企業が「自分たちで発行」できる決済カードの正体 上限金額や決済回数などの条件も設定可能

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「カードの形を持たない」カードとは?
どれだけ時代が変わっても、ビジネスについてまわるのが経費だ。非常に重要なファクターである一方で、精算業務自体は付加価値を生まない。時間がかかるうえ、入力漏れなどのミスや違反・不正の有無もチェックする必要がある。こうした業務を効率化するソリューションを展開しているのが三菱UFJニコスだ。業務効率化のみならず、日本企業が遅れがちなDX推進やガバナンス強化の効果も発揮する最新の法人カード活用術を聞いた。

法人カードが経費精算DXのカギを握る理由

コロナ禍は、ビジネスのあり方を大きく変えた。当初は「紙・ハンコ」のためだけに出社する動きも目立ったが、リモートワークの普及もあってペーパーレス・脱ハンコが加速。企業によって対応に温度差はあるものの、実務レベルでデジタルシフトが進んできたと三菱UFJニコス 法人事業企画第2部 イシュイング企画グループ 次長の三輪大輔氏は指摘する。

三菱UFJニコス 法人事業企画第2部
イシュイング企画グループ 次長
三輪大輔氏

「企業がデジタルシフトを進めている背景には電子帳簿保存法の改正も大きく影響しています。2022年1月の改正では、2年の猶予期間が設けられたものの、電子取引の場合は領収書や請求書などの証憑書類のデータ保存が義務化されました。それを受けて、経費精算業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する関心はかつてなく高まっています」

法人カードのニーズが増えている理由はここにある。経費精算システムだけを導入しても、立て替え・精算業務が必要なうえ、申請時の入力ミスも起こりうるからだ。法人カードと連携すれば、それらの業務が不要となるため大幅な業務効率化が期待できる。中でも、最近注目を集めているのが「パーチェシングカード」である。

「パーチェシングカードは、物理的なカードを発行しないオンライン決済専用のサービスです。ウェブ広告や通信費、各種クラウドサービスや貸会議室の利用料金など、企業間取引(B2B決済)のキャッシュレス化が進んできたことから、ご利用が増えました」(三輪氏)

物理的なカードの発行はなしで、企業購買のさまざまな用途に使用できる

通常、取引先ごとに請求書業務や支払いを行う必要があるが、パーチェシングカードの支払いは法人カード同様に、サービス提供先の三菱UFJニコスに一本化できる。請求書ごとに発生していた振込手数料も削減可能だ。最近では、海外企業との取引にも同カードを利用する企業が多くなってきており、これは取引先によっては送金よりも取引(納期)が短縮できるメリットがあるという。サプライチェーンマネジメントの観点でも有用性の高いソリューションとなっているのだ。

経費を「使用前」から制御する画期的な仕組み

使い勝手のよさが際立つパーチェシングカードだが、企業間取引のため、利用金額が大きく、適正な経費管理や不正使用への懸念もある。

そうした懸念を払拭するため、三菱UFJニコスがMastercardと開発したソリューションが「三菱UFJカード バーチャル」である。パーチェシングカードの“子カード”としての位置づけだが、そのスキームは画期的だ。

「最大の特徴は、パーチェシングカードを親カードとして、ご利用企業様が複数のカード番号を発行できることです。その際、1回限りの『使い切りカード』として、上限金額や決済回数、利用可能日数など条件を細かく設定できるため、万一番号が流出しても、被害を最小限に抑えられます。経費管理が高度化でき、不正使用も未然に防げますので、セキュリティとガバナンス強化を同時に実現します」(三輪氏)

企業主体で経費コントロールができる「三菱UFJカード バーチャル」。パーチェシングカードの利便性はそのまま生かされ、ガバナンスとセキュリティは格段に強化されている

さらに見逃せないのは、部署横断型のプロジェクトや、案件ごとに変わるチームなど、予算がブラックボックスになりがちなケースにも有効な点だ。三輪氏は次のように説明する。

