世田谷に10軒密集「アニマルハウス」、空き家の今 「東京23区や県庁所在地」で目立つのはなぜか

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人口減少に伴い増える空き家は、都市部でも顕著。地域全体の価値も下がるなど懸念される(本文の空き家とは関係ありません、画像の一部を加工しています)(写真:東京都世田谷区提供)
人口減少に伴い、空き家問題が深刻化している。日本では年々、空き家数が増えており、都市部にも多い。解決策はあるのか。AERA 2023年4月24日号の記事を紹介する。

「アニマルハウス」

東京都世田谷区の閑静な住宅街に、近隣住民からそう呼ばれる一角がある。10軒ほどの空き家が密集し、どの家の庭も草木が生い茂り、壁をはうようにツタがはえ、穴が開いたブロック塀もある。

「タヌキやハクビシンもすみ着いているようです。夏は蚊が大量発生して、もう大変」

当記事は、AERA dot.の提供記事です

空き家近くに30年ほど住むという60代の女性は、顔をしかめそう話す。空き家となっている住宅は50年ほど前に建てられ、30年ほど前から順番に空き家となっていったそう。

「放火も心配です」(女性)

世田谷区の空き家問題の担当者によれば、住民からの苦情は把握しているという。

「所有者の方とも解体などを含め、最善の方法について交渉を続けている状況です」

人口減少による社会課題の一つが「空き家」だ。総務省の「住宅・土地統計調査」(2018年)によれば、全国の空き家は848万戸と過去最多で、住宅の13・6%を占め、空き家だらけだ。

最も多いのは世田谷区

さらに、市区町村別で見ると、最も多かったのは世田谷区で約4万9千戸。続いて東京都大田区(約4万8千戸)、鹿児島市(約4万7千戸)、大阪府東大阪市(約4万4千戸)と、東京23区や県庁所在地が上位を占めた。それにしてもなぜ、都市部に空き家が多いのか。

不動産コンサル会社「さくら事務所」(東京都渋谷区)会長の長嶋修さんは、最大の要因は「団塊の世代の高齢化」だと話す。

「戦後の高度経済成長期に、地方から団塊の世代と呼ばれた人たちが都市部に仕事を求めやってきてベッドタウンと呼ばれる場所に家を買いました。その人たちの約7割が75歳以上の後期高齢者となり、亡くなる人も出てきています。しかも昨今の若年層は車を持たず、もっと駅に近い場所に住居を構えるため、特にベッドタウンに空き家が目立っています」

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