BPOでリクルートスタッフィングが選ばれる理由 顧客からは「なくてはならない存在」と評価
非IT×非定型業務で強みを発揮
BPO市場は2028年度には5.7兆円規模まで拡大が予測される。ただ、これまでの成長速度には差があり、IT系業務が順調に伸びている一方、コールセンターや経理など非IT系業務の伸びは緩やかだ※。非IT系の中でもとくに非定型業務は属人的であり、BPO市場への取り込みが遅れている。
この課題に取り組んでいるのがリクルートスタッフィングだ。もともと人材派遣を柱にしていた同社は、2年前から非定型業務BPOを本格的に強化。BPOに向かないといわれる非IT×非定型業務も積極的に受託し、多くの顧客から好評を得ている。
リクルートスタッフィングの強みは3つある。1つ目は、スタッフの定着率の高さ。個々のスタッフのモチベーションやキャリアを重視する人材マネジメントで、定着率96%(23年度実績、同社調べ)を実現している。
2つ目が、業務設計力だ。プロジェクトデザイナーが属人的な非定型業務を可視化し、業務フローを再設計している。
そして3つ目が継続的な業務改善。効率化のための提案を継続的に行い、顧客の生産性向上を追求している。これらの強みは、具体的にどのような場面で発揮されているのか。業界の違う2社のケースで確認していこう。
繁閑差が大きいEV充電インフラサービス事業
EVの普及とともに業務量が急激に増えている会社がある。EV充電スポットを整備し、充電サービスを提供するe-Mobility Powerだ。
同社は「いつでも、どこでも、誰もが使える、リーズナブルな充電サービスを、すべてのモビリティに。」をミッションに掲げ、EV充電インフラの開発に取り組んでいる。充電ネットワーク全体の充電器数は約2万3500口に達しており、日本最大級の設置運用数を誇る(2024年10月末時点、同社調べ)。
ただ、業容拡大に当たって課題を抱えていた。補助金申請時期の関係から業務の繁閑の差が大きく、人員の調整に苦労していたのだ。リクルートスタッフィングのプロジェクトマネジャーである村松政弘氏はこう解説する。
「EV充電スポットの整備には国や自治体から補助金が出ます。例年、単年度の補助金は申請、交付~設置報告の期間が限られているため、そのスケジュールに応じてどうしても業務が集中してしまう。
同社では繁忙期になると、受付・システム登録業務を担うオペレーション部は担当する社員、派遣スタッフを総動員して対応されていましたが、業務の繁閑に合わせた要員調整が困難という悩みを抱えていました」
e-Mobility Powerは業務委託で人員の平準化を図ることを検討。BPOサービスを提供する複数社でコンペを行った。これまでの実績や要員調整力、導入スケジュールのスピード感などが評価され、リクルートスタッフィングへの委託が決まった。
委託する業務を整理できていなくてもOK
BPO導入には壁もあった。EV普及のスピードが速いため、各種業務にはマニュアルが存在しているものの、ざっくりしたものから詳細なものまで粒度に違いがあり、一部業務は属人的に実施されているものもあった。
そこで頼りになるのがリクルートスタッフィングの業務設計力だ。同社には、さまざまなキャリアを持ったプロジェクトデザイナーが約30人在籍している。その中からアサインされた担当者が顧客への詳細なヒアリングを実施し、属人化していた業務を可視化する。
そのため、顧客自身が委託する業務を整理できていなくても問題ない。本件の業務設計を担当したプロジェクトデザイナーの村賀華奈子氏は次のように語る。
「今回は計10時間に及ぶ業務調査を実施。業務を大・中・小項目で分類し、それぞれの業務について発生する起点や頻度、所要時間、委託化する場合の課題などを整理して、その内容を顧客と共有しました」
単に現状を可視化するだけではない。無駄の多い業務があれば、効率化の提案も行う。例えばe-Mobility Powerでは毎月150枚の請求書発行業務があった。以前は請求書をPDFに書き出してメールで送付していたが、この作業をすべて自動化することで効率化したのだ。
「効率化すれば人手が要らなくなり、私たちから見ると提案は機会損失につながるおそれがあります。しかし、顧客の生産性向上に貢献すれば、信頼関係が構築されて委託していただける業務が増えるかもしれない。中長期的な視点で顧客に提案しています」(村賀氏)
実際、e-Mobility Powerのプロジェクトは委託業務が拡大している。2024年4月にスタートしたときは管理者1人、スタッフ2人体制だったが、同年11月時点でスタッフが5人に。オペレーションの生産性も向上している。
