東急不動産が鬼怒川で提案する「もう一つの日常」 「会員制リゾートホテル」に近年注目が集まる訳

鬼怒川で実現する「滞在が目的となるホテル」
栃木県日光市にある日本有数の温泉郷、鬼怒川。都心から車や電車で約2時間、東武鉄道鬼怒川線「東武ワールドスクウェア駅」から徒歩3分の好立地に昨年12月、オープンしたのが、東急不動産が展開する会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブVIALA鬼怒川渓翠」だ。
鬼怒川渓谷沿いという自然にあふれる抜群のロケーションで、渓谷の原風景を間近に感じながら、鬼怒川の醍醐味である温泉を楽しむことができる。このホテルの魅力について、東急不動産ハーヴェスト事業部統括部長の大柴信吾氏は次のように語る。

ウェルネス事業ユニット ホテル・リゾート開発企画本部
ハーヴェスト事業部 統括部長 大柴信吾氏
「VIALA鬼怒川渓翠は、全国に広がる当社の会員制リゾートホテル『東急ハーヴェストクラブ』の27施設目としてオープンしたホテルです。ホテルでの滞在自体が目的となるように、広くゆったりした客室をそろえ、温泉や食事も充実させています」
その言葉どおり、VIALA鬼怒川渓翠の48客室の面積は57~152m²と広い。標準定員2人のデラックスタイプに加え、最大6人で利用できるファミリースイート、100m²を超える広さを持つメゾネットタイプのシグネチャースイート、そのほかペットも泊まれる客室など、さまざまなタイプの客室を用意している。

そして最大のポイントが、全客室に自家源泉の温泉露天風呂を備えていることだ。客室は鬼怒川渓谷に面しているため、温泉につかりながら、あるいは段差に腰を掛けられるバルコニーやコンサバトリー(屋内テラス)でゆっくりしながら、渓谷の景色を楽しむことができる。何ともぜいたくなひとときだろう。
周辺の季節を楽しむ際の拠点に、または自然浴や温泉でのリフレッシュのためだけの滞在や、家族そろっての集まりの場、友人同士の語らいのためなど、さまざまな活用シーンのイメージも膨らんでくる。

「客室でのくつろぎ」にとどまらない価値提供も
客室以外も充実している。2種類あるテラスのうち、屋外にある「KINUGAWA TERRACE」では、渓谷の自然を間近に感じたり、ファイヤーピットの炎を囲みながらリラックスしたり。もう一方、屋上にある「THE VIEW TERRACE」では、昼は開放感ある空間で山々や緑を眺めたり、夜には満天の星空を見て楽しんだりすることが可能だ。


「鬼怒川の醍醐味である温泉を、もっと開放的に楽しんでほしい」という思いの下、用意したのが露天風呂付きの温泉大浴場。木目調のドライサウナとタイル張りのヒーリングサウナという2種類のサウナも設置されていて、趣向の異なるサウナで「ととのう」ことができるだろう。また、屋上には貸し切りで利用できる「PRIVATE SPA(家族風呂)」も備えている。


さらに、特徴的なのがレストランだ。「火・発酵・自然」をコンセプトに、SDGsを意識した取り組みを行っている。
例えば、調理には薪火、炭火、藁火といったさまざまな自然の火も使って、素材の味を引き出す工夫を凝らした料理を提供。食材はとちぎ和牛、イチゴ、たまり漬けやみそなどの発酵食品といった地元産を積極的に採用している。また、市場に出すことができない規格外野菜も仕入れるなど、地域の食文化や生産者、農産物の発展へ寄与している。

