インバウンド回復は企業の「組織活性化」の好機に JTBが手がける「心に残る訪日体験」、その神髄

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2022年10月に新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されたことを受け、インバウンドが急回復している。日本政府観光局(JNTO)によれば、23年1月の訪日外国人客数は前月比約12万人増の149万7300人で、コロナ前の19年同月比の5割程度まで伸びた。回復傾向は法人市場でも見られ、JTBは訪日ビジネス旅行やイベント開催について「コロナ前の18年、19年並みかそれ以上の引き合いがある」と明かす。この動向が示す意味は何か。インバウンドの復活が企業にもたらす価値を探った。

インバウンドの回復は「組織活性化」のチャンス

2020年に始まったコロナ禍の影響により、長らく続いた水際対策。22年10月に入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の受け入れも解禁されると、韓国、台湾、米国をはじめとする各国・地域の旅行客が日本を訪れるように。以来、インバウンドは急速に回復に向かっている。

訪日外国人客数の推移(2019年と2022年)
水際対策が緩和された2022年10月以降、インバウンドが急回復。同年12月の訪日外国人客数は、コロナ前の19年同月比の約半数を記録した(データ出所:日本政府観光局)

そうした傾向は、法人のインバウンド市場においても同様だ。個人旅行だけでなく、法人向けにミーティングやイベント、インセンティブツアー、国際会議などのMICE(※)とインバウンドを組み合わせる「インバウンド&MICEビジネス」も手がけるJTBには、水際対策の緩和以降、日本でコンベンションやイベントを実施したいという問い合わせが多く寄せられているという。ジャパンインバウンド事業担当部長の森久乃氏は次のように語る。

※MICE:Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention (国際会議)、Exhibition/Event(展示会・イベント)の頭文字をとった総称

「引き合いの数はコロナ前の18年、19年より多くなっているかもしれません。これまで国際交流イベントやインセンティブツアーを実施したことがなくても、『日本は独自の伝統文化や食文化で人気があるし、円安だからやってみよう』と動き出している企業が増えているからです。

また、定期的にMICEを開催する企業からは、3年間にわたってオンラインだったため『リアルの交流を復活させたい』という声が多く聞かれます。やはり実際に人が集まり交流することで気づきや化学反応が生まれるということを、経験則として皆さんが実感されています。そのため、この機会を利用して、組織のリフレッシュや活性化につなげたいとの思いがあるようです」

JTB グローバルDMC事業部 グローバルDMC事業担当部長 森 久乃氏
JTB 訪日インバウンド共創部
ジャパンインバウンド事業 事業担当部長 森 久乃

国際的な人流が途絶えていたこの3年間で、オンラインを使ったビジネス交流は盛んに行われた。場所を問わず手軽にコミュニケーションできるオンラインのメリットが理解された一方で、リアルならではの価値も改めて認識されるようになった。

そうした背景もあり、今回の水際対策緩和によるインバウンドの復活は、海外とのビジネス連携や国際的なチームワークを強化したいと考える企業にとって、組織の活性化や新たなビジネス交流を生み出す絶好の機会となっているわけだ。

「一生に1回」の体験を心に残るものに

しかし、いざ海外からゲストを日本に招待しようと思っても、インバウンドの経験やノウハウがなければ簡単にはいかない。「海外のゲストをお迎えする際には、あらゆるところに気を配りながら進める必要があります。特定の1カ国だけでなく、世界各国からお客様がいらっしゃるケースでは、宗教や食事などへの配慮も不可欠です」と語るのは、JTB 訪日インバウンド共創部チームマネージャーの人見能暢氏。

「旅行も同じですが、この訪日がお客様にとっては一生に1回の機会かもしれない。大げさではなく1人ひとりの気持ちを酌むことが大切だと考えています。とくに宿泊環境と食をしっかりサポートしないと、いくらイベント自体がすばらしくても満足度が著しく下がってしまいます。お客様のパーソナリティや要望をきっちりヒアリングして、実現することを心がけています」

JTB 訪日インバウンド共創部 ジャパンインバウンド事業チームマネージャー 部長 人見 能暢氏
JTB 訪日インバウンド共創部
ジャパンインバウンド事業 チームマネージャー 人見 能暢

