14週連続で増加「手足口病」で知っておきたいこと 症状や治療法、感染対策について詳しく解説

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

第2のポイントは、一部の子どもは口腔病変が潰瘍(かいよう)化して口内炎を発症し、強い痛みを生じることだ。重症例では唾液が飲み込めず、よだれが多くなる。

高橋医師は、「塩からいものや酸っぱいもの、温かいものは痛みの感じ方を強めるので、できるだけ避けたほうがいい。自分が口内炎になったときを思い出して、薄味のお粥を作り、冷ましてからあげてほしい」と言う。

登校再開のタイミングは?

最後のポイントは登校再開のタイミングだ。

わが国では一部の感染症に対し、学校保健安全法で出席停止の期間を定めている。例えば、インフルエンザは発症した後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児で3日)を経過するまで、麻疹は解熱後3日を経過するまで、学校に行けない。

手足口病はどうかというと、学校保健安全法に定められた感染症ではなく、法定の出席停止期間は存在しない。明確な基準がないためだろうか、多くの保育園や幼稚園が、回復した子どもを再登園させる際に「担当医から登園許可証をもらってくるように」と求める。彼らは、「周囲に伝染させるおそれがないこと」を医師に保証させようとする。

これは間違った対応だ。理由は前述したように、手足口病を患った子どもは、症状がとれても長期間にわたりウイルスを排出するからだ。数週間も出席停止にするのは現実的ではない。

また、不顕性感染者がいるのだから、症状がある人や回復して間もない人だけを出席停止にしても感染拡大は防げない。

幸い、症状が改善すると、排出するウイルス量も減少する。周辺に感染を拡大するリスクは低下する。登園再開のタイミングは、本人の体調が回復したときだ。その時期は感染の重症度により、個人差もあるだろう。不安な保護者は具体的な時期について、かかりつけの小児科医に聞けばいい。

以上、手足口病について、筆者が重要と考えるポイントをご紹介した。手足口病は麻疹やインフルエンザ、新型コロナように「封じ込め」はできない。しかし、感染してもほとんどは軽症ですむ。

感染は避けては通れないことを認識し、感染対策を十分に講じつつも、あまり心配せず、鷹揚に対応すればいいだろう。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事