池上彰「第三次世界大戦は起きない」と考える理由 人類が「2度の世界大戦」から学んだこととは

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新・世界から戦争がなくならない本当の理由 (祥伝社新書 697)
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フーシ派の兵力は約2万人で、イスラエルが射程圏内に入るミサイルを擁しています。そして、アメリカとイスラエルが「敵」であることと、ハマスとの連帯を公言しています。その後ろ盾がイランです。だからといって、イランがイスラエルとの全面戦争に踏み切ることはないでしょう。

イスラエルの核兵器とアメリカの空母2隻の存在が歯止めになっているからです。フーシ派による攻撃はイスラエル側の力を分散させ、ハマスを後方支援するための、あくまでも“ちょっかい”なのです。

つまり、イスラエルとハマスの戦いもロシア・ウクライナ戦争と同様に、第三次世界大戦につながることはないでしょう。ただし、どちらも第三次世界大戦への「危機的な状況」を招いたことは間違いありません。

恐怖が「次の戦争」に対する抑止力になる

ウクライナとパレスチナで多くの血が流れ、それは今も続いています(2024年2月末)。そして悲惨な映像を見て、人々の間に危機意識と恐怖が生まれました。その恐怖が、「次の戦争」に対する抑止力になっています。2度の世界大戦を経験した人類が、その歴史から少しは学んだと言えるかもしれません。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶応義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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