経営統合破談で注目集まる鴻海の知られざる内憂 カリスマ創業者が「怪しい動き」

日産自動車とホンダが2月13日、経営統合の破談をそれぞれ正式に発表した。日産の内田誠社長は会見の場で「今の経営状況で1社でやっていく難しさもある」「さまざまな方からの提案は前向きに論議したい」と述べており、かねてから日産買収に「重大関心」を抱いてきた台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)にとっては好機到来である。
日産だけでなくホンダも「対象」
「日産の大株主であるルノーとは確かに接触し、保有する日産株についても話した」。鴻海のトップ、ヤング・リウ(劉揚偉)CEOは12日、台湾・新北市の本社でそう記者団に語った。鴻海が日産への関心を公式に明らかにしたのは、これが初めてだ。
しかもこのとき語ったことは、かなり具体的だった。日産については「買収ではなくて、協業をしたい」「例えば日産のような自動車メーカーと協業する機会があるとしても、これまで再三強調してきたとおり鴻海がブランドを持つつもりはない」と言明した。
日産以外の日本の自動車メーカーについても、「複数の企業と接触している。日産もホンダも、私たちが接触している対象に含まれている」「私たちのビジネスモデルはCDMS(Contract Design and Manufacturing Service、受託設計・製造サービス)だ。日本の自動車メーカーとの協業も、このビジネスモデルに基づいてやる」と語った。
また、EV(電気自動車)事業における日本企業との提携は、「この四半期、つまり今後1~2カ月のうちに良いニュースを発表できるだろう」と具体的なスケジュールにまで言及した。近く発表されるこのニュースは日産との協業ではないようだが、日本の自動車業界との提携である。ここで実績を示すことができれば、日産経営陣や、鴻海を遠ざけたい向きのいる経済産業省に対してもアピールができるだろう。
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