「プロジェクト単位でバーチャル・カード番号を発行すれば、容易にトラッキングできます。Mastercardの経費管理統合アプリケーション『スマート・データ』を活用することで、追加のシステム構築をしなくても既存の経費精算システムと連携できるようになっていますので、煩雑な申請・承認が不要となり、『一元管理しやすい』『管理側も現場も業務効率化できる』とご好評をいただいています」

柔軟に条件設定ができることから、汎用性も高い。建築会社では現場ごとに、広告代理店では取引先ごとに、大学では研究室ごとに、バーチャル・カード番号を割り振る活用事例も出ている。ニーズが複雑多様化し、部署横断だけでなく、企業間連携や産学官連携も活発化している今、あらゆる組織形態にすんなり適応し、公正かつ透明性の高い経営を支える仕組みの価値は高いといえよう。

航空券や小口現金立て替えも「企業主体」へシフト

アフターコロナを見据えると、出張等にまつわる決済にも備えておきたいところだ。三菱UFJニコスでは、業務効率化と透明性の高い経営を後押しするべく、日本航空、Mastercardと提携した法人向けカード、CPS(Corporate card PassAge Solutions)も用意している。

「通常のカードでは、出発日や搭乗区間、運賃クラスといった航空券の搭乗明細を捕捉するのは困難です。空港で急きょ変更になることもありますので、従来は利用した社員の申請を待つしかありませんでした。その点、CPSならば220社以上の国際線航空券の搭乗明細を照会できますので、申請を待つ必要がありません」(三輪氏)

起こりがちな入力漏れなどのミスが未然に防止できるのも魅力だ。航空券だけでなく他のさまざまな日常経費を集約することもできるため、定期的な海外出張が見込まれる場合に有用だ。

では、出張等ではなく、現場従業員の小口決済が多いケースはどうすればいいか。現金での立て替え払いは煩雑で、口座振込をすれば手数料も嵩む。

「そういうケースでおすすめしたいのは、法人用Mastercard®プリペイドカード『Bizプリカ』(※)です。利用分をチャージする方式なので、不正利用を防げますし、1枚当たり月額100円(税別)なので振込手数料よりコストメリットもあります。実は当社も導入していまして、非常に便利だと感じています」(三輪氏)
※Bizプリカは、共同印刷グループのTOMOWEL Payment Service株式会社が運営。三菱UFJニコスとは事業提携を結んでいる。申し込みはWEBで完結。

ちなみに三菱UFJニコスでは、各部署でパーチェシングカードを管理し、社員には個別にBizプリカを配布しているのだという。事前入金の範囲内で利用できるため、経費の使い過ぎなどの不安もなく、社員としても心理的な負担を感じなくて済む。

「もちろん、CPSもBizプリカも、パーチェシングカードや三菱UFJカード バーチャルと同様に、SAP Concurなどの経費精算システムと連携できますので、申請・承認のプロセスをなくすことができます」

そうして経費精算DXを進め、1つでも多くの企業にさらなる業務効率化を実現してほしいと力を込める三輪氏。その効果をさらに高めるためにも、B2B市場のキャッシュレス決済の推進に力を注いでいきたいと話す。

「経費の動きを可視化するとさまざまな業務にかかっている負荷や時間などが見えてきます。B2B取引のキャッシュレス化を進めることで、その効果はどんどん大きくなりますので、ぜひカードを利用し、セキュリティとガバナンスをしっかり確保しながらDX推進を進めていただきたいです。9月に開催される『SAP Concur Fusion Exchange 2022 JAPAN』では、さまざまな企業のサポート事例をご紹介しますので、ぜひご期待ください」

日本最大級の経理・財務部門向けのイベント
「SAP Concur Fusion Exchange 2022 JAPAN」
間接費領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)で変わる企業戦略や革新的なワークスタイルについて、基調講演や事例セッションを通じ、ご参加の皆様と共に考えます。

「Rethink -企業パーパス再考による、コーポレート・トランスフォーメーション(CX)の実現-」をテーマに、1万人規模のオンラインイベントとして4日間開催予定です。詳しくはWEBサイトをご覧ください。