地方の鉄道会社が執念で成功「誠実ビジホ」の実態 ものづくりの境地?静鉄ホテルプレジオの凄み

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ベンチマークとしたのは、ダイワロイネットホテルや三井ガーデンホテルだ。「狭くて泊まるだけのホテル」ではなく「快適空間をしっかりと確保した、ワンランク上のホテル」を目指したという。

ものづくりと言えば製造業が思い浮かぶが、本連載をしているとビジネスホテル運営会社にも、筆者は同じことを感じる。ただ、その中でも静鉄ホテルプレジオの担当者たちには“執念”のようなものを感じた。もちろん、褒め言葉として、である。

静岡鉄道 路面電車
1919年、創業当時の静岡鉄道。当時は路面電車も走っていた(写真提供:静岡鉄道)

加えて建設の際に軸となったのは、経営理念の1つ「安全、安心」だ。安全、安心は目に見えにくいが、想定される南海トラフなどの地震が起きたときに内部を守れる免震構造を、8ホテル中5施設で採用。防災備蓄もしっかり備えた。

大量生産ではない、柔軟かつ丁寧なホテル設計

さらに客室設計においては、静岡鉄道の社是「誠実」と、これも経営理念にある「快適のあくなき追求」を重要視。一軒一軒、立地やゲスト層に合わせ、「この地域はインバウンドが多いからベッドを大きくしよう」など、オーダーメイドで設計・デザインを変えて8軒を造った。

実はこの姿勢は、静岡鉄道の車両にも通じている。現在のモデルであるA3000形の車両は、ゲストが快適に乗車できるデザイン性と環境を考慮して、2016~2024年の間に12パターンもの車両構成が導入されているのだ。

「グループ全事業でお客様や従業員に誠実に向き合っています」という山本さんの言葉に、「誠実」という社是がくっきりと浮かび上がる。

静岡鉄道
12パターンの車両構成が導入されている、A3000形の車両(写真提供:静岡鉄道)
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