22年続く企業がビズリーチに参画した舞台裏 「HRMOS経費」につながった「顧客第一」精神

拡大
縮小
イージーソフト代表・山本氏とビズリーチ代表・酒井氏
経費精算システムのパイオニアとして知られるイージーソフトが、ビズリーチに参画した。2022年11月、同社が提供していた「eKeihi」は「HRMOS(ハーモス)経費」としてリニューアルしている。従来の使い勝手のよさはそのままに、より進化を遂げていくというが、具体的にはどう変わったのか。ビズリーチ代表取締役社長の酒井哲也氏とイージーソフト代表取締役の山本覇利努(はりど)氏に、参画の経緯から「HRMOS(ハーモス)経費」の進化のポイント、「HRMOS(ハーモス)」シリーズの展望まで語ってもらった。

生産性向上に経費精算業務の効率化が必要な訳

――イージーソフトがビズリーチの一員となったきっかけは何だったのでしょうか。

覇利努​ イージーソフトは2000年の設立以来、経費精算領域に特化したシステム開発・提供をしてきました。しかし昨今、経費精算領域は大きな転換期を迎えています。働き方改革やDXの進展によるビジネス環境の変化に加え、インボイス制度や電子帳簿保存法といった法改正もあり、経費精算のみの機能だけではお客様企業の本質的な課題解決ができなくなるという危機感がありました。

経費精算は、業種・業界を問わずすべての企業で、すべての従業員が日常的に行う業務の1つです。だからこそ、幅広い日常業務にひも付いているさまざまなシステムと連携しなくてはならない。そう考えていたタイミングで、ビズリーチから提携のお声がけがあったんです。

人材・組織に関する強さは非常に魅力的でしたし、「キャリアインフラ」を目指している企業姿勢にも共感し、グループへの参加を決断しました。

酒井 ビズリーチはHR領域でビジネスを展開してきましたが、企業の人事・経営のニーズは非常に複雑多様化してきています。しかも、国際競争力やデジタル競争力といった面で、日本は残念ながら他国に出遅れているのが現実です。そうした状況下で、いかに生産性を向上させるのかを突き詰めていくと、日常の定型業務を効率化し、働き方を改善していくことが求められます。

とりわけ、誰もが日常的に行う経費精算業務は大きく改善できる余地があります。しかし、ビズリーチはその知見が十分ではないため、イージーソフトとのパートナーシップを通じて、お客様へ新たな価値を提供できるのではないかと考えました。

ビズリーチ 代表取締役社長 酒井 哲也 氏
ビズリーチ 代表取締役社長
酒井 哲也

――経費精算システムを開発・提供している企業の中で、イージーソフトに着目した理由は何でしょうか。

酒井 まず、経費精算システムのパイオニアとして、多数のお客様の信頼を獲得していることが非常に大きかったですね。加えて、「人」も魅力的でした。人材や組織に向き合ってきたからこそ思うことですが、どういった信条を持ち、どのような姿勢でお客様と対峙しているかが最もその企業を表します。覇利努さんをはじめとする従業員の皆さんと接し、その姿勢に共感したからこそ、パートナーシップを結ぶことができたと思っています。

約20年にわたって継続利用する企業が多い理由

――そもそも、なぜイージーソフトは経費精算システムを手がけたのでしょうか。

覇利努 私は、縁あって1989年にパキスタンから来日しました。その頃から起業への意欲があり、いろいろと模索をしていた頃にウェブが普及し始めたんです。ウェブを活用して多くの人に役立ちたいと考えたとき、当時システム化されていなかった経費精算に着目しました。あらゆる人が携わる業務なので、当時主流だったクライアントサーバーシステムではなく、ウェブのほうがメリットを提供できると考えました。

ところが、当時は経費精算システムという言葉もなく、当然マーケットも存在していません。私自身、経理業務をやったこともありませんでしたから、とにかくお客様へのヒアリングを徹底しました。お客様の困り事を解決するため、日々改善に取り組み続けてきた22年間でした。

酒井 イージーソフトがお客様との接点を持ち、課題を解決するというサイクルを回し続けてきたことは、プロダクトの質の高さにも表れています。実際、20年以上にわたって継続利用している企業も多く、規模も数十人から数千人まで幅広くカバーしています。

――2022年11月に「HRMOS経費」としてリニューアルしましたが、従来の「eKeihi」からどのように進化したのでしょうか。

覇利努 「eKeihi」はこれまで、基本プランに豊富な機能を搭載したうえで、お客様の状況や要望に合わせて柔軟にお使いいただいてきました。「HRMOS経費」は、その特徴をそのままに、「HRMOS」シリーズのエンジニアチームとの連携を通じ、さらなる安定稼働と使いやすい機能の開発を強化しています。

イージーソフト株式会社 代表取締役 山本 覇利努 氏
イージーソフト 代表取締役
山本 覇利努

「HRMOS経費」の具体的な特徴は大きく3つあります。1つ目は「法改正対応」。とくに23年10月からのインボイス制度や、23年12月に宥恕措置の期限を迎える電子帳簿保存法の電子取引におけるデータ保存義務は、業務負荷の大幅な増加が予想されますが、「HRMOS経費」はどんな法改正にも随時迅速に対応しますので、安心してお使いいただけます。

2つ目は「低コスト」です。初期費用0円で、月額費用は2万9000円(税別)からと安価ですが、多彩な機能をご利用いただけます。そして3つ目が「サポート」です。22年間貫いてきたことですが、導入がゴールではなく、お客様が日々便利に使っていただくことを最重視していますので、導入後のサポートにはとくに力を注いでいます。電話やメールでのお問い合わせは無制限で受け付けています。

人事管理システムに経費精算が加わる価値とは

――ビズリーチの「HRMOS」シリーズは、人材活用プラットフォームとして採用管理や勤怠管理、従業員データベース、目標・評価管理、組織診断サーベイ、1on1支援機能などを提供しています。「HRMOS経費」が加わることで、利用する企業はどのようなベネフィットが期待できるのでしょうか。

酒井 「HRMOS」シリーズならびに「eKeihi」をご利用いただいているお客様には、生産性向上のための新たな選択肢をご用意できると考えています。「今まで以上にお客様に提供できるものが増えた」というのが率直な思いで、もっともっとお客様の期待に応えて、日本全体を元気にしていきたいと意気込んでいるところです。

現時点では、「HRMOS」シリーズに新たなモジュールとして「HRMOS経費」が加わった状態ですが、将来的にはモジュール間で有機的なつながりを持たせて、より高い付加価値をお客様に提供していきます。

HRMOS経費でできること
※インボイス制度対応機能は2023年夏ごろにリリース予定。
出典:https://www.ezsoft.co.jp/ekeihi/

例えば、従業員データベースと連携させることで、つねに最新の従業員情報とひも付いた効率的な申請・支払い業務が可能となります。管理者の承認画面と従業員の申請画面を一元化すれば、管理者のみならず従業員全体が使いやすくなります。そうやって生産性を向上し、日常の定型業務を効率化することは、一人ひとりの価値を高めるための時間確保につながり、働く人が自分らしいキャリアを築くために必要な「キャリアインフラ」構築への大きな一歩になると確信しています。

覇利努 経費精算領域の市場競争は激しさを増しています。その中で、人事管理システムと密接に連携した経費精算システムという独自性は強みだと感じていますし、お客様へ新たな価値を提案できると思っています。実際、これまで「eKeihi」をご利用いただいてきたお客様からの反応は非常によく、大きな期待を寄せられていると感じています。

――参画にあたっては、シナジー効果がどう発揮されるかも気になるところですが、そのあたりの感触はいかがでしょうか。

覇利努 社内でどう受け止められるか不安もあったのですが、とても前向きで、ビズリーチから新たなものを取り入れたいという意欲にあふれていますし、変化を楽しんでいます。他社の文化に触れる機会もなかったので、よい刺激を受けてプラスの効果が出ていると感じています。

酒井 お互いにそうした前向きな姿勢なので、スムーズに目的に向かうことができていると感じています。そもそも、お互いに異なる企業文化を醸成してきたわけですから、まず「違う」ことを理解することが大切です。そのうえで、お互いのいいところを取り入れていくことが大切だと思っています。Visionalグループはバリューの1つに「変わり続けるために、学び続ける」を掲げています。現在、20名以上がイージーソフトに出向していますが、とくにお客様に向き合う姿勢には学ぶところが多いようで、「真摯な姿勢に心打たれた」との声も上がっています。HR領域にとどまらず経費精算領域という選択肢が増えたことで、ビズリーチのメンバーのキャリアの可能性も大きく広がると考えています。

覇利努 今までどおりお客様へ丁寧に向き合いつつ、さらに手厚いサポートが可能となりましたので、より強力な業務改善と最適な情報提供をしていきたいと思っています。昨今難易度が高まっている人材獲得でも、ビズリーチと共に歩むことでよい方向に進む手応えを感じています。ぜひ今後の「HRMOS経費」および「HRMOS」シリーズの飛躍にご期待ください。

お問い合わせ
イージーソフト