全国各地で「BPO導入実績」独自戦略の強みとは キャリアリンクが目指す人材サービスの未来像

BPO案件が急増。人材サービスへの厚い信頼
キャリアリンクは創業以来、製造業や物流業などの企業に事務職や受付・秘書、コールセンターのオペレーターを派遣する事業を展開してきた。2007年ごろから、主に大型案件を中心に官公庁向けのBPOを急拡大。現在は官公庁や全国の自治体でプロジェクトや拠点の立ち上げにおいて、業務設計から運営、効果検証に至るまでワンストップでサポートしている。
その信頼性の高さは、同社の売上高にも反映されている。主力のBPOを中心に各事業部門の売上高が拡大し、22年3月期は前期比42.4%増と業績は好調に推移した。その要因について、同社のBPO事業を主導する島健人取締役常務執行役員は次のように考察する。

取締役 常務執行役員
島 健人氏
「事業立ち上げ以来、多種多様なプロジェクトを通じて獲得した、チームビルディングやマネジメントのノウハウが現在、BPO事業の好調のベースになっていると考えています。事業の拡大に比例して動員できる人材の総数も増えたことで、品質の向上はもとより、全国各地で迅速にチームを構築できる体制を整えられるのが、当社最大の特徴です。その実績と豊富な経験値が、多くの官公庁をはじめとしたクライアントからの信頼につながっています」
近年においては、新型コロナウイルスの対応窓口やマイナンバーカードの申請業務など、早期の立ち上げが必要かつ社会的責任の大きいプロジェクトを担当。独自の組織体制の下、早期の人材導入や人件費削減など、包括的な支援で全国の自治体が抱える課題を解決に導いてきた。
その強みは、単純なマッチング型ビジネスとは一線を画す「ソリューションの提供」にあると、島氏はこう続ける。
「クライアントの要望に応える人材のマッチングはもとより、チームを構築して顧客を支援できることが我々の強みです。それによりプロジェクト全体がコントロールしやすくなり、必要に応じて業務効率の改善も提案することで、生産性が高い業務を遂行できます。クライアントからはコストの削減や、事業拡大のレバレッジにつながる点について高い評価をいただいています」
BPOの「費用対効果」を追求し、優位性を発揮
BPO事業を創成期から牽引しているのが、執行役員営業本部副本部長の松田仁氏だ。コンサルタント時代にコンタクトセンターのアウトバウンド立ち上げ準備から運用支援、収益改善などに従事。幅広い経験を基に、キャリアリンクのBPO事業を構築し、成長に導いてきた。
同社は動員人材数1000人以上のBPO案件を受託することも多々あるが、大規模な人材調達における優位性について、松田氏は「全国均一な人材調達力」を挙げる。
「当社は月間約1万5000人の人材を募っており、ご登録いただく求職者(以下「登録スタッフ」)を増やしています。地方自治体のBPO案件で急きょ大型採用が必要な場合でも難なく対応できるのは、全国に当社でご就業いただいている皆様(以下「就業スタッフ」)を抱えており、その方たちをきめ細かくフォローすることに注力しているからです」
以前は現場のマネージャーに就業スタッフのフォローを委ねていたが、さらなる就業満足度向上を目指そうと本部に専門組織を設立。エンゲージメントの指標化をはじめ、スキルや業務に対する評価を整備して、時給に反映する仕組みを構築した。こうした取り組みが功を奏し、同社で長期的に働く登録スタッフは相当数増えたという。

執行役員 営業本部副本部長
松田 仁氏
「クライアントの採用コストを削減するために、就業スタッフの離職率を下げる業務改善を提案することもあります。BPOで顧客の下に常駐する社員は、業務のスキームに対する知識はもとより、業務フローに対しての改善能力を備えています。効率的なBPOの運営に必要なスキルセットを持つ社員は、スポットだけの関係性ではなく、パートナーとしての信頼関係に発展するうえで重要な役割を担っています」(松田氏)
単純な派遣のプロジェクト推進で終わらせず、業務の深い部分にコミットする姿勢は、同社の使命感にひも付いている。
「官公庁や自治体のBPOは、業務が滞ることを恐れてリスクヘッジが過剰になる傾向にありますが、我々としてはまず、過剰な工数や人員を極力削減し効率的な運用スキームを構築・推進することが第一。時には利益を減らすことにつながりますが、当社が社会的責任を果たすうえでも重要な考えとして、積極的に提案しています」(松田氏)
とくに近年は中央省庁の旗振りで行われている支出の健全化の流れにおいても、かねてより社会貢献や地方創生の観点で費用対効果を追求してきたキャリアリンクならではの優位性を発揮している。
働く喜びを感じられる環境の強化へ
社会のニーズや動向の変化を機敏に察知し、人材サービスの品質や形を最適化させてきたキャリアリンク。その基盤となるのは、社員の挑戦を後押しするボトムアップ文化だ。島氏は次のように説明する。
「社会と顧客のためになる事業展開を最優先しているため、現場に常駐する社員や就業スタッフの声を吸い上げて、よりよいサービスにアップデートする文化が根付いています。また、実力に応じてプロジェクトの権限委譲を推進しているので、人材サービスの領域でいち早く成長したい若手の挑戦意欲をかき立てる環境が整っているのも特徴です」
現在は、若年層の就業意識を高めるために、CXデザイン室を設立し、20代から30代に向けたSNSマーケティングを強化しているという。
今後の展望について、島氏は新規事業の一環として、地域の雇用創出や民間企業のBPO案件の強化に努めたいと話す。
「現在、本部から営業社員や常駐社員が参画していますが、地域に根差したビジネスをするため、各地域で雇用したいと考えています。同時に拠点ごとの登録スタッフ数を増やし、いっそう迅速にチームを組成できる基盤の構築を進めています。
また、官公庁や自治体のみならず、民間企業のBPO案件を増やし、一人でも多くの方に良質な雇用環境を提供することは重要なミッション。当社のノウハウとリソースを、企業で働く人と就業スタッフの生産性向上の一助にしていただけるよう、サービスの進化と深化のサイクルを回し続けます」
企業理念として「すべての人に働くよろこびを」を掲げるキャリアリンク。経営層2人の話からは、そのビジョンを真剣に追求し、誠実なビジネスを志していることがうかがえる。社員のマネジメント力と、就業スタッフのスキルと結束力を武器にするプロ集団は、これからも世の中の労働課題を解決に導いていく。
