けいゆう病院が目指す「愛と思いやりのある医療」 患者・職員に「やさしい」環境づくりの工夫とは

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医療の現場は、少子高齢化や人手不足によって厳しさを増す状況にある。そんな中、現状の課題に向き合いながら、患者や医療従事者に寄り添う取り組みに力を入れているのが、横浜・みなとみらい地区にあるけいゆう病院だ。アナウンサーの魚住りえ氏を聞き手として、けいゆう病院院長の松本秀年氏と、同院のDXを支援するネットワーク機器メーカーのアライドテレシス 代表取締役専務の佐藤朝紀氏が、具体的な取り組みについて語り合った。

多様なニーズに対応してきた「約90年」の歴史ある病院

魚住 はじめに、けいゆう病院がどのような病院なのかについて教えてください。

松本 けいゆう病院は、1934年に警察官・警察職員向けの病院として、横浜市中区山下町に開院しました。地域の中核病院として医療を提供してきた、約90年の歴史と伝統を持つ病院です。

けいゆう病院 院長 松本 秀年氏
けいゆう病院 院長 
松本 秀年

96年には、みなとみらい21地区に移転しました。地域医療支援病院として、いかなる病院に通院されている患者さんも「地域の患者さん」と見なし、地域連携ホットラインによる救急、準救急患者の要請に対してスムーズな受け入れを行っています。

当院は災害拠点病院でもあり、神奈川DMAT(災害派遣医療チーム)指定病院として災害医療にも積極的に取り組んでいます。今年発生した能登半島地震に際しては、DMAT隊員を5名派遣しました。

また、神奈川県がん診療連携指定病院としてがん診療にも注力しています。今年度は外来化学療法室をリニューアルし、患者さんが働きながらでも治療を受けやすい環境を整えました。

そのほか、無料のがん相談支援や患者サロンを備え、リンパ浮腫を発症している方のセルフケアもサポートするなど、患者さんに寄り添う取り組みを行っています。

魚住 地域の中核を担う病院として発展してこられたのですね。けいゆう病院はアメニティー、ホスピタリティー、インターナショナリティーという3つのメインテーマを掲げておられますが、その根底にはどのようなお考えがあるのでしょうか。

松本 理念にあるのは、「愛と思いやりの心で接する医療」です。患者さんにやさしく、職員にもやさしい病院でありたいと思っています。

患者さんやそのご家族から信頼していただくためにも、思いやりの心が根底にある医療が重要だと考えており、快適な院内環境の下に先端の医療設備を整え、国内外の要人や外国人への対応もできる病院を目指しています。

「患者の心に寄り添う」院内環境づくりのこだわり

魚住 患者さんの心に寄り添う医療を大切にされているのですね。けいゆう病院はみなとみらい駅から近く、アクセスがいいと思いました。立地や院内の環境づくりにもこだわりがあるのでしょうか。

松本 みなとみらいの海が見渡せる高層階からの眺望は、当院の大きな特徴です。また、1階から6階まで立ち上がる吹き抜けのエントランスや、フロアによっては患者さんが家族でゆっくり待機できる広々としたロビーがあり、明るく開放的な雰囲気があります。

けいゆう病院の特徴
みなとみらいにあるけいゆう病院。高層階から見える景色や光が差し込むロビーなどが特徴だ

環境づくりにおいては、不安を抱えながら来院する患者さんを少しでも和ませられることを目指して取り組んでいます。

その一つが、図書室や保育園を備えていることです。図書室は患者さんご自身が図書を通して病気や治療法などについて調べたり、理解を深めたりすることに役立てていただいています。

保育園では、患者さんのお子さんの一時預かりに対応しています。また現在は院内の緑化を構想しており、患者さんやご家族がより快適に過ごせるような環境づくりを行っていく考えです。

アナウンサー 魚住 りえ氏
アナウンサー
魚住 りえ

魚住 医療を受けるだけにとどまらない、ホスピタリティーに富んだ病院だと感じました。先端の医療機器も整えられているとのことですが。

松本 2019年に手術支援ロボットを導入し、体への負担が少ない低侵襲の治療が可能となりました。現在は胃がん、大腸がん、直腸がん、婦人科系の子宮筋腫などの手術に広く使用しています。

また、IMRTと呼ばれる強度変調放射線治療の新しい装置も導入しています。IMRTは放射線をコンピューターで操作し、正常な組織への影響を最小限に抑えつつ、がんの部分だけに集中して照射する技術です。

