多様な働き方と環境配慮をかなえる「法人PC」とは スペックとコストでPCを選ぶ時代が終わった訳
「週3回以上出社」が55%
変化するPCの選び方
2020年以来、新型コロナウイルスによるパンデミックがもたらした働き方の変化は、業務で使用するPCの選び方にも強く影響を及ぼしている。
「コロナ禍が始まる前、当社で販売するPCはノートとデスクトップの割合がおよそ5:5だったのですが、7:3くらいにノートの割合が増加しました。自宅で仕事をする人が増加したためですが、最近は在宅勤務と出社を交えたハイブリッドワークが増加しています。当社が実施したアンケート※では『週3回以上オフィス出社』と回答した割合が55%であるとともに、業務用PCの選定基準が変化したと回答した割合が24%に上っています」
デル・テクノロジーズの佐々木邦彦フィールドマーケティング部長はそう説明する。同社のアンケートによると、変化した選定基準は上位から「セキュリティ要件を満たすこと」「パフォーマンスが高いこと」「小型・軽量であること」となっている。
「従来は大半の社員がオフィスという安全な領域の中で仕事をするという前提でセキュリティを考えればよかったのですが、ハイブリッドワークが普及し社外から接続する人が増加する中、いかにセキュリティを担保するかを課題に挙げる企業が増えました。加えてビデオ会議の普及をはじめデジタル化が一気に進んだため、コロナ禍以前に考えられたPCの仕様では、性能が不十分になりました。軽量化のニーズは言うまでもなく、オフィス外への持ち運びの機会が増えたためです」(佐々木氏)
こうした選択基準の変化に対し、デル・テクノロジーズではハードウェア、ソフトウェア両面で対応を進めるとともに、個々の従業員の働き方に応じてカスタマイズしたユーザー体験を提供している。
AIが個々の使い方に合わせてPCを自動的に最適化
ハード面では13インチノートで1キログラム以下の製品を発売したのをはじめ、14インチノートでも軽量化を促進。洗練されたスマートなデザインも特徴的で、手にする人の気持ちも上げてくれそうだ。
ソフトウェアについては、AI内蔵の最適化ソフトウェアがユーザーそれぞれの使い方を学習し、PCを自動的に最適化するDell Optimizer(デル オプティマイザー)が法人向けのデスクトップ、ノート製品全体で対応した。
「同じ機種を同じ会社で配布しても、それぞれで使い方はさまざまです。であれば個人に合わせたチューニングが必要であるとの発想から、機械学習するソフトウェアを導入しました。例えばACアダプターを外して使用する時間が長い人は外出先での仕事が多いと判断し、自動的にバックエンドで走っている処理をオフにしてバッテリーを長持ちさせつつ電源をつないだときにオンにしたり、逆にずっと電源につないでいる人はバッテリーが過剰に充電されないようにすることで過度な負荷がかかることを防ぎ、長い期間使えるようにしたりしています」
また、カメラのセンシング技術を駆使したのぞき見検出機能も搭載。他人が画面をのぞき込むと顔を認識してアラートを発し、画面が見づらくなるようにぼかされ、情報が守られる。オンライン会議ではクリアな音声となるよう、人間の声とそれ以外を区別し、周囲の雑音を除去し声だけを送受するノイズキャンセリング機能が備わっている。こうした機能によって、働く場所やスタイルを問わずセキュアで快適なPC環境が実現するというわけだ。
PCの性能向上と並行し、デル・テクノロジーズではビジネスパーソンの働き方の変化を踏まえ、従来は働く場所で定義していたユーザーのペルソナを、役割に基づく4つのペルソナに再定義し、それぞれに合わせたデバイスの提案を始めた。
具体的には、経営幹部やコンサルタント、アカウントエグゼクティブなど機動的に移動し、チームや顧客との連携が重要なユーザー(ビルダー)には軽量かつカメラやマイクの性能が高いLatitude(ラティチュード)7000/9000シリーズ、部門リーダーやマネジャーなど複数のタスクを同時並行で進行管理しつつ、ステークホルダーとのコミュニケーションが頻繁に生じるユーザー(コネクター)にはLatitude5000/7000シリーズがおすすめだ。
エンジニアやデザイナー、プログラマーなど大量のデータや最新のテクノロジーを駆使するユーザー(スペシャリスト)にはPrecision(プレシジョン) ワークステーションを、そして会計や人事、コールセンターなど正確で細かい作業を迅速に行う必要があるユーザー(プロデューサー)には、Latitude3000/5000シリーズを提案。5000/7000/9000シリーズにおいてはIntelⓇ vProⓇ プラットフォームに対応するCPUも用意されており、高いセキュリティを保ちつつ管理性を高めることも可能だ。