EV充電インフラ事業を担う当社は、自社設置のほか、保守運用の受託を含めた管理充電器数が飛躍的に増加していました。
その中で、受付・登録・請求など運用業務のオペレーション体制の構築が課題でした。さらなる充電器数の増加を見据え、2024年4月から業務委託を開始しました。
マニュアル化、スタッフ教育、確実な実施体制をベースにした仕事ぶりを目にして、今ではなくてはならない存在として心から信頼しています。タスクの実施時間の可視化によって改善点が明らかになったことで、当社スタッフと協働した効率化の取り組みも着々と進み、期待以上の成果が得られています。安定稼働と効率的な業務実施の両立を実現できるパートナーとして、今後も大きな期待を寄せています。
ミスが起きないマニュアル作りに一工夫
非定型業務について中長期的に委託化を拡大した例では、住信SBIネット銀行のケースも注目したい。ネット銀行が取り扱う金融商品は多品種であり、商品によって業務フローが異なる。
住信SBIネット銀行は派遣社員でデータ入力などのノンコア業務に対応していたが、業務が複雑ゆえに派遣スタッフの育成が追いつかず、業務が逼迫する傾向に。
BPOの活用を検討した同社が選んだのはリクルートスタッフィングだった。プロジェクトマネジャーの渡辺大斗氏は委託化についてこう語る。
「当社は派遣スタッフも含めて人材募集力が強く、適材適所で人材を配置できる点を高く評価していただきました。また、それまでマニュアルに落とし込まれていなかったイレギュラーなケースも私たちでマニュアル化。
非定型だったものを定型化して、それを顧客に使っていただける形にすることにも期待は大きかったと聞いています」
非定型だった業務にはどのようなものがあったのか。スーパーバイザーの内山大地氏に具体例を挙げてもらった。
「当初は、取引先からのメールの内容をスタッフ自身が判断し、業務を行わなくてはいけないケースが多発しており、ミスにつながる事象が頻繁に発生していました。
そこで判断ミスが起きないようにマニュアルを詳細なところまで整備。運用フローの動線を可視化し、リンクを貼るなどして、スタッフがより使いやすいものにすることに注力しました」
工数を開示することで相談しやすい環境に
使いやすいマニュアルを作成した成果は早速出ている。業務委託は2023年9月にスタートしたが、それから約1年でミスはほぼゼロだった。サービス品質の高さもあって、委託化の業務も拡大。
スタート時は2部門にまたがる10のうち3グループからの委託で始まった。その後、顧客社内で改組があり10から5グループとなったが、今ではその5グループすべてから業務を受託している。拡大した理由について、渡辺氏は次のように分析する。
「毎月の定期報告会で実績や私たちが受託できる工数について定量的に確認していました。それがベースにあったからこそ、すでに受託をしていた部署から別の部署に社員の方の異動があったタイミングなどで声をかけていただけたと認識しています」
2社の事例から読み取れるように、属人化していて顧客の社内でも把握し切れていない業務を、整理して引き受けられる柔軟性がリクルートスタッフィングの強みだ。渡辺氏はBPO導入を検討中の企業に向けてこうメッセージを送る。
「業務を棚卸しする必要性を認識しつつも、日々の忙しさからそこに時間を割くことができず、BPO会社に委託しづらいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。リクルートスタッフィングなら、業務を可視化するプロセス設計からお手伝いができます。
BPOはサービス業だと考えています。今後も型どおりのものを提供するだけでなく、顧客が何を望んでいるのかをくみ取りながら、各社のニーズ、期待に合ったサービス価値を提供していきたいですね」
リクルートスタッフィングに委託したメリットは大きく2つあります。まず1つ目は固定業務を委託したことで、社員が売り上げ拡大のためのコア業務に注力できるようになったこと。2つ目は、属人化していた業務内容や工数がマニュアル化によって可視化され、管理がしやすくなった点です。
こまやかな気遣いにも助かっています。当社側の確認や承認が必要な際は、こちらのスケジュールを見て連絡をいただけるので、テンポよく対応ができています。
成長過程にあるネット銀行は日々新しい業務が発生しますが、そうした中でも相談をすればスピーディーに対応してくれるうえ、ミスもありません。心強いパートナーとして信頼していますので、今後も伴走していただければと思っています。