値上げとの戦い、キユーピー襲う卵不足ショック 利益7割減の大打撃、鳥インフルの収束遠く

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ただし、一段の値上げは容易でない。昨今の食品の値上げラッシュで、消費者は生活防衛意識を高めている。必需品以外の購買を控えるだけでなく、NB(ナショナルブランド)商品から価格の安いPB(小売りによるプライベートブランド)商品で代替する動きも見られる。

マヨネーズは食用油と卵、酢が主原料。キユーピーの髙宮社長は「主原料の相場の影響を受けやすいことは経営課題。中期的に脱却が必要と考えている」と語るが……(記者撮影)

食品値上げの品目数を毎月調査している、帝国データバンク情報統括部の飯島大介氏は「店頭での販売状況をみると、大手スーパーのPBは好調だが、NBは数量が落ちている。消費者が値上げについていけていない商品もある。マヨネーズやケチャップは購買の優先度が低く保存期間も長いため、複数回にわたるNBの値上げは徐々に難しくなりつつある」と分析する。

キユーピーも消費者の節約志向を読んだ販売施策を進める。ドレッシングは2022年に投入した大容量600ミリリットルの「深煎りごまドレッシング」が好調で拡販を急ぐ。

年内は卵の高値が続く

マヨネーズは、値上げをしても小容量の350グラムや大容量の700グラムの商品が好調だ。少ない量を使い切りたい、大容量で使いたいなど二極化するニーズをとらえ、売れ筋を軸に強化する構えだ。

鳥インフルエンザの収束には、まだまだ時間を要する。野村哲郎農林水産大臣は3月末の会見で「雛の導入開始後、発生前の飼養規模に戻るまでは(発生・殺処分から)1年かかる」と見通しを語っている。キユーピーは年間契約で価格を決めて調達するケースと、相場に連動した調達の2つの方法で卵を確保している。少なくとも、今期中は対応に追われることになる。

外食企業では卵を使用したメニューを取りやめるケースもみられるが、食品メーカーはそうはいかない。ましてキユーピーにとってマヨネーズは看板商品。卵不足だからといって主原料を使わないわけにはいかず、高値でも調達せざるを得ない。深刻なコストアップの中で、競合や消費者心理とどう戦っていくのか。難しい舵取りが続きそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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