脱炭素社会移行に貢献する長期的な運用戦略 豊富な人材が支えるESG投資
エネルギー危機や気候変動
このリスクをどう捉えるべき?
2022年はロシアのウクライナ侵攻をきっかけにエネルギー危機が発生し、景気後退の懸念が高まった。しかし、経済情勢が一変する中で加速した動きもある。J.P.モルガンAMの機関投資家ビジネス クライアント・アドバイザーの岡田千枝氏はこう解説する。
「2050年までの温室効果ガス排出ネットゼロ達成に向けた動きは、グローバルで強まっています。とくに欧州では、ロシア産化石燃料への依存からの脱却を目指し、再生エネルギーなどの代替エネルギーへの転換を急いでいます」
一方、リスクは投資機会でもある。岡田氏の解説はこうだ。
「脱炭素社会の実現には、日本国内だけでも、2050年までに累計約260兆円に上る研究開発費と設備投資が必要とされています※。グローバルではさらに大きな資金需要があると考えられます」
ネットゼロ達成に向けて企業が資金を必要とする中、投資家が果たすべき役割は大きい。ただ、個別の企業や資産が脱炭素への移行に貢献するものかを判断するのは簡単ではない。そこで頼りになるのが資産運用会社だ。
J.P.モルガンAMは、JPモルガン・チェース傘下の資産運用部門。資産運用残高は約323兆円と世界有数の規模を誇り、その投資判断が社会に与えるインパクトも大きい。それだけに社会的な責任も大きく、国際的イニシアチブである「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ」に参加するなど、ESG投資を通して脱炭素化を促進するための取り組みに力を入れている。
「投資商品やスチュワードシップ活動(投資先企業との対話や議決権行使)を通して、脱炭素に取り組む企業への投資を促しています。長期投資を基本理念としていますが、気候変動の問題の解決にはさらに長期的な視点が必要です。強みのリサーチ力を生かして、日本の投資家の皆様に最新の動向やソリューションをご提供できると考えています」(岡田氏)
脱炭素社会への対応企業、見分ける2つの視点
脱炭素への移行は長期戦だ。それゆえESG投資には、持続的に企業価値を高めていく銘柄を選定する力が欠かせない。J.P.モルガンAMはどうやって投資先企業を見極めているのか。サステナブル・インベスティング・チーム ストラテジストの島田知実氏は2つの視点を挙げた。まず1つは、脱炭素移行に向けて準備体制ができているかどうか。
「事業計画や脱炭素に関する目標設定のプロセスなどを分析することで、ネットゼロ達成に必要な人材やテクノロジーなどのリソース、経営層のリーダーシップなどを評価します。例えば目標設定はSBTi(科学に基づいた目標設定イニシアチブ)に沿ったものか、目標までの道のりに具体性はあるか、計画が主要事業計画の中に組み込まれているかといった点を見ます」
もう1つの視点は、脱炭素への移行に貢献する素材あるいは技術・商品・サービスを提供しているかどうか。
「素材であれば銅やリチウムなど、商品やサービスであればクリーンテクノロジーや電化、再生エネルギー関連などが該当します。ほかに食料の安定供給と環境保護の両立に貢献する技術など、脱炭素社会の実現に必要となるイノベーションは多岐にわたっています」(島田氏)
豊富な人材の知見を結集して脱炭素40項目を評価
脱炭素移行に貢献する企業を見抜く基準はわかった。次に重要なのは、誰がどのように銘柄を選定するかだ。
J.P.モルガンAMは、投資先企業のESGに関する定性的評価について株式・債券部門共通の40項目を設定。運用チームで各セクターを担当するアナリストが評価を行い、データベース化する。アナリストは米国や欧州、東京など各拠点に在籍して、オンラインのみならず対面で日々情報収集を行う。定性的な評価は人によってばらつきが出やすいが、実はここにJ.P.モルガンAMの強みがある。
「業界ではアナリストとして経験を積み、ポートフォリオ・マネジャーになるキャリアが一般的です。一方、J.P.モルガンAMではアナリストとして20年30年と経験を重ねて企業分析の腕を磨いてきた人が多い。企業とのやり取りを日々重ね、今後の事業計画や戦略を熟知したうえで評価するので、真に各企業が長期的な価値成長につながる取り組みをしているかの判断ができると考えています」(島田氏)
