酒気帯び確認義務化、移動手段の多様化で負担増 進化型モビリティサービスで業務&コスト削減

外部環境の影響で変わる、車移動と管理のかたち
1981年設立以降、自動車リースを基盤に総合車両管理を提供してきた住友三井オートサービス(以下、SMAS/エスマス)。業界トップクラスのグループで約100万台の保有管理台数や国内拠点数38(同社調べ。2022年5月31日時点)を誇るリーディングカンパニーとして業界をけん引してきた。
近年はCASE(※)などの新潮流を受けて、オートサービスからモビリティサービスまで事業領域を拡大。これまで培った知見やノウハウをベースに、顧客の課題を解決するモビリティサービスの開発を進めている。
(※Connected(コネクテッド化)、Autonomous(自動運転)、Sharing&Services(カーシェアリング)、Electric(電動化)の頭文字を取った造語)

ソリューション営業第一部 部長
小関陽子氏
とくに同社が外部環境の大きな変化として捉えているのは、「移動手段の多様化」「働き方改革の加速(直行直帰増加)」「脱炭素化機運の高まり」「アルコールチェック義務化」の4つ。最先端のモビリティサービスのニーズが高い業種を担当する、ソリューション営業第一部 部長の小関陽子氏は、昨今の潮流をこう考察する。
「コロナ禍を契機に働き方が柔軟になったことで、車両の所有から利用へとニーズが変化しました。また、脱炭素化社会の実現に向けたCO2排出量削減は、あらゆる企業に関係するため、エコドライブやEV化の検討に踏み切るケースが増えています。
そして直近の大きなトピックは、2022年4月の道路交通法改正です。白ナンバー車両にも、安全運転管理者による運転者のアルコールチェックや、内容の記録と保管が義務づけられました。飲酒運転の根絶に向けて大きな影響があると同時に、社用車を使用するほぼすべての事業者が対象になりました」
酒気帯び確認を合理化できる「無料のサービス」
こうした潮流は、安心安全で持続可能な社会づくりに向けて好影響を期待できる。だが、一方で事業者の業務負荷につながる側面は否めない。アルコールチェックの義務化への対応も、直行直帰といったケースも多いことから記録にあたって運用が困難な企業は少なくない。

ソリューション営業第一部 部長付
今村和弘氏
そこでSMASは、アルコールチェック記録機能に特化したWebアプリ「ALnote(アルノート)」を2023年3月にリリース。記録管理をデジタル化できるため、運転者と管理者の双方の利便性向上を期待できる。アルコールチェック義務化に向けて、運用フローの構築に悩む白ナンバー事業者にはうってつけのサービスだ。ソリューション営業第一部 部長付の今村和弘氏は次のように説明する。
「確認者名や確認日時など記録が必要な項目は、PCやスマホから一画面で入力が完結できます。また、管理者画面からアルコールチェックの実施有無などの記録を素早く確認できるので、振り返りや集計の手間を省けます。入力にエラーがあった場合は通知されるので、紙と比較すると格段に精度が高いです」
現在、ALnoteは無料で提供されているが、その理由について「飲酒運転による不幸な事故を繰り返さないため義務化された、アルコールチェック時の企業の負担を減らしたいという思いから」と小関氏は明かす。

ALnote管理者画面のアルコールチェック実施一覧。管理者が運転者のアルコールチェック有無を確認できる
1億円削減した企業も。車関連の煩雑な業務に変化
実は、ALnoteは、SMASが提供している「Mobility Passport」のアルコールチェック記録機能をスピンオフしたもの。Mobility Passportとは、モビリティを取り巻く環境の変化とニーズの複雑化に直面する事業者を支援するために開発した、PC・スマホなどマルチデバイス対応のビジネスMaaSアプリだ。

Mobility Passportの主な機能は「社用車の予約」「運転日報の作成・運用(ペーパーレス)」「アルコールチェック記録機能」「運転免許証の期日管理」「稼働率の可視化」「レンタカー手配」など多岐にわたる。これ1つで、移動に必要な手続きや手配、管理を一元化できる。
日常的に移動を伴う社員にとってはビジネスシーンにおける快適なモビリティ体験の窓口に、安全管理者にとってはペーパレス化と一元管理による業務効率化につながる窓口となる、まさにパスポートのようなツールだ。
「社用車をはじめレンタカーやカーシェアリングなど複数の移動手段を、1つのアプリで手配・管理しやすくなります。社用車に空きがない場合や直行直帰の場合は、レンタカーを手配することで、コストの最適化を実現できます。また、アプリに入力した運転日報を基に、車両の稼働状況を可視化できます。紙ベースの日報では稼働データの集計や算出に負荷がかかりすぎますが、デジタル化することで管理者の業務効率化にもつながります」(今村氏)
利用料金は1ID月額300円(※)と明朗かつ導入ハードルの低さもポイントだ。(※税別、申し込みは10ID単位)
さらに、SMASがビジネス特許を取得している車両台数最適化サービスに契約すると、運転日報データを基に理論上削減可能な社用車台数の算出が可能だ。保有車両が多いA社は、半年かけて日報データを蓄積し、車両台数最適化サービスで算出した結果を基に約370台の車両を削減。費用の削減額はトータルで年間1億円を超えたという。
また、SMASの社内アンケートベースではあるが、Mobility Passport利用者の86%が業務削減につながったと回答。その効果は時間に換算すると月間一人当たり平均19.6分の削減に上る。
「稼働状況の可視化は業務効率化だけではなく、CO2排出量の把握にもつなげることができます。車両台数の最適化やモビリティミックスなど、今の時代に求められるソリューションが1つのアプリでカバーされているため、管理負担の軽減やスムーズな情報連携を可能にする点もメリットです。社用車台数の削減については、社内で不満の声が上がることも少なくありませんが、社用車に縛られないことによる利便性の高さを実感すると、満足の声に変わることがほとんどです。この満足の声を引き出すには、レンタカーなどの代替モビリティを社用車と遜色なく手配・利用できる環境を整えることが重要で、それを実現できるのがMobility Passportなのです」(今村氏)
ALnoteとMobility Passport、この2つのプロダクトには、30年以上にわたり、顧客に寄り添いながら最適な車両管理の実現をサポートしてきたSMASならではのユーザビリティへのこだわりが詰め込まれている。今後のモビリティサービスの進化に向けて、小関氏は最後にこう展望する。
「現在当社のソリューションは、社用車、レンタカーの領域にとどまっていますが、これからはバス、電車、タクシー、カーシェアなどの選択肢も増やし、移動に伴う煩わしい業務をすべて解決したいと考えています」(小関氏)
車両利用と管理のパラダイムシフトや法改正によって、これまでの手法では立ち行かなくなっている事業者は少なくない。業務の合理性や経済性の観点からも、進化型モビリティサービスの活用は賢い選択だといえそうだ。
※「Mobility Passport」と「ALnote」は、住友三井オートサービス・グループのSMAサポートよりご提供します。
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