避難所に「ペットと同伴」の必要性を改めて考える 同伴避難に取り組む地域もあるが、課題は多い

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「りく・なつ同室避難推進プロジェクト」は2023年7月、歌手の伍代夏子さんが災害時に人とペットが安心して同じ室内に避難できる社会の実現を目指し、災害時の備えや、同室避難に対する飼い主の意識を高めること、ペットと一緒に避難することの重要性の発信を目的に始めた活動です。

ペットを家族の一員としてとらえる飼い主は多いですが、「同室避難」の意識はまだ浸透していません。芸能人がその知名度をフルに活用して周知活動を行うことは、大きな効果が見込めます。

すべての自治体で「同伴避難」を

ペットの存在を理由に避難しない、ペットと避難できず、喪失感から生きる気力を失うといった問題を解決するためには、「同行避難」と「同伴避難」が連動していることが不可欠です。

国が「同行避難」を推奨しているのであれば、自治体はその受け皿としての「同伴避難」を重要視し、その備えをしなければならないと考えます。

一方で、解決しなければならない課題も少なくありません。

例えば、避難所には子どもや高齢者、持病や障害、アレルギーのある人などさまざまな人が集まります。過去の災害ではペットの鳴き声、ニオイ、抜け毛、排泄物などが、ペットを飼っていない人にとっては大きな問題となりました。また、ペットフードや水、ペットシーツなとの確保、犬の散歩のエリアの確保、また犬の咬みつき事故などが、飼い主側の問題といえます。

だからこそ、飼い主とペットの適切な居場所を設け、少しでも安心できる避難生活を送れるような避難所づくりをしておくことが大切でしょう。

飼い主は自分の住む地域の自治体に「同伴避難」の受け入れがあるかどうかを確認しましょう。もし受け入れがない場合には、「受け入れをしてください」と要望することが大切です。飼い主である住民が声を上げることが、実現する一番の早道だからです。

災害はいつ起こるかわかりません。避難所にこだわらず、親族や友人・知人宅への避難や信頼できるところにペットを預けるなど、避難先について事前に家族で話し合っておきましょう。

あわせて、ペットと一緒に避難生活するために、災害に対する普段からの備えについて学んでおくことが大切です。

阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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