定性的な評価を行うにしても、ベースには科学的なデータが必要となる。ESG領域での定量的分析を支えるのが、運用チームとは別に存在する「サステナブル・インベスティング・チーム」だ。運用チームは普段の分析の中にESGの視点を組み込むが、このチームはサステナブル投資の専任で、気候変動のサイエンティストなどの専門家を含む35人で構成されている(22年11月末現在)。
「サステナブル・インベスティング・チームは3つの役割を持っています。その中のリサーチとデータ分析を担当するチームは、各国の気候変動政策が及ぼすマクロ的な影響を試算したり、『このセクターの分析に水質のデータを使うなら、こちらのデータソースのほうが関連性は高い』というようにデータのデューデリジェンスを行うなど、科学的な知見を生かして分析のインフラ整備やツール開発を行っています。環境のスペシャリストは引く手あまたですが、専任のポジションを用意していることや、J.P.モルガンAMが持つ社会的影響の大きさに魅力を感じて入社していただけることが多いです」(島田氏)
経験に裏付けられた豊富な知見を持つ運用チームと、科学的かつ専門的な知見を持つサステナブル・インベスティング・チーム。2つのチームが両輪となり、J.P.モルガンAMは脱炭素移行に真に貢献する企業を見極めている。
グローバルの情報提供力で投資家のESG投資を支援
評価はデータベース化され、ESGインテグレーション(投資リターンに重要な影響を与えうるESGファクターを投資判断に採り入れること)が行われる。すでに株式、債券、オルタナティブの資産クラスでインテグレーション済みだ。グローバル債券運用部門インベストメント・スペシャリストの小役丸浩司氏は、サステナブル・インベスティング・チームとの協働を強調する。
「私たちはリサーチ重視のアクティブ運用を行っており、個別の企業や国、資産の分析を投資判断に採り入れる手法は確立されていました。そもそもその手法とESGインテグレーションは親和性が高いのですが、さらにサステナブル・インベスティング・チームが開発したツールなどが加わり、システマチックかつ機動的な運用が今まで以上にできるようになりました」
両チームの協働はプロダクトの設計にも生かされている。小役丸氏が例に挙げるのはCO2排出量を一定の範囲内に抑える企業を投資対象にするような運用戦略だ。
「CO2排出係数が第三者機関によって異なっていたり、企業によって公表データが不十分なケースも多い。そこはサステナブル・インベスティング・チームと連携して補ってもらいながらプロダクトの設計をしています」
J.P.モルガンAMの強みとしてもう1つ欠かせないものがある。グローバルな情報提供力だ。もともと顧客には定期的な運用報告をしているが、10~15年の長期の市場見通しをまとめたレポートを年1回発行したり、3カ月ごとにオルタナティブ資産を定点観測するレポートを発行するなど、中長期の投資・運用に資するレポートも充実。また、前述のように国際的イニシアチブに積極的に参加しており、グローバルのネットワークを通じて得られる最新の情報も提供している。
「私たちの使命は、日本の投資家の皆様に広い視野と選択肢をご提供すること。今後も海外で行われているESGの議論やトピックをお客様と共有していきます。一方、日本の投資家の皆様のニーズを海外に伝えていくことも重要です。グローバルの資産運用会社として、ESG投資に取り組む日本の投資家の皆様の資金が正しく運用されるようにサポートを続けていきたいですね」(岡田氏)
ESG投資を進めるうえで必要な人材や知見、情報を有するJ.P.モルガンAM。ESG投資を検討する投資家にとっては心強いパートナーとなるだろう。
〈リスクについて〉弊社で行う運用においては、国内外の株式、債券及びその他の資産等を投資対象とするため、株価、金利、その他の金融指標等の変動による投資資産の価格の変動、組入有価証券の発行会社等の財務状況の悪化や倒産等の影響により、損失を被ることがあります。また、外貨建の資産に投資する場合は、為替の変動により損失を被ることがあります。
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