特許数国内トップ企業※も使う知財システムの凄み 効率的な管理・保護とデータ活用の両立を実現
※出典:世界知的所有権機関(WIPO)
知財がイノベーションにつながらないのが課題
――クラリベイトは、毎年ノーベル賞級の研究を「引用栄誉賞」として発表していることで知られています。
小島 2016年にトムソン・ロイターからスピンアウトして現在の名称となっていますが、企業としての歴史は100年以上にのぼります。現在の従業員数は約1万1000人で、180カ国超のお客様にサービスを提供しています。特徴的なのは、イノベーションのサポートに特化していることです。信頼性の高いデータと長年蓄積したノウハウを提供するため、世界中にさまざまなエキスパートを擁しています。
「引用栄誉賞」以外に、発明活動や科学的発見など知財に関する知見を結集し、先進的なイノベーションの流れを追跡して選出する「Top 100 グローバル・イノベーター」にも力を注いでいます。今年12年目を迎え、おかげさまでマーケットにも浸透してまいりました。
鈴木 Salesforceが大切にしている価値観にもイノベーションが含まれており「Top 100 グローバル・イノベーター」に選出されている企業の多くがSalesforce製品をご利用いただいています。弊社も、提供する製品に年3回のバージョンアップを実施するほか、創業当時から「1-1-1」モデルと呼ばれる製品・株式・就業時間の各1%を社会貢献に充てることでビジネスと社会貢献の二刀流を実践するなど、イノベーティブであり続けようとしてきました。
そもそも現代において、1社だけでできるイノベーションには限界があります。当社はテクノロジーやノウハウを自分たちだけで抱え込まず、積極的に開放してさまざまな企業とともにイノベーションを起こすエコシステムを構築してきました。イノベーションも単にビジネスの成長に貢献するだけでなく、同時により社会課題の解決に資するものであることが求められてきているように感じます。
――イノベーションが社会にインパクトを与えることを考えると、納得できる話です。では、どうやってイノベーションを起こせばいいのかとなると、今回テーマとなっている知財も重要なカギになると思われますが、いかがでしょうか。
小島 はい、その通りです。ところが、実際には知財とイノベーションを結びつけるのは非常に難しいのです。「Top 100 グローバル・イノベーター」で日本企業は38社と全体の4割近くを占めます。発明や科学的発見など、素晴らしい知財活動を展開されているわけですが、全てがイノベーションにつながっているかというと、残念ながらそうでもありません。言ってみれば、アイデアや技術力といった “競争力の種”があるのに、ビジネスモデルとして育てることができていない現実があります。
経営に知財を役立てられる独自の管理システム
――なぜ日本の知財活動は素晴らしいのに、ビジネス化できていないのでしょうか。
小島 逆にいうと、イノベーションを起こしている企業は経営者が知財の重要性を理解し、経営戦略に知財を活用しています。知財部門に任せてしまうのではなく、経営者自らが知財に関わり、情報を常にアップデートして経営戦略に反映させるというPDCAを回すことが重要です。
鈴木 現場の成果が経営層に伝わらなかったり、投資家をはじめとするステークホルダーに理解されなかったりというのは、よく耳にするお話です。そうしたギャップを解消するには、データをうまく料理できるようになることが有効な手立てになり得ますが、ハードルを抱えておられる企業様も多いのかもしれません。
小島 仰るとおり、データがたくさん溜まっているのに経営層や知財以外の部門から見えないのが、知財管理のウィークポイントです。「データを取り出しづらい」「複数のデータソースでバラバラに管理されている」といった実態から、経営者が理解したくてもできないのが問題となっています。
しかし、コーポレートガバナンス・コードの改訂によって、知財情報の開示が義務付けられました。経営者は、知財がキャッシュフローにどんなインパクトを与えているのかを理解し、ステークホルダーへわかりやすく伝えなくてはなりません。自社の知財がどう経営に役立ち利益につながっているのか、的確に把握しなければならない時代になってきたといえます。
――知財の管理・活用のためにシステムを導入している企業もあるようですが、国内大手ベンダーが撤退するなど、企業における知財活用の重要性は増しているのにマーケットにはプレイヤーが増えていない印象です。
小島 業務をワークフローに落とし込むなど、「知財管理業務を効率的に進める」という点で優れたシステムはとくに国内ベンダーの製品に多くあります。しかし、とりわけグローバル企業がデータを活用してインサイトを得られるようにするには、世界中のルール改正や商習慣などを常時キャッチアップしなくてはならず、お客様にご満足頂けるように製品として競争力を継続的に担保するためには非常に大きな投資がかかります。グローバル企業が満足できるシステムがなかなか無いのはそのためでしょう。
