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熊本・上天草市を復活させた赤字中小企業の確信 地方創生コンサルに喰われないまちづくり③

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航路就航の2009年に桟橋のみだった港は、再開発が進み観光客が押し寄せる海岸へと様変わりした(写真:シークルーズ)
地方創生が叫ばれて10年。実現できたという自治体はそう多くない。では、政府が流し込んだ膨大な「地方創生マネー」はどこへ溶けていったのか。『週刊東洋経済』5月11日号の第1特集は「喰われる自治体」だ。
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私が暮らす熊本県の天草地域は、約120の島々から構成される諸島だ。

県庁所在地の熊本市とは天草五橋と呼ばれる5本の橋で結ばれているが、生活や観光のすべてを1本の幹線道路に依存していたことから大型連休や夏休みにはひどく渋滞した。

天草の住民が重宝したのが天草市の中心部と熊本港を結ぶ海上の高速船だったのだが、その貴重な海路は2009年、経営難で廃線となる。人口減少が進み、乗客は年々減っていた。

だが、住民にとっては必要な航路。九州運輸局が白羽の矢を立てたのが、遊覧船事業で結果を出していた私の一族が経営する会社シークルーズだった。少子高齢化や若者の車離れ、インバウンドの増加を考えたとき、公共交通の時代が再びやってくるだろうとの確信が私にはあった。「俺がやるしかない!」という根拠なき使命感が湧き上がった。

補助金の約束が反故に

09年、天草市の中心部から松島(前島)、三角まで運航する定期航路「天草宝島ライン」が就航する。だが乗客数は伸びず、経営は難航、一時は倒産寸前に陥った。

考えたのがJRあまくさみすみ線との接続だ。乗客が熊本までスムーズに移動できるようになれば利便性が向上する。船も大型船から小型船に替え、コストを削った。これでいけると踏んだのは、当時の天草市長が補助金をつけてくれると明言したからだ。

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