日東電工の社内を驚かせた「間接材」の金額比率 支出の可視化でガバナンス強化以上の波及効果

ITシステムや人材派遣、設備投資も「間接材」
創業100有余年、ニッチ分野で数多くのトップクラスのシェアを持つ製品を生み出している日東電工(Nitto)は、エレクトロニクスからライフサイエンスまでさまざまな業界へ幅広い製品を提供している高機能材料メーカーだ。顧客数は非常に多く、原材料の調達業務はつねに納期調整に追われている。その陰に隠れ、間接材の調達コストは把握しきれていなかったと調達本部 戦略企画部 部長の上原佳子氏は明かす。

調達本部 戦略企画部 部長
上原佳子氏
「間接材は売り上げや利益に直結せず、投資対効果も見えにくいので、見過ごされてきた面があります。でも、コストや調達内容の適正性も不明ですし、サプライヤーの選定基準が見えないのも気になるため、2017年6月に一部拠点でクラウド調達・購買システム『SAP Ariba(エスエイピー アリバ)』を導入して支出の可視化を図りました。そうすると、原材料支出と間接材支出の割合が『原材料:間接材=3:2』であることがわかったのです。そこまで間接材支出が多いとは誰も思っていませんでした」
間接材の範囲は意外と広く、工具や保安資材、燃料、各種消耗品のほかITシステムやソフトウェア、人材派遣に業務委託、BPOなどの各種ビジネスサービス、設備投資や建設費まで含まれる。そのため、ある程度の額に上ることは織り込み済みだったとはいえ、調達本部や経営層へ与えたインパクトは大きかった。
加えて、それまで見えていなかった実態が浮き彫りになった。間接材調達に関しては明確なルールが存在せず、拠点やエリアによって独自ルールが発生しやすくなっていたのだ。
SAP Aribaは全社員を対象ユーザーとするガバナンス強化を重視して設計されているが、使われなくては意味がない。無理なく各国の拠点でSAP Aribaを浸透させるため、上原氏を中心とした調達本部がとった手立てとは何か。また、SAP Aribaを導入したことで、社内の意識変革などほかにもいろいろな効果が発揮されたが、具体的にはどのようなものだったのか。
調達部門のみならず、経営層なら確認しておきたいNittoの社内変革のプロセスは、こちらのページから無料ダウンロードできるPDFでぜひ確認してほしい。