IT担当者をPC運用から解放する「DaaS」とは? 適切なPC環境が、仕事を「楽しいコト」にする
古い社用PCはサイバー攻撃の的
現状、新入社員には、すぐ使える状態にセットアップされたPCが支給されることが多い。それを使い続けるわけだが、新しいPCに交換するタイミングは壊れたとき、という企業も少なくない。
だが「壊れるまでPCリプレースをしない企業は、セキュリティ対策が難しくなる」と、横河レンタ・リースの松尾太輔ソフトウェア&サービス事業部長は指摘する。
「ほとんどのサイバー攻撃における侵入口(エントリーポイント)はPCだからです。偽装メールなどから社員のPCへ侵入し、そこから内部ネットワークを“カニ歩き”して、本当に欲しい情報を盗み取ります。こうした中で、最も重要なポイントは『最新PCであること』なんです。それにPCは使用開始から3年ほど経過すると、故障率が跳ね上がるといわれています」
古いアーキテクチャーは結局攻略されてしまうため、できるだけ新しいPCを導入し、ソフトウェアもアップデートし続ける必要がある。加えて各種アプリケーションを適切に作動させるためには、PCに最新の性能が備わっている必要がある。
「例えば、ビデオ会議アプリが止まったら商談がストップしてしまいますよね。5年前から使っているPCで開いてもうまく動作せず、実際の業務や重要な商談に支障を来すといった事態は実はよくあることです」
つまり、競合他社がよりよいPC環境でビデオ会議を行っているというだけで、相対的に自社の生産性は下がり、競争力も低下すると懸念される。今やPCはオフィスそのものであり、PCが故障したときは一切の業務が止まるため、生産性に与える影響は甚大だ。
IT部門を圧迫するPC運用
だが、そもそもつねに最新のPCを所有することは困難である。IT部門から見ても、PCの機種選定から購入、セットアップ、社員への配布、故障時の対応、そして廃棄という一連のライフサイクルは雑務の塊であり、大きな負荷になっている。
「必要な人数分のPCを選定、調達し、1台ずつセットアップしたうえで受け渡しをし、1年に1回、物理的に誰が所持しているかを確認する、これだけでも非常に手間がかかります」
では、人員が少なく業務が逼迫している企業も多いIT部門が、社用PCのリプレースをより短いスパンで実現するにはどうすればいいか。需要が高まっているのが、法人向けのレンタルPCだ。
「もともとレンタルPCはイベントの際などに短期間活用されることが多かったのですが、月額の経費として処理も可能で企業の財務負担が軽くなるほか、突発的な支出を避けられます。さらに、故障時は迅速に修理・交換をレンタル会社が請け負うため、購入・リースからレンタルに切り替える企業も非常に増えています」
「Cotoka for PC」で運用負担を最小化
ただし、単にレンタルPCに置き換えるだけでは、十分な柔軟性は発揮できない。修理・交換などのユーザーサポートも自社のIT部門を介して依頼する形が一般的で、IT部門が忙しいときは結局対応が遅れ、セキュリティや社員の生産性に悪影響を与えているケースがある。
そこで、約100万台のレンタルPCを保有している横河レンタ・リースでは、2022年4月に新サービスをローンチした。レンタルPCのメリットに加え、IT部門をPC運用の負担から解放する「Cotoka for PC」だ。
「Cotoka for PCは、IT部門を介さずに、直接社員へ『運用された状態のPC』を提供するサービスで、当社ではDevice as a Service(DaaS)と位置づけています。IT部門のPC運用に関するあらゆる管理・運用業務をなくす体験を提供します。顧客企業の社員(PC使用者)と直接当社がつながり、クラウド上で手続きを行います。社員は不具合や不明点があるときは、Cotoka for PCのヘルプデスクへ直接問い合わせることで、修理や代替機の手配も可能です。加えて、デバイスそのものの引き渡しも当社が社員(PC使用者)に直接お届けします」
リモートワークが増える中で、不具合のあるPCを交換するだけのためにわざわざ出社する必要はない。IT部門と社員の細かいやり取りまで見越した徹底的なDaaSを目指している。
同社ではさまざまなPCをラインナップしているので業務に合わせてPCを選べる。これまで一括購入により機種を選べず、不便を感じてきた社員の生産性向上、モチベーションアップにも貢献する。
「Cotoka for PCがPC運用の負担を大幅に削減することで、IT部門やユーザーがPC管理・運用業務から解放され、本来やるべきDX等の業務に集中できるようにしたい。それが実現できれば一人ひとりがより生産性高く働けるようになり、仕事をもっと楽しいコトにできるはず。このような形でお客様のビジネス、ひいては日本社会に貢献していきたいと考えています」
PCを働く環境、つまり「コト」として捉えてつねに適した状態に保つことが企業の成長を促す時代が訪れている。