さらに、24年度には3テスラMRIも導入しました。3テスラMRIは、一般的に利用される1.5テスラMRIに比べて、より解像度の高い画像の撮影が可能になります。

魚住 患者さんの治療を第一に考えて、さまざまなアップデートに取り組まれているのですね。

医療DXの推進が患者ケアの向上にもつながる

魚住 デジタル活用にも積極的と伺いました。1階のロビーには、お会計の後払いや、スマートフォンで診察案内をするデジタルサービスもありましたが、こうしたデジタル活用はどのようなお考えの下、推進されているのでしょうか。

松本 医療費後払いシステムは患者さんの会計の待ち時間をゼロにし、モバイル診療案内では診察の待ち時間を有効活用いただけます。ともに、患者さんや付き添いの方の利用のしやすさ、快適性の向上などを目指して取り入れたものです。そのほかにも自動精算機が5台稼働しています。

魚住 デジタルの活用も通じて、患者さんが快適に過ごせるように工夫されているのですね。デジタルの活用にはネットワークの専門家の助けも必要かと思いますが、アライドテレシスは、けいゆう病院をはじめ医療機関のお客様を多数支援してこられています。医療機関に対するこれまでのお取り組みをお聞かせいただけますか。

アライドテレシス 代表取締役専務 佐藤 朝紀氏
アライドテレシス
代表取締役専務
佐藤 朝紀

佐藤 私どもはネットワーク機器の専業メーカーとして、創業以来約37年にわたり、ネットワーク機器をはじめITインフラ全体に対するトータルソリューションを提供してまいりました。

医療機関のお客様に対しては、近年の電子カルテの普及に伴い急速に進む医療IT化の中で、院内にある各部門のシステムの情報連携に向けて、院内全体の統合ネットワークをご提案する機会が増えています。

魚住 最近は医療現場でもDXの必要性が高まっているのでしょうか。

佐藤 医療DXは長時間労働や人手不足の課題を解決するために重要です。デジタル技術を活用することで、情報の一元管理や業務の効率化を進めることができます。

そのためにはまず各医療機関の皆様が互いに情報を共有し、実践的な知見を収集することが大切だと考え、当社は2010年に、医療従事者が集うユーザー会を設立しました。

年に2回ほど情報共有や課題解決の場として、ネットワークインフラや電子カルテ、セキュリティ対策などのテーマについて参加者同士が議論や情報交換を行い、実際の現場での問題解決をご支援しています。24年7月時点で470名、378施設の医療機関の方々に会員になっていただいています。

魚住 医療機関の間で情報を共有しながらDXの推進をサポートされているのですね。けいゆう病院では医療DXについて、どのようにお考えでしょうか。

松本 当院でも、医療DXによる職員の業務効率化や生産性向上に取り組んでいます。最近では看護師向けにスマホ200台を導入し、看護記録の音声入力を試験的に行っています。医療DXを進めることで、医療従事者が患者さんに対して使える時間が増えれば、患者さんのケアの向上にもつながると思っています。

魚住 少子高齢化の進展や働き手の不足などにより、医療を取り巻く環境が厳しくなる中で、医療DXはとても重要になりそうです。

「愛と思いやりの心で接する医療」の実践へ

魚住 最後に、けいゆう病院ではどのような医療を地域の皆様に届けていきたいとお考えでしょうか。

松本 地域住民の皆様や先生方のご要望にお応えして、「愛と思いやりの心で接する医療」を実践していきたいと考えています。そのためには、病院全体で一つの方向に向かって進んでいく必要があり、院内の各部門が横で連携することが欠かせません。

医療DXではぜひアライドテレシスさんの手もお借りして、患者さんによりよい医療をお届けできるようにしていきたいですね。

魚住 これからも地域医療の発展に寄与されることを期待しています。アライドテレシスの展望もお聞かせください。

佐藤 当社が培ってきた経験とナレッジを皆様にわかりやすくご説明し、安心・安全な医療情報システムを提供していくことが当社の使命と考えております。これからもけいゆう病院様をはじめとする医療現場の皆様に寄り添いながら、課題の共有、解決策の提案など、当社の強みを生かして地域密着の体制でサポートしてまいります。

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(左から)アナウンサーの魚住氏、けいゆう病院院長の松本氏、アライドテレシス代表取締役専務の佐藤氏