青山学院大学、自由な発想で使える新図書館開館 未来のリーダーは学びの「ハブ」から生まれる
150周年を記念した新たな知の拠点「マクレイ記念館」
キリスト教を教育の土台とする青山学院は、開学以来、多くの卒業生を輩出し、サーバント・リーダーの育成に力を注いできた。このリーダー像は、他者との違いを認め、広い視野で社会に貢献する姿勢を備えたものであり、今まさに社会で求められているもの。そうした人材育成を行う中で、マクレイ記念館での新しい知との出会いが、学生の成長にどのように貢献するのかが注目されている。
青山学院創立150周年記念事業として、2024年春に「マクレイ記念館」を開館。青山学院の3つの源流の1つである「美會神学校」の創立者で、青山学院初代院長、ロバート・S・マクレイの名を冠し、新たな知の拠点として教育研究の中核施設となる。図書館長の伊達直之教授は新しい図書館の特長をこう明かす。
「『進化する図書館』というコンセプトにこだわっています。生成AIの登場など、想像のつかないスピードでICTが進化しています。開館時に図書館が完成形であったなら、加速度的に進化する技術についていけずに古びてしまう。時代に合わせて図書館自体が進化できるよう、可変性のある設計にしようと、議論してきました」
知のスパイラルが生まれるフロア構造
マクレイ記念館は図書館、情報メディアセンター、アカデミックライティングセンターから成る総合的な学術情報施設だ。地下1階と1階は「知との出会い」を実現する語学や最先端ICTを学べる情報学習フロア。2~6階は図書館エリアで、「知を拡げる」ための文献を多数所蔵しているほか、学生同士で学び合えるラーニングコモンズや、「知を深める」ための専門的な文献や研究個室なども用意。フロアごとに多様な「知」との向き合い方ができるように工夫されている。
「一人で身に付ける専門知識には限界があります。他者と交わることで学際的な視点を得て、また知を究める。この『知のスパイラル』が生まれる構造をベースにマクレイ記念館を設計しています。各フロアには3つの用途に分かれた学習スペース『Aisle(アイル)』を設け、メリハリの効いた使い方が自然にできるようデザインしました」
環境や防災に配慮されていることも特長の1つだ。フロアごとに吹き抜けや階段の位置をずらしながら積層する構造で、吹き抜け部分の上昇気流を活用した「自然換気システム」によって、空調熱源をほぼ使わずに館内を約26度以下に保つ。さらに「ブレース」という耐震部材を採用して、建築基準法で定められた性能の1.25倍の耐震性能を確保している。
学生の知的相乗効果を生む場!
知のスパイラルを生む重要なトリガーは他者との知的な出会いだ。だからこそ、マクレイ記念館は学生たちが気軽に立ち寄れる場でなければならない。4月の開館から8月末までで延べ32.4万人が訪れ、前年同期比3倍を超える。
「隣接する教室棟と渡り廊下でつながっており、授業が終わるたびにマクレイ記念館に立ち寄る学生が多く、学生生活のハブになっていることを実感します」
グループ学習室は1週間前から予約可能だが、授業ではなく主体的に利用する学生たちですぐに8~9割方埋まるという。ラーニングコモンズも盛況だ。
「ラーニングコモンズでアイデア出しや議論を行う学生起業家もいます。その様子をたまたま見た学生が仲間に加わったという話も聞きました。マクレイ記念館は、単なる図書館ではなく、書籍などから得た知識を仲間に紹介し、そこから生まれた発想をさらに膨らませる場所。学生には今後も私たちが想定しなかった自由な利用方法を編み出していってほしいです」
最後に伊達図書館長は青山学院大学への進学を検討している高校生やその保護者に向けてメッセージをくれた。
「本学の卒業生の多くは『主体的な行動力』や『高いコミュニケーション力』が評価されています。それは、学生時代にしっかり他者と知を交わし、知識や専門性のみならず、人生をよく生きるための学びができているからです。これから本学で学ぶ皆さんには、マクレイ記念館で生涯の仲間と学びを楽しみ、自分の人生のための学問を身に付けていただきたいです」
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