日本企業の「人的資本経営」はなぜ遅れているのか 人材投資の少なさがもたらす構造的な課題とは

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フランクリン・コヴィー・ジャパンの竹村富士徳氏
フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社 取締役副社長 竹村富士徳
「人的資本経営」が注目されている。欧米ではESG投資の拡大とともに普及しているが、日本ではまだ遅れが目立つ。政府は、2023年度から上場企業の人的資本情報の開示を義務づける方針を示しているが、取り組みのレベルには差があるようだ。その背景には何があるのか。人材育成・組織開発コンサルティングファームのフランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社 取締役副社長の竹村富士徳氏に聞いた。

GDPに対する人材投資の国際比較で日本は?

経済産業省は、2022年5月に「人的資本経営に関する調査」の集計結果を発表。人的資本経営の重要性に対する理解は進んでいるものの、「取組を具体化していく段階で足踏みをしている」企業が多く、「経営戦略と人材戦略の連動」の進捗は相対的に遅れていると明記した。人材の価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値向上につなげるのが人的資本経営のあり方であることを踏まえると、実務レベルではまだ定着しているとは言いがたい状況なのは明らかだ。

なぜそこまで遅れているのか。フランクリン・コヴィー・ジャパンの竹村富士徳氏は、そもそも日本は人材への投資額が低いと指摘する。

「GDP(国内総生産)に対する人材投資の国際比較を見ると、日本の低さは際立っています。結果として、経営的な施策と人材戦略が結び付いておらず、研修などの施策をルーティンで進めているケースが多く見られます」

人材投資の国際比較_GDP比
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グラフは、厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」を基に経済産業省が作成したもの(出典:経済産業省「第1回未来人材会議」2021年12月7日開催 事務局資料より)

そうなると、受講する従業員は何のために取り組んでいるかわからず、自らの価値を伸ばせない。人材投資の少なさが、人的資本経営の実現を阻む構造を生んでいるのだ。

「こういう構造では、研修を実施してもなかなか成果につながりません。組織文化を変革する成果が得られたかを企業の人事担当者にお尋ねすると、ほとんどから『ゼロ』、よくて1割程度という答えが返ってきます」

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