事業活動拠点の整備が進む 「さいたま市」のポテンシャル

大宮駅東口大門2丁目中地区市街地再開発事業として、2022年4月に開業。1~6階は商業施設、10~18階はオフィスエリアとし、市民会館おおみや「RaiBoC Hall(レイボックホール)」も入る地上18階建ての複合施設。 (対談場所:市民会館おおみや「RaiBoC Hall」)
全国に先立ち上向いたさいたま市の景況
上西 2020年以降、全世界が新型コロナウイルス感染症や、原油価格や物価の高騰、急激な円安の影響を受けてきました。20年には全国的に20台に落ち込んだ景気動向指数(TDB景気DI)ですが、22年9月時点では、さいたま市は43.8にまで回復しました(図1)。

全国平均としては42.6、埼玉県は42.0なので、さいたま市は比較的高い数値となっており、事業者の景況感はよい方向に向かっているのではないかと考えられます。とりわけ、さいたま市においては、住宅を中心に活況が見られる不動産業や、巣ごもり需要拡大の影響で小売り・サービス業の数値が高くなっているようです。

さいたま市長
1962年埼玉県生まれ。2003年埼玉県議会議員就任、2009年より現職(現在4期目)
清水 本市では、市内経済を活性化させるため、切れ目ない経済対策を実施してきました。また、近年は本市の高速道路周辺地区に物流施設が多く建設されています。こうしたこともデータに表れたのでしょう。
上西 巣ごもり消費などによる急速なEC市場拡大を背景として製造業や物流業を営む企業にとっては交通の利便性が高い地域に物流拠点を置きたいはずです。そうした中で、企業がさいたま市を選んでいるということですね。
清水 今後も首都高の北伸の予定や、首都高と東北自動車道を結ぶ道路の構想もあるなど、交通の南北軸、東西軸を強化することで、交通の要衝としての本市の地理的重要性が今後ますます高まります。また、東北自動車道・浦和IC周辺の混雑緩和を目的として鶴巻ランプの整備を進めるなど、市内主要道路の渋滞解消に向けた取組を行っていきます。
産業集積拠点の創出に向けた6地区の開発

帝国データバンク 情報統括部長
1968年生まれ。2013年〜2017年、同社大宮支店長(北関東ブロック統括マネジャー)、2021年より現職
上西 多くの産業・事業体が集積するような機能も必要だと思います。今の国際政治や為替動向、人件費を考慮すれば、これから企業の国内回帰が進んでいく中で、そうした集積機能の需要が高まっていくのではないでしょうか。
清水 現在、市内6地区において進出企業の受け皿となる「産業集積拠点」の整備を進めています(図2)。東北自動車道・浦和ICの西側地区では、2社の民間事業者により物流施設の建設が予定されています。また、首都高北伸・宮前地区は、地元と民間事業者が土地区画整理事業の組合設立認可に向けて準備を進めており、対象としては研究開発施設、製造業、物流施設を想定。ここはJR川越線・西大宮駅に近く、国道17号と国道16号が交差し、北陸・信越方面や東京・横浜方面へのアクセスがよい所です。さらに、東北自動車道・岩槻ICから約4キロメートルに位置し、国道16号エリアにある川通地区では今後、製造業や物流施設の立地を推進するための準備を民間事業者が進めているところです。
上西 企業の国内回帰と併せて、サプライチェーンの再編も続きます。こうした背景から、研究開発・製造拠点の整備が進めば、さいたま市は企業にとって極めて好条件の場所になるでしょう。
オフィス供給が続くさいたま市
清水 大宮駅西口(図3)では、オフィス等のビルが続々と建設されており、今年は民間事業者により2つのビルが完成予定です。また、24年度、27年度にも再開発事業において、それぞれのプロジェクトによるビルが竣工予定となっています。さらに、約2.7ヘクタールに及ぶ市営桜木駐車場の土地活用方法を検討しています。
このほか、さいたま新都心周辺地区にも目を向けると、さいたま新都心バスターミナルほか街区に31年度の新庁舎整備に向け、検討を進めています。また、浦和駅西口の南高砂地区(図4)では、駅前広場の拡張と合わせ、市街地再開発事業による複合施設の建設が26年竣工予定で進められ、市民会館うらわと子育て支援センターが移転することにもなっています。

上西 首都圏の都市の中でも、これだけインフラが充実し、オフィスと住居のバランスのよい街はなかなかありません。こうして人が集まってくれば、ビジネスマッチングだけでなく、従業員の定着など雇用環境の充実にもつながるでしょう。興味深いことに、社長の年齢構成(図5)を見ると、50代以下の若い経営者の比率が全国と比較し高いことがわかっています。今後の都市開発により、さらに街が活性化することで、さいたま市はビジネスチャンスが広がる将来的にも有望な街になるのではないでしょうか。
清水 オフィス立地のメリットとしては、新幹線6路線をはじめとする合計13路線が乗り入れる大宮駅の存在も挙げられます。大宮駅から東京駅や新宿駅まで電車にて約30分で移動できることに加え、都内の主要エリアよりも地代や賃料を抑えた事業展開が可能です。さいたま市に拠点を持てば、東日本全体をビジネスエリアにすることができます。実際、21年度の1日平均乗車人員数で大宮駅は20万人超と全国のJR駅の中で8位となっています。加えて24年春、北陸新幹線が福井県まで延伸されることにより、大宮駅を通る新幹線が結ぶ埼玉以北の道県は16となり、これに大消費地である東京、千葉、神奈川を加えると、面積、人口ともに、日本全体の約50%以上をカバーすることとなります。新幹線により、さいたま市は日本全体の半分以上とつながり、東日本を中心としたより広域的なビジネス拠点になるとともに、域内の企業や自治体をつなぐ役割を担うことができます。
上西 移動が非常に便利なことに加え、人が集まっている場所であることを物語っていますね。BCP(事業継続計画)対策の強化や働き方改革を推進するためにオフィスを分散させる企業が見られる中では、本社機能の移転先としても検討しうる。さいたま市はまさしく「東日本の中核都市」と言えるでしょう。私たちの企業転出入動向調査でも、全国からさいたま市への21年の転入増加率は対前年比27.5%増であり、首都圏の政令指定都市における平均値よりも高く、19年以降3年連続転入増加となっています。
清水 本市には、若い子育て世代の方が多く集まります。22年の人口転入超過数は、市町村の中で全国1位、とくに0歳から14歳に限っては1520人で、8年連続全国1位となっています(図6)。
子育て世代が集まる要因の一つとして挙げられるのが、市立学校の学力向上に向けた取組を積極的に行っていることです。とくに英語教育では、本市独自に「グローバル・スタディ」を実施しています。令和3年度英語教育実施状況調査では、英検3級相当以上の中学3年生の割合が、全国平均より約40ポイント高い86.3%であり、3回連続全国1位となるなど、本市の取組による成果が、義務教育における学力の向上につながっており、子育て中の若く、働き盛りの世代に評価いただき、選ばれているのではないかと考えます(図7)。
また、日本経済新聞社「全国市区・SDGs先進度調査」では、2回連続総合1位となり、本市が率先してSDGsに取り組むとともに、市独自のSDGs企業認証制度により、SDGsの取組に意欲的な市内企業を認証し、企業のSDGs経営に対する支援も行っています。
人が集まり、企業が人材を確保しやすい、また、企業が持続的な経営を行いやすい環境が整っているさいたま市。これまで以上に皆様のビジネスパートナーとしてお役に立てるものと確信していますので、本市をぜひご活用ください。
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