調理場やカウンターキッチンの燃焼材として使用するのは、栃木県内や隣県の森で生じた間伐材だ。薪を使用した分の植樹寄付活動も行い植林の促進につなげている。
カトラリーや食器も、既存の東急ハーヴェストクラブ施設で使用しなくなったものを集め、エイジング加工や金継ぎを施して再利用。このようにサステナブルな取り組みを数多く行っている。
なお、VIALA鬼怒川渓翠では、館内の電気をすべて再生可能エネルギーで賄っているという。地域社会や環境への寄与も目指し、ホテル全体で客室でのくつろぎにとどまらない価値を提案しているのだ。
最近の新たなニーズの1つであるワーケーションでの利用も想定し、設備を整えている。「屋内には防音仕様の専用ブースを用意しているほか、高さ約8mの開放感ある窓から渓谷の自然を存分に感じながらラウンジで作業をしたり、屋外のテラスでチームビルディングの一環としてファイヤーピットの炎を囲みながら会話を楽しんだりすることが可能です。
『別荘とホテルのいいとこ取り』を実現したVIALA鬼怒川渓翠。ここで、ニューノーマルな時代における新たな滞在スタイルを提案していきたいと考えています」と大柴氏は力を込める。
コロナ禍で求められた「安心感」あるステイ
VIALA鬼怒川渓翠を最新ラインナップとする「VIALA」は、広い客室を取りそろえ、一部施設では全客室に温泉を引くなど、“部屋でのくつろぎ”を追求したシリーズだ。コロナ禍以降、東急ハーヴェストクラブの中でもとりわけニーズが高まっているという。これまで軽井沢や京都、熱海などで展開してきたが、VIALA単独の施設がオープンするのは14年ぶりになる。
東急ハーヴェストクラブが新たな展開に力を入れる背景にあるのは、ここ数年の「会員制リゾートホテル」に対する需要の高まりだ。
「コロナ禍によって海外旅行に行けなくなったことで、国内リゾートへの注目が高まっているのです。とくに会員制リゾートホテルはプライベート性や、安心してゆっくり過ごせることが評価され、コロナ禍でも高い稼働率を示しています。会員の方はファミリーや友人の方々と利用されるケースが多いです」と大柴氏。

実際に東急ハーヴェストクラブでは、2020年秋ごろから会員権の成約数が伸び始め、仲介市場では売り物件の不足や仲介価格が上昇する施設も多く見られるという。今まで問い合わせを受けたことのない新規顧客の割合も増えたほか、企業の福利厚生として活用する事例も増加している。
コロナ禍で国内旅行や安心できるホテルステイが求められたことにより、距離的にも日常の延長上にある身近な「もう一つの日常」を気軽に過ごせることから、会員制リゾートホテルの需要が高まっているといえるだろう。
「一般のホテルでは観光のような『非日常』を求めますが、会員制リゾートホテルでは、利用するとホテルスタッフとも顔見知りになり、『おかえり』や『ただいま』が生まれる。普段の日常とは異なるもう一つの日常、『異日常』の過ごし方を提案しています。ハードとしてだけでなく、空間としての居心地のよさを感じ、リフレッシュしていただきたいです」(大柴氏)
「別荘を持つ歓び」と「ホテルの手軽さ」を両立
こうした高い人気を集めている東急ハーヴェストクラブは、別荘での手間やコストのかかる掃除や管理をすることなく、「別荘を持つ歓び」と「ホテルの手軽さ」を同時に体験できることをコンセプトに、1988年に長野県蓼科を第1号として誕生。2022年末時点で全国に27施設を展開する。

「開発から販売・管理まですべてを一括して東急不動産が担っています。現在の会員数は約2万6000人と、国内会員制リゾートホテルで大手です」(大柴氏)
東急ハーヴェストクラブの特徴は、少数オーナー制とホームグラウンド制を採用していることにある。具体的には、1室当たり12人または10人と限定した少数オーナー制で、購入した施設をホームグラウンドとして、その施設を優先的に予約できるほか、全国の施設も相互に利用できる仕組みだ。
実際に宿泊する際は、年間30枚ないしは36枚の利用券を発行するチケット制を採っており、1枚で1泊1室の利用となる。土日祝日のほか、ゴールデンウィークや夏休み、正月などのトップシーズンでも、料金は平時と同一。チケットを渡せば、家族や友人など会員本人以外でも同料金で施設を利用することが可能だ。
VIALA鬼怒川渓翠の開業をはじめ、今後も多様化するニーズに誠実に応えようとしている東急ハーヴェストクラブ。「別荘とホテルのいいとこ取り」で普段と異なる日常を体験し、くつろぐことができる会員制リゾートホテルの利用拡大を後押ししていくだろう。大柴氏は今後の抱負をこう語る。

「今、会員制リゾートホテルに対する期待は高まっています。中には複数の会員権を所有し、季節ごとに別荘で過ごすように利用される会員の方もいらっしゃいます。新規のお客様の問い合わせも増え、40代の方々からの関心も高くなっています。
今後も私たちは一般のホテルとは違う形で、会員制リゾートホテルにおける“もう一つの日常”を提案し、利用者の皆様の家族・友人との思い出づくりや、心と体のリフレッシュ・健康づくりに貢献していきたい。そのためにも東急不動産は、今後もさらに会員制リゾートホテルに注力していく考えです」