しかし、イノベーションを推進するには、知財業務の効率性を担保しながらもデータを経営戦略に役立てられることが必要です。当社は今まで企業のイノベーション支援に特化してきたノウハウが生かせると考え、独自の知財管理システム「IPfolio(アイピーフォリオ)」を提供することにしました。
「IPfolio」ではアイデアの構想から発明の保護、商品化までのプロセスを自動化しているだけでなく、知財を事業戦略に組み込む上で示唆を得やすいよう、ダッシュボードの見やすさにもこだわっています。また、AIによる「知財の強さ」のスコア化、長年蓄積してきた当社データベースと連携した状況に応じたインサイト提供などを通じて、企業の適切かつ迅速な意思決定をサポートしています。
柔軟性の高さとデータ活用のしやすさが特徴
――国際特許出願件数で国内トップの企業をはじめ、国内大手企業が「IPfolio」を採用しています。数ある選択肢の中で「IPfolio」が選ばれた理由は何でしょうか。
小島 最も評価されているのは柔軟性です。大手企業は非常に組織が巨大で、業務内容も複雑ですから、いちいち私どものようなベンダーが入らなくてもメンテナンスや設定の変更ができる点は選定の際に重視されたと聞いております。
また、クラリベイトが常にグローバルの新しい情報を持っている点も評価されています。世界中の拠点を通じ、各国の規制や商習慣、さまざまな企業が知財をいかにイノベーションにつなげているか、といったベストプラクティスの提供を行えることに特にご期待を頂いているところです。
――国産ベンダーが得意とする「プロセス管理」に加えて環境変化やデータ活用に対応できる「柔軟性」、更に世界基準のベストプラクティスという「いいとこ取り」ができる点が決め手になったのですね。
小島 「いいとこ取り」ができたのは、Salesforceのプラットフォームで作られているからです。複雑なワークフローや組織改編に対し、お客様側で設定変更できる柔軟性の高さは非常に大きいですね。センシティブな知財データを保護するセキュリティの堅牢性や、クラウドならではのコストパフォーマンスの高さも、「IPfolio」を採用しているお客様から非常に喜ばれています。
鈴木 リアルタイム性にこだわっているのも当社プラットフォームの特徴です。当社製品が得意とするような売上予測の管理に喩えると分かり易いですが、例えば「現場で1カ月前に入力された売上予測」データで現在のビジネス状況の把握や意思決定をして下さい、と言われて満足できる経営者は多くないでしょう。スピーディに変化を捉えられるプラットフォームであることは、知財領域でも競争優位性を発揮すると確信しています。
――知財業務は、共同開発をする企業や特許事務所などステークホルダーが多いと思いますが、「IPfolio」の活用にはその観点でも変化はありそうですか。
小島 情報共有のスピードは格段に上がると評価いただいています。専門性の高い知財部門はどうしてもサイロ化しがちで、経営層を含む社内への情報発信も知財に偏った内容になりがちでした。そうした状況を改善して「知財DX」を推進し、イノベーションを起こし続けるには、知財部門がビジネストランスレーターとなって社内外の橋渡しをすることが求められています。「IPfolio」はそれをご支援する存在でありたいと思っています。
鈴木 この数年、ビジネスを取り巻く環境が大きく変わる中で、変化への対応の先取りとスピードの重要性が高まっていると感じています。それらを踏まえたうえで、知財を活用していくことがイノベーション実現の肝になってくるでしょう。Salesforceは、「IPfolio」がお客様の「知財DX」を推進する為に適切なプラットフォームとして先進的なテクノロジーを提供し続けていきたいと思います。
小島 冒頭でお話したように、日本は素晴らしい知財活動を展開している企業が多数あります。「種」をイノベーションにつなげ、商業的に成功するには、何かしらの「気づき」が必要です。そのきっかけを「IPfolio」やさまざまな知見でご支援しますので、お気軽にご相談ください。
なお、どのように「IPfolio」が知財DXに貢献できるのか、東京ビッグサイトで開催されるアジア最大級の特許情報と知財関連の見本市「特許・情報フェア&コンファレンス」(2023年9月13日~15日)に出展し、企業セミナーを3日間開催します。企業ブースでは「IPfolio」のデモも実施していますので、ぜひご来場ください。
⇒「特許・情報フェア&コンファレンス」での出展者プレゼンテーションについて詳しくはこちら
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