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グローバル市場を視野に、
エネルギービジネスに挑戦する企業をサポート 〈オムロン〉

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2016年には電力小売りの全面自由化が予定されているなど、エネルギー関連市場は今、大きな転換期を迎えている。「蓄電池の活用ほか、これからはますます、エネルギーの制御が重要になる」と語るのは、オムロンの行本閑人常務だ。その意味や将来展望を聞いた。

太陽光発電システム用パワー
コンディショナーをリード

環境事業本部長 執行役員常務
行本 閑人(ゆくもと しずと)

エネルギー関連市場に急激な変化が起こっている。特に注目すべきは、2012年7月に開始した再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)だ。買い取り価格は当初の計画の通り、引き下げの時期を迎えている。15年6月末には「利潤配慮期間(プレミア期間)」も終了する見通しだ。電気事業者にとっては、厳しい競争の時代になりそうだ。

昨年秋には、注目すべき現象も起きた。急激に太陽発電の普及が進んだことから、複数の電力会社で、同制度に基づく送電線への接続について、新規の申込みに対する回答を一時保留したのである。政府はこれを受けて15年1月、再生可能エネルギー特別措置法施行規則の一部を改正する省令と関連告示を公布した。その内容は、新たな出力制御ルールや固定価格買取制度の運用見直しなどとなっている。

「近年、エネルギー関連市場は急激な変化を見せていますが、我々はこれをビックチャンスと見ています」。

そう語るのは、オムロン 環境事業本部 本部長 執行役員常務の行本閑人氏だ。

「再生可能エネルギーの活用では先行市場である欧州でも、FITは太陽光発電システムなどの導入の起爆剤になったものの、目的を達成し徐々に収束しています。国内においても、これは同様の事象になると織り込み済みと言えます。今後はさらに、電力需給の調整や効率性が重視されることになるでしょう」。

同社は、太陽光発電システム用パワーコンディショナー(以下、パワコン)のリーディングカンパニーだ。累計生産台数は14年12月末時点で100万台を突破している。特に、住宅・低圧用パワコンでは、トップクラスのシェアを誇っている。

行本氏はオムロン・ヨーロッパのCEOを務め、欧州30カ国以上で制御機器やパワコンなどの販売を手がけてきた経験がある。文字どおり、グローバル市場における再生可能エネルギー制度の歴史を見てきたわけだ。

プレミア期間が終了し、
電気を自らためて使う時代へ

オムロンの創業は1933年。以来80年以上にわたり、センシング&コントロール技術をコアコンピタンスとして、事業を進化させてきた。パワコン事業についても、創業以来の製品である保護継電器の系統連系技術を応用し、約20年前から展開している。

「当社のパワコンは、変換効率はもちろん、系統連系技術にも長年培ってきた強みがあります。また、ハードのみならず、O&M(オペレーション&メンテナンス: 運用・保守)までの一貫したサービスにも力を入れています」と、行本氏は説明する。

たとえば独自の系統連系技術「AICOT」だ。同技術は、11年7月、同社が業界で初めて開発し、業界で規格化された多数台連系時の単独運転防止技術である。太陽光発電システムの設置時における工期を短縮、7割ルールなどと呼ばれる設置制限も解消することにより、太陽光の普及に大きく貢献してきた。

「『ポストFIT時代』には、売電から、電気をためて自分で使う自家消費への移行という流れも起こってくるでしょう」。

太陽光発電システムについても、蓄電機能を併せ持つことが求められると思われるが、オムロンでは、これらのニーズにも対応した画期的な新製品も発売する。この春に発売される「太陽光発電用ハイブリッド蓄電システム」は世界最小最軽量を実現。リチウム蓄電池は約60キログラムと軽量化を実現し、人が手で運べるほか、基礎工事も不要なため、設置時の工数を大きく削減できるのが特長だ。またパワコンは1台で太陽光発電と蓄電の両方に対応するハイブリッドタイプとなる。

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