森氏もインバウンド&MICEは「個人旅行の集合体と捉えている」と話す。あらゆることに目を向けながらも、1人ひとりに寄り添う「ホスピタリティ」を忘れない精神は、どこから生まれているのか。

「JTBのDNAとして息づいているのだと思っています。JTBに海外旅行のイメージを持たれる方も多いですが、もともと当社は1912年に、『世界中の人々に広く日本を紹介し、より多くの外国人に日本を訪問していただく』ことを使命として誕生しました。

つまり創業以来110年にわたって、外国人のお客様をお迎えするというのは私たちにとって当たり前のことなのです。グループ各社もさまざまなインバウンド&MICE関連ビジネスを展開しており、臨機応変に機動力をもって対応できます」(人見氏)

実際、JTBグループがカバーするインバウンドビジネスの範囲は広い。インバウンドに特化した事業を展開し、ランドオペレーターの機能を担うJTBグローバルマーケティング&トラベルを中心に、エンゲージメント向上につながるイベントの企画・運営に強いJTBコミュニケーションデザインや、アジア地域のファン獲得に向けた会員ビジネスを手がけるFun Japan Communicationsなど、グループ各社が互いに連携。

そのうえ、JTBの大都市圏の事業部や各地域の法人支店も、インバウンドビジネスに取り組んでいる。旅行会社として培ってきた知見とノウハウを生かし、企画の立案から、会場やロジスティクスの手配、実施中のおもてなし、事後の改善提案まで、ワンストップで顧客に伴走する。

まさに“ALL JTB”で、顧客企業が招く海外のゲストが「心に残る体験」を持ち帰れるようにサポートしているのだ。

そうしたJTBの強みは、コロナ禍でも発揮された。あらゆる事態を想定して事細かく規定を決めたうえで、各国で異なるコロナへの意識を踏まえた説明を随時実施。大きな混乱やトラブルを起こさず、リアルやオンライン、ハイブリッドのイベントやミーティングを成功させてきたという。

「主催者の企業だけでなく、各施設や行政と密にコミュニケーションを取りながら、『どうすれば実現できるか』を考え、実行してきました。コロナ前よりも柔軟性が高まり、さまざまな想定外の事態に対応できるノウハウがさらに蓄積されたと自負しています」(森氏)

リアルな国際交流の再開で「感動・共感」を生み出す

JTBは、2023年を「国際交流再開の年」と位置づけている。インバウンド&MICEを現場で支える両氏は、「文化やバックグラウンドが異なる人たちが交流する意味を再確認できるタイミングになる」と口をそろえる。

JTBの人見氏(左)と森氏

「JTBグループの経営理念である『地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する。』を形にできるチャンスだと思っています。コロナ禍で分断され、オンラインでしか集まれなかったからこそ、リアルで集い、交流することで育まれる価値を感じていただきたいと思っています」と森氏は力を込める。

インバウンド&MICEは、「企業と従業員」「企業と顧客・消費者」だけでなく、地域や国もつなぎ、有機的なコミュニケーションを生み出す役割を持つ。主催者となる企業や団体だけでなく、コンベンション施設や宿泊施設、周辺の観光施設や各自治体をつなぐハブとして、JTBが果たす役割は大きい。

「1人ひとりのお客様に寄り添うと申し上げましたが、それは国内47都道府県や世界各地に展開する各支店も含む、JTBグループが一丸となって取り組んでいるからこそ実現できることです。

水際対策が緩和されたことをきっかけに、国際交流イベントやインセンティブツアーの開催を初めて検討される企業もあると思いますが、JTBは110年余りの歴史を経て今も磨き上げ続けられている豊富な知見と、幅広い領域に対応できるネットワークでサポートしていきます。お困り事があれば、どんなことでも気軽にご相談いただきたいです」(人見氏)

JTBの価値創造の根底には「つなぐ・つなげる」という思想がある。同社はそれを基にした「交流創造事業」を事業ドメインとし、感動・共感を呼び起こすことを目指してきた。地球上のあらゆる人や企業、国・地域を「つなぐ・つなげる」インバウンド&MICEは、本格的に再開しようとしている国際交流の価値をさらに高め、企業やビジネスパーソンの活力や一体感を醸成する源泉となっていくだろう。

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