「ウェルビーイング経営」の実践に不可欠な視点 「働きやすさ」でエンゲージメントは上がるのか
「ウェルビーイング経営」を
経営戦略に位置づけている企業は3割未満
企業のウェルビーイングへの注目度は高まっている。HR総研が実施したアンケート調査(※)によれば、大企業で8割近く、中小企業で4割に認知され、大企業の約8割はすでに実施もしくは実施に向け準備中/検討中だ。
※「ウェルビーイングと健康経営」に関するアンケート(ProFuture/HR総研)
ところが、同調査によれば経営戦略や経営方針に位置づけている企業はいまだ3割未満。「ウェルビーイング経営」に取り組もうとしているものの、経営戦略へひもづけられていない企業が多いことがわかる。この実態について、グロービスでコーポレート・エデュケーション部門のマネジング・ディレクターを務める内田圭亮氏は次のように分析する。
「ウェルビーイングを高めることと、業績やパフォーマンスを向上させることが意識の中でうまくつながらないのでしょう。そのためか、フレックスタイムやリモートワークを取り入れたり、福利厚生を充実させたりといった『働きやすさ』を拡充する施策が目立ちます」
もちろん働きやすい環境は大切だが、「マイナスをゼロにする施策にとどまってしまう」と内田氏は指摘する。
「従来の健康経営も、マイナスをゼロにすることにフォーカスが当たっていました。ウェルビーイング経営は、心身の状態をマイナスにさせないだけでなく、プラスの状態へ持っていくことも包含した考え方です」
そもそもウェルビーイングとは、心も体も良好で幸福に満たされた状態のこと。マイナスをカバーするだけでは到達できず、持続的なエンゲージメント向上にもつながらないだろう。では、プラスを伸ばすにはどうすればいいのか。内田氏は「働きがい」を高めることだと話す。
「働きがいを高めるには、『やりたい仕事ができている』『やりたい仕事が社会をよりよくしている実感につながっている』の2点を満たすことが必要です。これを組織としていかに支援するかが、ウェルビーイング経営の肝です」
なぜウェルビーイング経営の実践は進まないのだろうか。具体的にどんな支援をすれば、ウェルビーイング経営を成功に導けるのか。
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