また、長時間にわたり店舗で多くの顧客に対応するユーザーには、デスクトップとモニター、アームの組み合わせを用意して、疲れにくい姿勢での作業を可能にする端末環境の提案も実施している。
要望が高まるESG対応
ムーンショットゴールを策定し実現に邁進
法人が従業員のPCを導入する際は「買って終わり」ではなく、多様な働き方に応じた最適なデバイスの選定から個人に応じたセットアップ、保守・運用、そして廃棄、リサイクルと多くの作業が発生する。組織の規模が大きくなれば扱うPCの数も膨大だ。企業から寄せられるこの切実な悩みに対しても、同社では導入計画から廃棄、リサイクルまで全方位的に支援するPCライフサイクルマネジメントサービスを提供している。
「IT部門には労働集約的な側面があります。100人分のPCを導入するには100台のPCをセットアップしなければならず、『IT部門の働き方改革をどう進めるか』で悩む企業が少なくありません。そこで私たちは『ゆりかごから墓場まで』PCのライフサイクルを支援するサービスを提供して負荷を軽減し、テクノロジーの活用やセキュリティのさらなる強化など、より戦略的な業務にリソースを振り向けられるようお手伝いしています」
例えばPCの配布はIT部門を介さず、デル・テクノロジーズから直接個々の従業員の自宅に配送したり、必要なソフトウェアもあらかじめクラウド上で設定を行い、ユーザーが自社環境にログインするとアプリケーションを自動的にダウンロードしてインストールするようにしたりと、従来はIT部門が手間と時間をかけて行っていた業務を軽減するさまざまなサービスが用意されている。
「PCのライフサイクルを通じて継続的に顧客企業のビジネスをサポートしつつ、ストレージやサーバーまで幅広い製品・サービスを提供し、ワンストップでITインフラを支えることができるのは当社ならではの強みだと考えています」
一方で近年、企業から問い合わせが増加している分野にESGへの対応がある。多くの企業でサステナビリティの実現に向けた取り組みが始まり、導入する製品に対してもESG対応が要求されるようになってきた。
デル・テクノロジーズでは2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにするNET ZERO GOALと、30年までに「サステナビリティの推進」「インクルージョン文化の醸成」「ライフスタイル変革への貢献」「倫理とプライバシーの順守」という4項目からなる2030 MOONSHOT GOALを策定し、実現に邁進している。
「当社はもともと創業者が地球環境に高い関心を持ち、1990年代からリサイクル材の活用を行うなど、早くから環境に配慮した取り組みを展開してきました。サステナビリティの推進については、素材の循環利用や環境負荷の少ない素材を開発・適用しています。具体的にはリサイクルしやすいような部品・素材に変えたり、分解しやすいように設計を変えたり工夫を重ねています。また、温室効果ガスの削減に向けてのカーボンフットプリント(製品の原材料調達から生産、使用、廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスをCO2に換算すること)の明確化、SBT(パリ協定と整合した温室効果ガス排出削減目標)の策定と継続的な達成状況の公開など、現時点で考えられるほとんどすべてを網羅した対応を取っています。
インクルージョン文化の醸成においては全世界の社員の50%と、管理職の40%を『女性と自認する人』で構成することをゴールとしており、この表現にもインクルージョンに対する本気度が表れていると思います。対外的には女性起業家ネットワークや起業家支援プログラムといった活動を行っており、私たちが起業にチャレンジし社会に貢献するチャンスを与えられたように、これからチャレンジする人たちを積極的に支援して社会に対する貢献を進めています」
今やPCは単にリーズナブルでスペックが高ければよいというものではなく、企業が安心して使用するには多様な従業員の業務と働き方に合う最適な環境の提供と、製造から導入、運用、廃棄、リサイクルまでESGに最善の配慮を行ったライフサイクル管理が不可欠である。これらの点において総合的な進化を続けているのが、デル・テクノロジーズの最大の特徴といえよう。
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