Adobe MAX、集うクリエイターに学ぶキャリア SNSでバズった社長、パートから人生変えた人も

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Adobe MAX 2022(日本)のオープニングトークを行ったアドビ・里村氏
Adobe MAX 2022(日本)のオープニングトークを行ったアドビ・里村氏
世界中のクリエイターによる、クリエイターのための祭典「Adobe MAX 2022」が、10月19・20日の2日間にわたり開催された。日本国内では、第一線で活躍する著名人やクリエイターによる200を超えるセッションをリアルとオンラインのハイブリッドで実施。クリエイティブな刺激あふれるカンファレンスを展開した。今回参加したクリエイター2人の話から「誰もがクリエイターになれる未来」の可能性を探る。

280万フォロワー社長もAdobe MAX 2022に参加

多彩なバックグラウンドを持つクリエイターが参加した「Adobe MAX 2022」。今年は、東京タワー直下にあるエンターテインメント施設「RED° TOKYO TOWER」でのリアル開催を含むハイブリッド開催を実現。2020・21年はオンラインのみの開催だったため、19年以来のリアル会場におけるイベントが復活したかたちだ。

日本会場では、アドビに招待されたクリエイター100人が参加し、感染症拡大防止の観点から限定的ながらも充実したコンテンツを満喫。会場に設けられたフリースペースでは、クリエイター同士が交流を楽しむなど、盛り上がりを見せた。

現地に足を運んだクリエイターの1人が、首都圏を中心に列車見張・交通誘導などの警備業を営む大京警備保障の櫻井大輔代表取締役社長だ。事業内容からすると、クリエイティブとはやや距離があるように思えるが、なんと同社のSNSアカウントはフォロワー280万人を誇る「バズる会社」。

これまでAdobe MAXの存在を知らなかったという櫻井氏は、初参加を「とてもワクワクしました」と振り返る。

大京警備保障・代表取締役社長 櫻井大輔氏
大京警備保障 代表取締役社長 櫻井大輔氏

「今回のAdobe MAXではこれまでに活用してきていないアプリケーションや新機能の紹介があり、これからの制作に生かしていきたいと感じました。20年から認知度を上げるブランディング目的でSNSを活用しており、当社の縦型ショート動画はアドビのビデオ編集ソフト『Adobe Premiere Pro』を中心に制作しています。採用難もこれで打破できればと考えていましたが、今では求職者の2人に1人がSNSの動画を見て応募してきており、クリエイティブの力を実感しているんです」(櫻井氏)

Adobe MAX 2022が、クリエイティブなアイデアの拡張と新たな発見のきっかけになったようだ。

「中でも可能性を感じたのは、誰でも簡単にセンスのいい制作物を作れる『Adobe Express』です。自前でセンスのいいグラフィックが作れれば、企業にとって大きなコストダウンとなるに違いないでしょう」(櫻井氏)

パートからクリエイターへ転身。
夢はAdobe MAXへの登壇

もう1人、オンラインから参加したのが、未経験からわずか1年でパートタイマーからフリーランスの映像制作者として独立した竹原めぐみ氏だ。

フリーランスの映像制作者・竹原めぐみ氏
竹原めぐみ氏

今回キーノートやセッションを視聴し、たくさんのインスピレーションを得たという。

「篠原ともえさんのキーノートは、とても印象的でした。私の世代は『シノラー』のイメージが強いと思うんですけど、イメージが変わって、洗練されたデザイナーとして活躍されていて驚きました。でも、小学生の頃から洋服のデザインが好きで、その頃からクリエイターだったと話されていて、好きなことに夢中で取り組んできた方なのだなと刺激を受けました」(竹原氏)

Adobe MAX 2022に登壇した篠原ともえ氏
篠原ともえ氏のメインステージ

「いつかAdobe MAXに出ることが夢」と話す竹原氏。子どもが1歳になった頃、大学時代の研究経験を生かして大学病院でのパートを始めたが、コロナ禍で抱いた焦燥感をきっかけに180度キャリアを転換することを決意。勢いでハイスペックパソコンを購入し「Adobe Creative Cloud」の利用をスタートしている。

「コロナ禍で保育園の休園があり、1カ月ほどパートを休まざるをえない期間がありました。ずっとこの仕事ができる保証はないと痛感。年齢的にも35歳、自分のスキルを磨いて、新しい仕事にチャレンジするなら今じゃないかと思ったんです」(竹原氏)

現在はフリーランスとして、映像制作案件の受注を中心に、「Adobe After Effects」を使ったモーショングラフィックスや「Adobe Photoshop」を使った動画サムネイルなども手がける。また、ビジネススキルを学べるeラーニングのサイトで自分自身の講座を販売するなど、活躍の幅を広げている。

実際に竹原めぐみ氏が制作した動画のキャプチャ
実際に竹原氏が制作した動画のキャプチャ

「プロの映像クリエイターが使っているソフトを習得できれば仕事を取れる、とかなり強い気持ちを持ってAdobe After Effectsのスキルを身に付けました。その過程でAdobe Photoshopや Adobe Illustratorも学んできました。1つのアプリケーションを習得するごとに表現の幅が広がっていく楽しさを多くの人にも体験してほしいんです。作品数が圧倒的に多い人が活躍している姿を見てきたので、まずは尻込みせずにたくさん作って、自分の作風を知ってもらうことが大事だと感じました。そのためにも無料で簡単に作れる『Adobe Express』はとてもチャレンジしやすいですね」(竹原氏)

経営者こそ動画の企画に携わってほしい

非クリエイターで経営者の櫻井氏、非クリエイターから映像制作者に転身した竹原氏。それぞれ異なるバックグラウンドを持つ2人は、ビジネスパーソンがクリエイティブツールスキルを身に付ける意義についてこう話す。

実際に大京警備保障のSNSで公開している最新映像のキャプチャ
実際に大京警備保障のSNSで公開している最新映像のキャプチャ

「動画を外注すると、どうしても自分が思い描いたものになりませんし、費用もかかります。今はどんな業種であっても動画で情報発信することが当たり前の時代なので、動画制作を内製化できる人材の価値は高いと思います。

企業のブランディング目的で配信するなら、ぜひ経営者にコンセプトを考えてもらいたいですね。

当社の動画はお笑い系ですが、勉強系や感動系のコンテンツを制作してバズっているケースもあるので、自社に合ったコンセプトを見つけてほしいです」(櫻井氏)

「クリエイティブツールスキルはコミュニケーションツールにもなりますし、自己実現にもつながります。働き方や職種、年齢問わず、誰でも身に付けておけばプラスになるスキルだと思います。

会社員も文章で提案するだけでなくて、動画を制作してプレゼンテーションできれば印象に差がつくはず。私のように、全然違う畑からクリエイターに転身することだってできるかもしれません。まずは自分なんてできないとは思わず、誰でもクリエイターとして出発できるという可能性を信じて、PCとツールに投資をし、クリエイティブを楽しむことで、いずれは新たな収入源につながると思います」(竹原氏)

多様な働き方が浸透してきた昨今。クリエイティブツールスキルは、今必要とされるビジネススキルの中で、最もホットなものの1つだ。クリエイティブについて学ぶことで、櫻井氏や竹原氏のように新たなキャリアの可能性が花開くかもしれない。

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