住友商事、LinkedInラーニングで育成手法を革新 「自ら学び続ける人財」を育てる人財戦略

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2024年10月に、政府はリスキリングを支援する「専門実践教育訓練給付金」の助成率を、最大70%から80%に引き上げる。リスキリングは国をあげて注目する分野であり、企業もリスキリングを行うことで人的資本経営を強化したり、競争力の維持・向上を目指したりする動きがある。そうした中、住友商事では2024年4月から「LinkedIn(リンクトイン)ラーニング」を導入。導入後の初月ログインが約80%に上り、社員も高い関心を寄せている。社員の学びに対する考え方や学びを促進する工夫について、住友商事 執行役員(人事担当)の中澤佳子氏と、リンクトイン日本代表の田中若菜氏が語る。

世界で戦う総合商社が求める
「進化する人財」の条件

――住友商事は63の国と地域で、さまざまなジャンルのビジネスを展開しています。幅広い分野で新しい時代に対応する競争力の源泉はどのようなところにあるのでしょうか?

中澤 佳子氏(以下、中澤)社員一人ひとりが持つ知識とスキルは、まさに最も重要な資産です。とくに、世界中で多様なビジネスを展開するにあたって、各地の特性に合わせて柔軟に対応しなければなりません。だからこそ、社員の「学び」や成長が企業の競争力に直結すると考えています。

住友商事 執行役員(人事担当)の中澤佳子氏
中澤 佳子 
住友商事 執行役員(人事担当)

――デジタル技術の進展も企業の競争力に影響を与えるようになっているかと思います。

中澤 確かに非常に速いスピードで進化するIT技術の浸透と、予測不可能で複雑化するビジネス環境における課題に直面しています。住友商事ではAIやビッグデータの活用、サプライチェーンのデジタル化など、新技術への対応が求められています。こうした状況下では、社員一人ひとりが常に最新の知識を身に付け、1つの経験からより多くを学んで、自己成長を続ける必要があるでしょう。

――住友商事では、社員のスキルアップを積極的にサポートされていると伺いました。

中澤 大人が学ぼうと思うのは、「自分の世界に対する理解を変えなければならない」と気づいたときです。忙しい日常の中で、これまでの経験だけでは対処できないと感じたときに、「どうすればいいのか」と悩む瞬間が訪れます。そうしたギャップを感じ、現状では立ち行かないと認識したときこそ、学びを意識します。つまり学びたいと思ったとき、その学習を支える仕組みを用意することに、私たちは力を入れています。

導入した研修ツールの利用率は約8割

住友商事 執行役員(人事担当)の中澤佳子氏

――どのように内発的な学びの意欲を引き出し、サポートしているのでしょうか?

中澤 社員の自発的な学びの意欲を支えるためには、環境を整えるのが重要だと考えています。そこで今年、強力なツールとしてLinkedInラーニングを導入しました。私たちはLinkedInラーニングを導入することで、2つの目的を達成することを目指しています。

1つ目は、全社員が共通して持つべき基礎的なスキルや知識を習得してもらうことです。例えば、DX・ITの基本的な知識などが挙げられます。また、全ラインマネージャーに共通に身に付けてほしい内容もあります。LinkedInラーニングは膨大なコンテンツ量なので、人事チームで事前にコンテンツを視聴して優先度の高いものを絞り込んで社員にリストを提供しました。また、モバイルアプリでの利用を前提として、隙間時間を利用して学べるようにしています。

2つ目は、社員が直接的な経験を通じて学んだことをより深くリフレクションし、それを新たな状況に応用可能な知識として抽象化する力をつけることです。例えば、海外赴任前に集合研修を行い、その後も現地での学びを続けるためにLinkedInラーニングを活用しています。これにより、社員は現地で遭遇するさまざまな状況に対して柔軟に対応できる力を養うことができます。

田中 若菜氏(以下、田中) 1つ目の学習の促進にモバイルアプリ利用を推奨するのはとてもいいアイデアですね。LinkedInラーニングでは縦型動画や隙間時間に見られる3-5分程度のコンテンツも用意しています。私たちは、学びを習慣化できる環境づくりに役立つツールであるために、日々アップデートしています。例えば、AI技術を活用した個別化学習の機能はLinkedInが保有するさまざまな人材・スキルデータとビジネストレンドをもとに、各ビジネスパーソンに必要なカリキュラムを提案できます。

リンクトイン日本代表の田中若菜氏
田中 若菜
リンクトイン日本代表

中澤さんのおっしゃった2つ目の目的についても、LinkedInラーニングは複数の言語でダイバーシティやESGなどのテーマも用意しているのでさまざまな環境で働く住友商事さんのような企業でも、社員の好奇心を刺激するコンテンツがそろっていると自負しています。

中澤 LinkedInラーニングの導入効果については、社員がどれだけ登録しているか、どれだけ利用しているかを計測しています。今のところ、導入後1カ月でアクティベーション率が78.8%に達しており、想定を超える結果を得られています。社員全体で学びを進め、学ぶことがあたりまえになるようにLinkedInラーニングを活用したこともこの結果に結びついていると思います。

「学び」が企業価値をつくる
自律的学習環境の重要性

――継続的な学びの文化を醸成することで、結果的に企業の価値向上にもつながりそうです

中澤 おっしゃるとおりです。住友商事では、人的資本を最大限に活用することが企業の競争力を維持し、持続的な成長のために不可欠であると考えています。

――ちなみに、社員に対してとくに成長を期待している分野はありますか?

中澤 それは1つの経験から多くを学び、ほかの新たな課題を解決する応用力です。このスキルは肌感覚でしかわからないものだと思われがちですが、そうではありません。例えばひと呼吸置いて振り返り、セオリーを学び体系立てて整理すれば、新たな発見も生まれ、実践現場で過去の経験を応用しやすくなります。実はLinkedInラーニングでは、経験を体系立てて整理するための高品質な講座や、浸透と発展が早い生成AIやデジタル分野の講座が豊富で、当社にフィットしていると思います。

リンクトイン日本代表の田中若菜氏

田中 私もLinkedInラーニングで交渉力を向上する講座を学び、実践しているので共感しました。私たちは利用者のニーズに応え、リーダーシップ、生成AI、サイバーセキュリティなどのコンテンツを今後さらに増やす予定です。また、より高品質な講座を提供するために2024年8月、世界3拠点目となるライブアクションステージ形式の制作スタジオを開設しました。

――実際にスタジオを見学しましたが、講師が最大のパフォーマンスを発揮できる環境づくりの工夫が凝らされていますね

田中 制作スタジオは1つのライブアクションスタジオと7つの収録ブースから成り、4Kカメラや自在に設定可能な照明器具など本格的な機材を設置しています。カメラ位置に字幕画面を配置し、講師と目線が合うように工夫を施すなど細部にもこだわり、講師がその場で教えてくれているようなコンテンツの提供を目指しています。

学びを深められる環境を整えることは、企業全体のエンゲージメントを高めることにもつながります。LinkedInラーニングはそのための強力なツールであり、企業の成長をサポートする力となると確信しています。
⇒法人向け「LinkedInラーニング」について詳しくはこちら