超ハイスペック「G-SHOCK」最高峰モデルの実力 タフさはそのままに、見た目の美しさも両立
ここ数年、復刻モデルが人気だ。傑作ともいえるモデルでも、諸般の事情により継続を断念せざるをえなかったもの、そして、現在まで続くコレクションの初代モデル。どんなモデルも、とりわけファーストモデルは突出した人気を得ることになる。迷ったときに“初心に帰れ”と言われるように、そこにはそのモデルのコンセプトや製作への思いが詰まっているからであろう。
初代の角型デザインを採用
1983年に誕生したG-SHOCKのファーストモデル『DW-5000C』は、角型デザインだった。なので、G-SHOCKといえばそのデザインをイメージする人も多いことだろう。もちろん、現在もその後継機はORIGINシリーズとしてラインナップされている。近年では、G-SHOCK35周年の2018年に、角型のフルメタルG-SHOCKが登場している。
22年はフラッグシップの『MR-G』にファーストモデル同様の角型デザインが与えられた。間違いなく最高峰のG-SHOCKとなる『MRG-B5000』は、『DW-5000C』をモチーフにチタン素材を使用して、これまでのどのメタルモデルをもしのぐ、プレミアムな外装を追求したという。
まず外装の核となる素材だが、これは日本で開発された先端素材であるコバルトクロム合金「COBARION(コバリオン)」(※1)を、ベゼルのトップ部分に使用。これは純チタンの約4倍の硬度を持ち、さらにプラチナと同等の輝きを持つといわれるものだ。
ケースには、チタンに6%のアルミニウムと4%のバナジウムを加えることで、純チタンの約2倍の硬度となった「64チタン」を採用。さらに、とくに傷が付きやすいブレスレットには、こちらも純チタンの約3倍の硬度というチタン合金「DAT55G」(※2)が使用された。こちらは加工性に優れるという特性を持っている。
加工に高い技術力が求められる
とはいえ、どの素材も高硬度であることには変わりなく、傷が付きにくく、長い期間鏡面の美しさが保てるというメリットがある反面、加工に高い技術力が求められることは間違いないのである。
そして特筆すべきは、ベゼルの細かい面にまで美しいポリッシュ仕上げを施すために、新構造の「マルチガードストラクチャー」が開発されたことだ。なんと、この複雑な形状のベゼルは、25個にも及ぶパーツで構成されているという。
これまでの角型G-SHOCKは、一体型でインナーケースを包むように作られていたため、細部まで磨くことができなかった。この『MRG-B5000』は、25のパーツに分かれているため、すべてを美しいポリッシュに仕上げるために欠かせない、ザラツ研磨を施すことが可能となった。これによって、ラグジュアリーな印象を与える質感の高い外装を実現したのである。
もちろん、美しくなれども、G-SHOCKたるゆえんである耐衝撃性や強度を失っては話にならない。多パーツ化したベゼルにT字バーと板バネを組み合わせた四隅のサスペンションパーツやシリコン緩衝体を組み込み、ショックアブソーバーとして機能させることで、モジュールへの衝撃を緩和させる「マルチガードストラクチャー」を考案し、十分に確保されている。
今回ラインナップされたのは、ブラックの『MRG-B5000B-1 JR』とシルバーの『MRG-B5000D-1 JR』。どちらも標準電波受信「マルチバンド6」による時刻修正機能やソーラー駆動システム「タフソーラー」を搭載。さらに専用アプリ「CASIO WATCHES」を使ってスマートフォンと連携させる、モバイルリンクも備えている。
G-SHOCK最大の特性であるタフさを失わず、ラグジュアリーという美を追求した造形、という相反する要素を同時に求めたG-SHOCKは、『MRG-B5000』というモデルで、その高いハードルをクリアしたようだ。
※1 COBARION®は、公益財団法人いわて産業振興センターの登録商標で株式会社エイワのみで製造されています。
※2 DATは、大同特殊鋼株式会社の登録商標です。