「TBS辞めた男」ABEMAで"危険な番組"作る事情 なぜ"命懸けで国境を越える人々"を撮り続けるのか
2022年10月から2023年3月までTBSでレギュラー放送された『不夜城はなぜ回る』は、大前さんが企画・総合演出を務めた番組だ。
真夜中に明かりが灯っている建物「不夜城」で何が行われているのか、大前さん自身が体当たり取材を通じて明らかにするという内容が評判となり、前述の通り2023年1月度のギャラクシー賞を受賞している。
なぜこの異色の番組が誕生したのだろうか。
「僕の趣味が“不夜城探訪”だったんです。趣味を番組にするのはどうなのかなと思っていたのですが、『ラヴィット』でご一緒した構成作家のアリエシュンスケさんから『そこが面白いよ。自分が好きなものを探求していくことが、他の誰にも描けないものなんだ』と言われて。それで自信満々で企画を持って行ったんです」
東野幸治がMCに欠かせないワケ
この番組のMCに東野幸治さんがキャスティングされたのも、大前さんとアリエさんが前々から考えていたことだった。
「僕は大阪出身で東野幸治さんが好きだったんです。それで『東野さんはどうですか?』と、構成に入っていただいたアリエさんに言うと、『東野さんほど映像を見ている人はいないし、相性がいいと思うよ』ということで東野さん一択でキャスティングさせていただきました。東野さんほど仕事でもプライベートでも映像を見ている人はいないんじゃないでしょうか」
実は東野さんは『不夜城はなぜ回る』だけでなく、『国境デスロード』でもMCを務めている。いわば大前作品には欠かせない恩人なのだが、「映像をよく見ている」ということが、番組にどう生かされるのだろうか。
「その映像における根幹を瞬時に読み取るんです。取材してきた僕ですら気づいてないことや見落としていることも、東野さんは気づいている。
たとえば、『不夜城はなぜ回る』で寒天を作るおじいちゃんたちのVTRを作ったことがありました。出稼ぎ労働で県外から3カ月だけ住み込みで働いていらっしゃった方々なんですけど、昼飯休憩のときにお互い照れくさいのか距離感が絶妙で、ちょっとだけ座り位置が”ハ”の字になってたんです。
すると東野さんがVTRを見て、『おじさん2人が飯を食うとやっぱり”ハ”の字になるんやな』とボソッと言っていて。確かにそうだなと気づかされました。
東野さんは取材相手にリスペクトを置いたうえで絶妙にいじるのが本当にうまい。映像からいろいろと汲み取って、ディレクターがほしいなと思うリアクションをしてくださるので、いつも助けられています」
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