の課題となっていた、各部門で個別に構築・運用されているシステム基盤の連携とデータ利活用において、社内システムのクラウド化を推進し、データベースの集約化・コスト削減を実現。また国内のパナソニックグループ約9万人の社員に向けて生成AIを導入し、欧州や中国などのグローバル拠点への展開も推進している。
「データを収集するためのシステム基盤の導入から、データ連携・分析、さらにデータの利活用までワンストップで支援できるのが私たちの強みです。PXの推進を通じて得た知見・ノウハウには、お客様の事業を成功に導くために必要な多くの要素が詰まっています。より多くの企業に、その価値を提供していきたいです」(渡邉氏)
例えば同社では、エンタープライズ・データベース・プラットフォーム「Oracle Exadata」(※1)のクラウドベースのマネジメントサービスを提供。ほかにも、同社の経験豊富なデータ分析スペシャリストが現場伴走型のデータ分析ソリューション(※2)により、顧客の経営管理や製造・SCM、マーケティング・セールス、カスタマーサポートといったビジネスのさまざまな場面における課題解決をサポートしている。

西日本ソリューション営業部
西日本第一営業所 第1ユニット
根来 尚希氏
またパナソニックグループという巨大企業群を顧客として、ありとあらゆるITシステムを導入・運用してきた実績と同時に、「ユーザー視点」の知見も有している点がパナソニックISの特徴だ。カスタマーサクセス本部の根来尚希氏も自信を見せる。
「当社では多種多様なITソリューションツールを導入し、グループの各部門のニーズに合わせて最適化してきました。どのように導入してきたのか、導入に当たって課題や困難はどこにあるのかを事例や経験を交えてお話しし、お客様のお悩みに応えるソリューションを提供できると考えています」
外販強化を後押しする大阪本社の移転
パナソニックISの「外販強化」において、もう1つ強力なアドバンテージになるのが、新オフィス「Panasonic XC OSAKA」を活動拠点にしたことだ。2025年2月に同建物に大阪本社を移転し、営業部門、アプリケーション部門、インフラソリューション部門、管理部門を一拠点に集約した。
「それまで当社は大阪エリアに8カ所の主な拠点を擁し、部門によって拠点が分かれていたため、他部門の社員と顔を合わせる機会は限られていました」
そう語るのは、グループカスタマーサクセス本部の加納実樹氏とインフラソリューション本部の白川華氏だ。2人は23年、大阪本社移転プロジェクトの始動に当たり「大阪本社移転ワークショップ」のメンバーに選ばれ、新オフィスのコンセプトづくりから携わってきた。

PIDサポート部 製造基幹システムチーム
加納 実樹氏
「ワークショップでは全部門から集まった約30名のメンバーで、自分たちにとっての『理想の働き方』を考えることからスタートしました。私たちを取り巻く働く環境の課題を深掘りし、そのうえで『理想の働き方』について意見を出し合い、ワークスタイルコンセプトにまとめていきました」(加納氏)
ワークスタイルのコンセプト策定において重視していたのは「個々の能力を最大限に引き出し、多様な働き方を尊重しながら相互に支え合うことで最高のパフォーマンスを実現する」「チーム・組織・お客様を巻き込んでイノベーションを起こす」という2点。その中で導き出されたのが、「楽しむ自分、パナソニックISらしさで新しい価値を生み出す」だった。
「ワークスタイルコンセプト策定後は、その2点をハード・環境・文化の側面からどのように実現するかを考えました。フリーアドレス制の拡充や休憩スペースの増設など、多種多様な働き方を実現し最大限のパフォーマンスを発揮できるオフィスを目指しました。レイアウトや内装・什器に至るまで、徹底的にメンバーと意見を交わしながら、具体的な形に落とし込んでいきました」(加納氏)
大阪本社移転によって、大きく前進すると期待されているのが、部門間連携だ。従来は他部門とコミュニケーションを取る場合、離れた拠点とはオンラインでのやり取りが主となり、スピード感や部門間交流のさらなる活性化が課題となっていた。

プロフェッショナルサービス部
アカウントマネジメントチーム
白川 華氏
「新オフィスではすぐに他部署に赴いて、直接話ができるようになりました。時間短縮になるだけでなく、対面のほうが相手の人となりがわかって、率直に意見を言いやすくなったと感じています。またシステムに不具合が生じた場合など、すぐに関連部署と話ができるので、問題解決のスピードも格段に速くなりました」(白川氏)
また大阪本社移転のメリットは、単に部門が集約されたことにとどまらず、社員の働き方や意識に変化をもたらした点にもあると加納氏は話す。
「例えば、緑にあふれた広々としたコミュニケーションスペースではさまざまな部署の社員と交流できるだけでなく、リフレッシュや新たなアイデアの創出の場にもなっています。また、カジュアルな雰囲気の会議室や打ち合わせスペースを増設したことにより、他部署の人とも気軽に打ち合わせができ、活発に動きやすくなりました」
部門間連携の促進で目指す「両輪での事業拡大」
外販を担当する営業部門にとっても、アプリケーション部門やインフラソリューション部門との距離が近くなったメリットは大きいと根来氏は話す。
「お客様にソリューションを提案する際には営業担当者が要になって、複数の部署をつなぎ、チームで考えていきます。ソリューション部門が同じ場所にいることで、情報共有やフィードバックがいっそう迅速になりました」
また「face to face」でコミュニケーションを取る重要性も実感している。「情報伝達のスピードや生産性が向上するだけでなく、お客様に何を提案したいのか、営業担当者としての『熱量』をエンジニアに伝えられることも大きいと考えています」と語る。
24年度、パナソニックISの外販部門は、過去最高の約200億円を売り上げ、22年度から20%伸長を達成した。加速する事業において目指すのは、パナソニックグループへの内販に並ぶ「2つ目の柱」の構築だ。
「当社全体の売上比率から見れば、外販は内販にまだ及ばないのが現状です。PXをはじめとした、これまでのプロジェクトで培った成果を武器にさらに外販を強化し、内販との両輪でより事業を拡大していきたいと考えています」(渡邉氏)
パナソニックという一大グループのDX推進によって築き上げた知見とノウハウ。そして大阪本社移転による連携強化は、多くの企業に価値をもたらすことが期待される。パナソニックISの動きに今後も注目したい。
(※1)パナソニック インフォメーションシステムズが提供するエンタープライズ・データベース・プラットフォーム「Oracle Exadata」はこちらから
(※2)パナソニック インフォメーションシステムズが提供するビジネス現場伴走型のデータ分析ソリューションはこちらから
パナソニックグループ全社向け社内システムのクラウドデータベース基盤としてOracle Cloud Infrastructureを採用