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グローバル経営戦略 失敗の本質に迫る ― 財務・経営管理における戦略的アプローチ ―

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
新興国通貨安の為替差損で利益が吹き飛んだ――。そんな失敗を避け、資金を効率的に活用するトレジャリーマネジメントについて考える「グローバルファイナンスマネジメントフォーラム2015」が3月、大阪、名古屋、東京の3会場で開かれた。

●主催:東洋経済新報社
●協賛:キリバ・ジャパン  ●協力:KPMG/あずさ監査法人

オープニングスピーチ

桑野 祐一郎 氏
キリバ・ジャパン 副社長 執行役員

東京会場ではオープニングで、キリバ・ジャパン副社長執行役員の桑野祐一郎氏が、グローバル化に伴う資金活用、リスク管理、ガバナンス強化の観点からトレジャリーの必要性の高まりを強調した。だが、日本では、経理に対して法規制のない財務システムは後回しにされがちで、メインバンクへの遠慮から実行をためらう企業も多いと指摘。「致命的な失敗をしないため、トレジャリーを経営のトップアジェンダにするよう、キリバと一緒に経営者に訴求しませんか」と、会場を埋めた財務担当者らに呼びかけた。

基調講演Ⅰ
「戦略不全の深層」

三品 和広 氏
神戸大学大学院 経営学研究科 教授

日本企業の低迷を分析した『戦略不全の論理』の著者で、神戸大学大学院教授の三品和広氏は「戦略のとらえ方を間違えていた」と原因を指摘する。日本企業は、重層構造になった経営戦略の、管理や製品面ばかりに目を向け、根底にある事業立地を見なかった。その結果、家電メーカーのテレビ事業のように、誰がやっても儲からないほど劣化した立地に拘泥すれば、業績が低下するのは当然だった。

また、グローバル化の問題では「我々は本当に西洋の知恵を咀嚼したのか」と問いかけた。日本の法律は、詳細を官僚が決める内閣府令などに委ねる形になっていて、「欧米から見れば、人治国家のやり方そのもの」と喝破。革命で自由を勝ち取った欧米に対し、戦後に自由を与えられた日本は、西洋制度の形を真似できても、根幹の概念を正確に理解できていないと言う。バブル絶頂期に日本経営の強みとされた終身雇用を米国が拒絶した理由を「身分保障が活力喪失につながったローマ帝国の歴史に学んでいたからだ」と指摘した三品氏は、グローバル企業と渡り合うため、日本は「GDPで世界のトップを走り続ける米国の強さの根幹にある西洋文明を学び直すべき」と訴えた。

基調講演Ⅱ
「キャッシュマネジメントの戦略的活用」

栗原 宏 氏
KPMG/あずさ監査法人 金融事業部 金融アドバイザリー部 マネージング・ディレクター

あずさ監査法人の栗原宏氏は「企業の口座の入出金を効率的にするキャッシュマネジメントシステム(CMS)は、CFOにとって戦略目標達成の有効な手段になる」と語り、その戦略的活用法を探った。CMSは、現金と借入の両建てになった資金を効率化して総資産を圧縮し、そこから捻出した資金を成長投資に回すことで戦略的意義を持つ。また、資金繰り予測を行い資金の見える化を実施し、1日単位で調達すれば、ムダなコストを減らせる。栗原氏は「CMS導入にはROI(投資対効果)が必要という声を聞くが、費用削減、財務体質改善、リスク削減効果を定量化すれば、十分にペイする」と述べて、ERP(統合型業務ソフトウエア)やシェアードサービスと組み合わせた財務プラットフォーム構築を勧めた。

また、お金の出入りに属性の〝色〟をつけるとともに、集中受取り、インハウスバンク、集中支払いのテクノロジーを駆使し、キャッシュフローをリアルタイムに把握する方法も提示。部門別やセグメント別バランスシート作成を容易にし、ROE(自己資本利益率)へ貢献する可能性も示した。栗原氏は、「CMSは将来の活用可能性が高いので、将来を見据えた導入をすべき」と、発展性を考慮した導入を促した。

事例講演
「資金管理のベストプラクティス」

井上 隆敬 氏
リクルートホールディングス ファイナンス統括室 財務部財務グループ

リクルートホールディングスは、国内で2012年にスウィーピングで各口座残高を日々ゼロにするゼロ・バランス・アカウント(ZBA)を導入。13~14年には欧米豪で、資金を実際に移動せずに資金集中化のメリットを享受する多通貨ノーショナルプーリング(MCNP)、14~15年にはアジアで、事業会社向けのSWIFTコード(BIC)を使い、キリバのシステム導入による資金の見える化……と、流動性インフラ整備を進めてきた。プロジェクトマネジャーとして指揮した同社の井上隆敬氏は「現場に通って自ら仮説を立て、意見交換をきちんとやりきること。そして、ぶれない軸や、それを形にした財務ポリシーを持つことが成功のポイント」と述べた。

先進的なインフラ構築成功の一方で、同社は、プロジェクトの失敗・途中断念も経験してきた。「実務について理解不足のまま、コンサルに丸投げして現場の抵抗に遭ったり、国内の仕組みのコピーを海外に押しつけようとしたことが、頓挫の原因にあった」と井上氏。「タイミングを間違ったり、現場の手触り感を欠いたままのプロジェクトは失敗につながる」と続けた。

デモンストレーション&クロージングスピーチ

川村 昌義 氏
キリバ・ジャパン セールス エグゼクティブ

キリバ・ジャパンの川村昌義氏は、キリバの特長について、一つ目に「業界トップの370行に接続実績を持つマルチバンク、マルチERP環境に対応した外部接続性の高さ」、二つ目に「トレジャリーに必要な要素をすべてモジュール化した業務適用範囲の広さ」、三つ目に「巨額投資が必要だったライセンス購入型と同等以上の機能を安価に早く導入できるクラウドサービス」――といった点を挙げ、「ワークシートによる手作業では、集計にタイムラグが生まれ、対応が後手に回る」と、自動化の必要性を訴えた。

石動 裕康 氏
キリバ・ジャパン トレジャリー・アドバイザー

石動裕康氏は、まず通貨リスクへの対応について、通貨別、各事業会社別の資金ポジションや、その時系列の推移がグラフや表により一目でわかる実際の画面を示して「さらに各事業会社の外貨のエクスポージャーとヘッジ状況もわかり、キリバ上から本社の指示をメール送信できる」と説明。さまざまな切り口の資金ポジション、流動性ポジションを把握することで「これまで見えなかった財務リスクを浮き彫りにして、アクションにつなげられる」と見える化のメリットを強調した。

副島 弘行 氏
キリバ・ジャパン 副社長

副島弘行氏は、トレジャリーをめぐるさまざまなリスクについて「国内は管理できていても、海外は子会社任せの会社もある。見える化がリスク削減の第一歩」と述べた。可視化、グループ内のネッティングおよびプーリング、グループ会社の支払代行を行うペイメントファクトリー、優良サプライヤーを囲い込むサプライチェーンファイナンスの順に導入時の難易度が上がる。副島氏は「キリバを利用すると、特定の銀行に頼らず現状の銀行取引を維持したままグローバルキャッシュマネジメントを導入でき、必要機能に絞って始められます」と導入しやすさをアピールした。