600人の大行列「無料食品配布」の列に見えた異変 若い女性や子連れで並ぶ人も…
伊藤さんのように前向きに並ぶ人もいれば、そうでない人もいる。住所不定の中島美幸さん(仮名・48歳)は、コロナ禍で職も住居も失った。
「勤めていた飲食店が休業し、それまであった月収の約13万円が一気になくなりました。ギリギリの生活だったので貯金もなく、生活費のために借りていたお金も返せずに夜逃げ同然でアパートを出て、ネットカフェなどを転々としています」
必要な支援を受けられるのでは? と問いかけた記者に中島さんは、
「一度手続きをしようとネットカフェから試みたのですが、もうちんぷんかんぷんで諦めました」

中島さんのような女性は多いという。女性の貧困問題を取材するライターの徳住亜希さんは、
「手続きが煩雑だったり支給条件が厳しかったりして、休業支援金や給付金を受け取れなかったという女性が少なくありません」
女性の貧困は今後も拡大していく
さらにコロナが5類になったことで、支援が終了してしまった制度も。
「コロナ休業支援金・給付金は、'23年5月末で受け付けを終了しています。ただ、仕事を失った人などに国が一定期間、家賃分を支給する住宅確保給付金のほか、独自に家賃補助制度を設けている自治体もあります。最寄りの役所や社会福祉協議会の窓口で相談してみてください」
女性の貧困は今後も拡大していくのでは、と徳住さん。
「実は、日本で最も貧困率が高いのは65歳以上で一人暮らしの高齢女性です。背景として、女性は男性に比べ現役時代に低い賃金しか得られず、老後に低年金になってしまう格差が指摘されています。これを踏まえ考えなければならないのが現在、40代~50代前半となった就職氷河期世代の老後。
氷河期世代の女性は非正規労働者が多く、収入も不安定で未婚率も高い。年金保険料を十分に払えなかったり、貯金ができなかったりする人も少なくありません。老後を迎えるころ貧困に陥るリスクが懸念されています」
早急な対策が必要だ。