東京海上日動が「AI翻訳」を4万人に導入した訳 「英語ができる」社員の業務効率化にも貢献
世界46の国・地域で事業を展開している東京海上ホールディングスは「グローバルなリスク分散」と「グローバルベースでのグループ一体経営」を推進している。 そのグループ傘下である東京海上日動火災保険においても、海外拠点や海外ベンダーとのやり取りが増加。加えて各国・地域の業務に関する情報収集が欠かせなくなっている。
同社ではグローバル化に伴い社員の英語力の強化に取り組み、ビジネスレベルで英語を使える人材は増加しているが、ネイティブスピーカーではない社員がゼロから資料などを翻訳するのは負担が大きいという悩みがあった。また時間がかかる一方で、翻訳作業自体が付加価値を創出するわけではない。
そこで検討されたのが「社員が安心・安全に使える翻訳ツール」の導入だ。もしインターネット上の無料翻訳ツールを社員が利用し、情報漏洩につながってしまったら――。これは金融機関としてあってはならない事態だ。翻訳精度や使いやすさだけでなく、セキュリティが強固であることも必須だと考えた。
検討の結果、同社が選んだのは、NTTコミュニケーションズのAI自動翻訳サービス「COTOHA® Translator」(以下、COTOHA)だ。COTOHAはTOEIC960点超レベルの翻訳精度を誇る。また翻訳結果ファイルはすべて暗号化され、翻訳処理したテキストログはサーバーに保存しないなど、セキュリティが強固だ。
2020年4月からグループ会社を含めて導入したところ、その効果は当初の想定以上だったという。語学が不得意な社員の支援にとどまらず、語学が堪能な社員の業務効率向上、多国籍の社員が参加するプロジェクトのコミュニケーションの円滑化にも貢献しているそうだ。
22年9月からCOTOHAによる中国語翻訳も導入した同社では、どのように翻訳サービスを業務の改善に活用しているのだろうか。導入に至るまでの経緯や具体的な活用法、導入後の変化について話を聞いた。