超高齢社会、高度省エネ社会への
移行を見据えた研究・成果を発信
暮らし創造研究会

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「ヒートショック」とは温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動するといったことにより、失神、心筋梗塞、不整脈、脳梗塞などが起こる健康被害だ。冬場に、高齢者に多いのが特徴だ。「暮らし創造研究会」にも参加している東京都健康長寿医療センター髙橋副所長らの調査によれば、2011年には年間約1万7000人もの方がヒートショックに関連し入浴中に亡くなったと推計され、交通事故による死亡者数4611人をはるかに上回る。

一般社団法人住宅生産団体連合会会長 (大和ハウス工業 代表取締役会長兼CEO) 樋口 武男

樋口氏も「ヒートショックの防止は喫緊の課題です。また、住宅内での転倒・骨折なども、疾病発症や要介護化の原因になっています。これらを含め、高齢者が安心して暮らせる居住環境が求められています。新築住宅はもとより、既存住宅においても耐震性、断熱性、バリアフリー性の向上を図るための関連技術の研究開発が必須になります。建替えやリフォームによる性能向上を促進するための税制・金融制度および建築規制などの検討を行い、政府などに対し必要な施策の実施を要望することも重要です」と語る。

「ヒートショック撲滅」のほか、
有効な研究に取り組む

「暮らしの意識・行動研究部会」では、健康・快適、安全・安心で、省エネ・CO2削減にもつながる暮らし方」を促す方策を、心理学・教育学・経済学などの最新の知見も取り込み、研究を行っている。

幡場氏は「省エネのために快適性を我慢するというのは本末転倒です。省エネ設備の導入促進に加えて、省エネにつながる暮らし方の情報を提供することで、省エネ活動を無理なく実践できる『省エネ型ライフスタイルの実現』が重要です。ほかにも、『超高齢社会の居住環境研究部会』では、団地の空きスペースを活用したスマートウェルネス拠点づくりによる地域コミュニティの活性化などのケーススタディを行っているところです。」と説明する。

樋口氏は「住団連では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー住宅)の実現に向けた技術的課題や制度的課題の解決に取り組むとともに、ZEHの普及促進を図っています。また、高齢者、障害者、子育て世代等の多様な世帯が交流し、安心して健康に暮らすことができるスマートウェルネス住宅やスマートウェルネスシティなどの先導的な住まいづくりを推進しています。『暮らし創造研究会』のさまざまな研究成果、情報提供を参考に、来るべき社会に適した住まい・住環境を提供したいと考えています」と話す。

幡場氏は、それに応え「住団連は、住宅の生産者という立場から、産業界や消費者に情報発信を行うとともに、さまざまな提言もされています。今年度は国の住生活基本計画の見直しのタイミングでもあり、研究成果を基に社会に役立つ提言を行っていきたいと考えておりますので、引き続き、『暮らし創造研究会』の取り組みにおいても、、協力をお願いします」と話すと、樋口氏も「研究会が取り組む『ヒートショック撲滅』、『省エネ型ライフスタイル実現』、『地域コミュニティ活性化』は、いずれもわが国が直面する重要な課題であり、関連業界が連携して取り組むべきです。住まい手の視点で暮らしのニーズをとらえ、それを充足する暮らし方を創造するという、研究会の成果に期待しています」と結んだ。