石破首相の勝敗ライン「自公で過半数」の難しさ 党首討論で野田氏と「がっぷり四つの論戦」展開
この党首討論に先立ち、政府は9日午前の臨時閣議で衆院解散を決定。これを受け党首討論から間を置かず、午後3時半に解散のための衆院本会議が設定された。しかし、野党側がその直前に内閣不信任決議案を提出したため、本会議開始が約30分間遅れるという異例の事態ともなった。
官邸会見で「勝敗ラインは自公で過半数」と明言
こうした解散までの経過も踏まえ、石破首相は9日夜、首相官邸で会見し、“裏金議員”の公認問題も含め、衆院選に臨む自らの姿勢をアピールしたが、その中で今回の解散を「日本創生解散」と命名してみせた。さらに、勝敗ラインについては「自公両党での過半数(233議席)の獲得」と明言した。
この勝敗ラインは、2012年暮れの第2次安倍政権発足以来、安倍晋三(故人)、菅義偉、岸田文雄各首相が掲げたものと同じだ。ただ、「これまでは簡単に超えられるハードルだったが、今回ばかりは身長を超える高さとなる」(自民選対)との見方も多く、多くの選挙専門家の事前予想でも「自公過半数割れの可能性は少なくない」(有力アナリスト)との指摘が出ている。このため、与党内に「自公過半数割れとなったら、石破首相の責任が厳しく問われ、政局が大混乱に陥る」(閣僚経験者)との不穏な臆測も広がる。
そうした状況の中、石破首相は10日午前0時過ぎに政府専用機で飛び立った。就任後初の首脳外交のための外国訪問となるASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議などに出席するためで、10日朝には開催国のラオスに到着した。石破首相は同首脳会議に合わせて、韓国や中国などとの首脳会談も行い、各国の首脳との関係構築を図りたい考えで、帰国は12日朝となる予定。
これに先立ち、石破首相は9日夜、首相官邸で記者団に対し「日本とASEANは信頼のパートナーであり、関係をさらに強化し、安全保障分野などでの協力をさらに進めたい」と石破外交への意欲と自信をアピールした。
ただ、石破首相にとって、衆院解散直後の外国出張となることに加え、帰国後の12日午後には日本記者クラブ主催の「党首討論会」が設定されているなど、「超過密スケジュール」(外務省幹部)を余儀なくされる。党首討論後の衆院本会議ではあくびをかみ殺す場面もあり、疲労の色は隠せなかった。
このため、官邸筋も「帰国直後から遊説日程が詰まっており、体力が続くかどうか」と不安を隠せず、石破首相にとって、自らが決断した「10・27衆院選」までの半月余りは「まさに死に物狂いで戦うしかない」(側近)こととなることは間違いなさそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら