AIで契約書を管理する時代「脱ハンコ」のその先へ 三井住友FG+弁護士ドットコムだからできる

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クラウド型の電子契約サービスが急速にユーザー数を増やしている。きっかけとなったのはコロナ禍だ。テレワークの普及により「脱ハンコ」需要が拡大した。最近ではさらにAI(人工知能)を活用した契約書の管理機能も登場している。契約日や契約金額などを自動で読み取り、過去の契約の検索も容易になると好評だ。

金融機関や自治体でも導入が進む「SMBCクラウドサイン」

「『AI契約書管理』をリリースしたのは、2022年7月ですが、当初の想定を大幅に上回るペースで、多くのお客さまからお申し込みをいただいています」と語るのは、SMBCクラウドサイン 事業企画部長の柳澤隆大氏だ。

同社は19年、三井住友フィナンシャルグループ(FG)と弁護士ドットコムの合弁で設立された。出資比率は三井住友FGが51%、弁護士ドットコムが49%だ。同社は、契約締結や契約書の保管をオンライン(クラウド)で完結させるサービスを提供する。

SMBCクラウドサイン 事業企画部長 柳澤隆大 氏
SMBCクラウドサイン
事業企画部長
柳澤 隆大 氏

「新型コロナウイルス禍によりテレワークを進める企業が増えたこともあって、導入実績が急速に伸びています」と柳澤氏は紹介する。

背景には、大手金融グループの三井住友FGとリーガルテックを牽引する弁護士ドットコムがタッグを組んだ信頼性があるだろう。

「不正アクセスを防止する高いセキュリティー、電子署名とタイムスタンプを利用することによる堅牢性と真正性の確保などには自信を持っています」(柳澤氏)

これらが評価され、SMBCグループでは三井住友銀行をはじめ20社超がSMBCクラウドサインをすでに導入しているという。地銀や民間企業、さらには政令指定都市を含む各地の自治体、行政機関でも、SMBCクラウドサインの導入例が増えている。

「AI契約書管理」が契約書の書類情報を自動登録する

SMBCクラウドサインの導入によって、企業や自治体における契約締結や契約書の保管の仕組みを変えることが可能だ。契約書の印刷や製本、紙での保管の必要がなくなり、ペーパーレスを実現。何より、従来は契約書への押印のために書類を持参したり郵送したりする必要があった。さらには押印のためだけに出社をするケースもあったが、その日数や手間を大幅に削減できる。

「ただし、私たちは設立当初から、『脱ハンコ』だけでなく、契約情報の管理なども含めてサポートしたいと考えていました。それを実現するのが、このたびリリースした『AI契約書管理』です」と柳澤氏は話す。

AI契約書管理」は、締結した契約書をAIが自動で読み取り、契約日や契約金額などのデータをSMBCクラウドサイン上に自動で登録する機能だ。22年7月のリリース以降、足元では2000社超の企業に導入され、契約書管理サービスではすでに国内トップクラスのシェアとなっている。さらに22年12月には解析可能な契約書の種類も大幅に拡大し、幅広いビジネスシーンにおいて本機能を活用することが可能となった。

「せっかく契約書をデジタル化したのに、書類の情報を手入力で行っていては、本当の意味での契約プロセスの迅速化や低コスト化にはつながりません。「AI契約書管理」がその課題を解決するものになると自負しています」と柳澤氏は語る。

情報登録の手間の削減だけでなく、検索性も向上するので、22年1月に施行された改正電子帳簿保存法(23年12月末まで猶予期間)にも対応できる。

「有効期限やアラート機能も備えており、期限管理を効率化することもできます。解約を未然に防ぐ提案などにも活用いただけます」(柳澤氏)

特筆すべきは、「AI契約書管理」は、SMBCクラウドサインの利用者であれば、別途追加料金なく無料で利用できることだ。このような形で無料で契約書管理サービス利用ができる仕組みは国内初の例となる。

「将来的には、契約ライフサイクル管理(Contract Lifecycle Management:CLM)の支援を視野に入れた、契約書の作成から締結・管理さらには履行・決済までのサービスをワンストップで提供し、その先には契約書データを活用したデータビジネスも展望したいと考えています」と柳澤氏は力を込める。

その言葉どおり、SMBCクラウドサインが、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)や競争力の向上に寄与することになりそうだ。

※SMBCクラウドサイン調べ(2023年1月時点)

「AI契約書管理」でコア業務への特化が可能に
クラシテ

クラシテは、1976年に創業して以来、45年以上にわたり実績を積み重ねてきたマンション管理会社だ。マンションデベロッパー系列ではない独立系管理会社としてきめ細かなサポートを行い多くの管理組合から高い評価を得ている。

取締役 企画・営業統括の武江政空氏は「当社では現在、全社的なDXを推進しており、業務改革に取り組んでいます。その1つが契約書類の電子化です」と語る。SMBCクラウドサインの導入もその一環だ。

クラシテ 武井政空 氏
クラシテ
取締役 企画・営業統括
武江 政空 氏

「当社は約1000棟の建物管理業務を受託していますが、年間3000件ほどの工事が発生します。一方で、500社を超える協力会社もあります。これまで、お客さまとの管理委託契約書、請負契約書、工事注文書や、協力会社との基本契約書などは持参したり郵送したりしていたのですが、時間と手間がかかるのが課題でした」(武江氏)

SMBCクラウドサインを利用することで、それらの電子化が可能になり、締結までの時間も大幅に短縮できるようになったという。同社横浜1チーム チーム長で、社内の電子契約プロジェクトリーダーも務めた大門利光氏は「これまで契約日や契約相手の名称、取引金額などの情報は担当者が手入力で表計算ソフトに転記していました。それを何とかしたいと考えていたところ、『AI契約書管理』の機能の紹介がありました。早速実証実験を行ったところ、非常に精度がよく、全社的に導入することにしました」と話す。

クラシテ 大門利光 氏
横浜1チーム
チーム長
大門 利光 氏

契約業務の迅速化が可能になっただけでなく、新たな成果も生まれているという。「SMBCクラウドサインの『AI契約書管理』は検索性も優れています。同規模のマンションでどのような修繕工事を行っているのか参考にして提案したり、工事費を比較し、より適正な原価管理を行ったりできるようになりました」(大門氏)。

武江氏は「SMBCクラウドサインの導入により、ルーチン業務を削減しコア業務に特化することができるようになりました。引き続きSMBCクラウドサインの活用によるDXを進め、お客さまにより質の高いサービスを提供したいと考えています」と期待を寄せる。

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