SIer「課題の発見こそ価値創造の源」と語る理由 強みは、スペシャリスト社員による顧客伴走力

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常務執行役員 ソーシャルトランスフォーメーション事業本部長 増田成利氏
ITコンサルティングから各種業務システム構築・保守運用を手がけるJSOL。競争力のあるサービスの拡大を進めるべくソーシャルトランスフォーメーション(以下、SX)事業本部を設立。幅広い業種の顧客にサービスを展開し、着実に売り上げを伸ばしている。現在は中途採用を強化しているというが、いったいどのような組織なのか。常務執行役員 ソーシャルトランスフォーメーション事業本部長の増田成利氏に聞いた。

顧客のビジネス変革を目指すスペシャリスト集団

SX事業本部の顧客は金融系企業が4割を超えるが、それ以外にも製造や情報通信、不動産・物品賃貸、卸売・小売など幅広い企業にサービスを提供している。増田氏は事業内容について、次のように説明する。

SX事業本部の業種別売上割合
2023年度(見込み)

「SX事業本部は、クラウド技術やデータサイエンスなどさまざまなITを活用して顧客の業務に変革をもたらし、その結果として社会の変革を支えていくことをビジョンに掲げています。事業内容は幅広いですが、『ソリューション軸』と『アカウント軸』の2軸に整理できます。

ソリューション軸は、CRMシステムやEDIシステム、国際決済サービスへの接続サービス、データ分析、クラウドへの移行サービスなど、ソリューションの提供を軸とした事業です。アカウント軸は、個々の顧客のさまざまな課題を、ソリューションを含めたJSOLの総合力で解決する事業です」

ソリューション軸の事業で提供しているサービスは、業種を問わずどれも需要が高い。中でもCRMシステムの新規受注は年々伸びており、2023年度は昨対比6倍以上。また、データ分析サービスも昨対比2倍以上と急伸中だ。スクラッチでのカスタム開発から、パッケージを利用した開発やサービス利用の組み合わせへと潮流が変わりつつある中、支持され続けている領域といえる。

アカウント軸では、安価で早く構築できるシステム構築サービスへのニーズが増え、従来は多数派だったスクラッチ開発からローコード開発への転換が進んでいる。こちらも新規受注額が昨対比2倍と好調だ。

「最近は、21年度から開始したデータ分析サービスの需要がとくに高まっています。データサイエンティストが企業に眠る膨大なデータの中から価値ある情報を見つけ出すサービスです。高度な数学・統計学の知見が欠かせないため、理化学研究所とJSOLの共同出資先である理研数理、さらには理化学研究所と協働して行うケースもあります」

常務執行役員 ソーシャルトランスフォーメーション事業本部長 増田成利氏
常務執行役員 ソーシャルトランスフォーメーション事業本部長
増田 成利

このように、SX事業本部は多岐にわたるサービスを展開しているが、共通する強みは「各領域の業務知識や技術に秀でたスペシャリスト社員の存在」だと増田氏は語る。制度面からも個人の成長をモチベートすることで、個人からチーム、チームから組織全体へと、パフォーマンス向上の連鎖を果たしているという。

「より質の高いスペシャリストを養成するために、さまざまな制度を用意しています。例えば、能力強化の奨励のための自己研鑽制度(カフェテリアポイント)として1人当たり15万円まで研修を受講できたり、欧米で開催される技術系のイベントに行ったりといった施策を実施しています。スキルを継続的に高めていきたいと考えている人には、とても適した環境だと思います。

また、能力の強化も業績の1つと位置づけています。資格試験での合格や、例えばメインレビュアーを務められるレビュー能力を身に付けることなどを業績目標に設定します」

「課題の発見」を何よりも重視する理由

スペシャリストが集い、高い価値を提供しているSX事業本部。その活動の根幹にあるのは、「徹底した顧客本位の価値観」だ。増田氏は、組織全体に共通する「顧客の目的・目標を理解し、その達成まで伴走する姿勢」にこそ、強さがあると話す。

「単にシステムを提供する役割にとどまらず、顧客の目的・目標を理解し、顧客に伴走する意識が組織全体に浸透しています。さらには顧客の課題を発見し、顧客の目的・目標の設定をお手伝いすることもあります。客観的な立場にいるからこそ、顧客の課題を見つけることができる場合もあります」

増田氏は、SX事業本部の価値創出のプロセスを「課題の発見」「解決策の立案」「解決策の実行」の3つに分類し、中でも課題の発見を最も重視していると話す。

「解決策の立案と実行に大きな価値があると思われがちですが、課題の発見は必ずしも容易ではありません。DXを例に取ると、成功のカギはトランスフォームの実現にあるのではなく、その前段のトランスフォームすべきことの発見にあるように思っています。顧客との対話を通して、そこで得られた一つひとつの情報から課題を発見する力が重要だといえます」

こうしたJSOLの姿勢に対し、顧客からは「提案段階から要件定義、設計までスムーズにプロジェクトを完遂してくれた」「こまやかな対応や熱意を感じた」など高い評価が寄せられている。

個人とチームの双方が成長することで、より強い組織へ

常務執行役員 ソーシャルトランスフォーメーション事業本部長 増田成利氏

SX事業本部は、さらに中長期で競争力の向上を狙うべく、新たな活動「K3(計画的競争力強化)」をスタートした。

「ITコンサルティングやシステム構築・運用の事業は、ありがたいことに需要が継続的に拡大している状況です。ゆえに他社との苛烈な競争を通して事業の存亡を意識する機会に乏しい事業ともいえるでしょう。そのような事業環境にあぐらをかくのではなく、『JSOLのSX事業本部に依頼したい、と真っ先に指名していただける組織になろう』。K3では、そのために必要な取り組みを行っています」

競争力の強化に努めているSX事業本部は、現在、新しい仲間を求めているという。その際に求める資質は、何よりも「成長意欲」に尽きる。

「私たちの組織はこれからも成長を続けていきます。さらに強いSX事業本部にしていくには、個人技とチーム力の両方を伸ばすことが必要です。強い成長意欲を持ち続け、ご自身だけでなく、チーム全体の成長にも寄与してくれる方を仲間に加えたいと考えています」

現在、各自が持つノウハウやナレッジを言語化して共有するなど、チーム力の強化に意欲を燃やしている増田氏。競争力を揺るぎないものにしていくために、SX事業本部はこれからも顧客本位のスタイルを貫き、顧客の成長に貢献していく。

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