求職者の心を揺さぶり、共感を生み出す動画とは 俳優・別所哲也と語る「HR動画の未来」について

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6月7日から20日にかけて開催された、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2022」。映画祭では、企業や広告会社のブランデッドムービーにフォーカスする国際的な祭典「BRANDED SHORTS」を実施している。
2022年は、人材採用につながる企業のブランデッドムービーの中から優秀な作品を表彰する「HR部門」に、Indeed Japanが協賛。採用という観点から、企業や団体の理念や魅力、メッセージが表現され、視聴者とのエンゲージメント性が高い映像がノミネートされた。
さまざまな採用チャネルが存在する今、企業と求職者にとってHR動画はどんな役割や価値を持つのだろうか。同映画祭の代表で俳優の別所哲也氏と、Indeed Japan マーケティングディレクター水島剛氏が語り合った。

HR動画が叶える「人材ミスマッチの防止」

――HR動画は、採用における企業ブランディングの手法として、昨今注目されています。HR動画にはどのような役割を期待できるとお考えでしょうか?

別所 求職者の方々は就職先を選ぶときに、企業のホームページに掲載されている財務情報だけでは読み取れない「共感」「働き甲斐」「創業者や現社長の考え方」などの要素を重視しています。その意味で、HR動画は映像で求職者の疑問に答えるコミュニケーションツールだといえます。

別所 哲也
1990年、日米合作映画『クライシス2050』でハリウッドデビュー。米国俳優協会(SAG)会員。その後、映画・ドラマ・舞台・ラジオ等で幅広く活躍中。『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』などの舞台に出演。 99年より、日本発の国際短編映画祭『ショートショート フィルムフェスティバル』を主宰し、文化庁長官表彰受賞。 観光庁「VISIT JAPAN 大使」、映画倫理委員会委員、外務省「ジャパン・ハウス」有識者諮問会議メンバーに就任。 内閣府・世界で活躍し『日本』を発信する日本人の一人に選出。第1回岩谷時子賞奨励賞受賞。第63回横浜文化賞受賞。

水島 これまで企業の動画コミュニケーションというと、CMに代表されるように、商品やサービスの魅力を直接伝えるタイプのものが主流でした。現在は、会社そのものを広告やコミュニケーションの対象だと捉えて、動画で会社の魅力を伝えるケースが増加しており、現在は人事採用広報まで領域が広がっています。

――HR動画は、企業の採用課題をどのように解決できるとお考えでしょうか?

水島 いちばん大きいのは、採用後の人材の定着率の改善です。人材がなかなか定着しない理由として考えられるのは、入社前の期待値と入社後の現実とのギャップ。そのギャップをなくすには、企業のリアルな姿をしっかり理解してもらうことが重要です。企業のビジョンや雰囲気がわかりやすく伝えられる動画を上手に活用することで、採用後の定着率は上がり、結果として採用コストも下がりますし、ひいては企業の競争力強化にもつながります。

水島 剛
Indeed Japan マーケティングディレクター
2004年ボストン大学学士号取得。2005年博報堂入社。戦略プランナーとして、家電、車、ゲーム、流通、コスメ、飲料、教育、インフラ、動画コンテンツ等、さまざまな企業やサービスのマーケティング課題の解決業務に携わる。15年 LINE入社。『LINE バイト』『LINE Pay』のマーケティング責任者として、戦略立案から施策実行まで全プロセスをリード。18年2月より現職。Indeed Japanの求職者向け、及び採用担当者向けのマーケティングコミュニケーションを統括する。

別所 僕は3つのR「PR・IR・HR」の分野が、ますます動画化すると考えています。今メディアは、20世紀型の伝統的なテレビコミュニケーションに留まらず、インターネット上でさまざまなスタイルのものが誕生しています。各メディアに存在するターゲットに情報を届ける1つの手法がショートフィルムであり、とくに3つのRの動画化においては、ショートフィルムのストーリーテリングが非常に有効です。

「ベターライフ」と「アナザーライフ」を届ける

――HR動画のストーリーテリングに求められる要素とは何でしょうか

別所 まず、共感はとても大切ですね。人は動画にエンターテインメントとコミュニケーションを期待しており、それぞれに「ベターライフ」と「アナザーライフ」の2つの体験を求めていると思います。ベターライフは「よりよい人生を送るためのヒントを得ること」、アナザーライフは「自分とは別の人生を疑似体験すること」です。動画の視聴者は主人公や登場人物、物語の設定に共感し、何らかの形で自分自身のリアルライフに生かします。就職活動やキャリア形成といった、自分の居場所や新たな人生を探すきっかけになるHR動画には、とりわけ共感で心を動かすストーリーテリングが求められると思います。

水島 おっしゃるとおり、HR動画は視聴者に対して「未来の自分の姿」を見せるツールとして最適ですよね。企業が本来持つ魅力やリアルな部分を発信することで、求職者が「そこで働く姿」をより具体的にイメージすることができます。またストーリーを立てて動画を作って……と、制作にはお金と手間がかかると思われがちですが、名物社員や他社にはないユニークな制度だったり、推せるポイントや動画に収めるべき要素が、意外と社内にはたくさんあります。内部のリソースを活用することで費用を抑えることもできますし、「その企業にしかない魅力」を掘り起こすことが、求職者が興味を持つ動画には必要だと思います。

HR動画は「新たな仲間へのラブレター」

――今回「HR部門 supported by Indeed」のHRアワードは、ニチイ新卒介護職 採用MOVIE『やさしさも、自分らしさ。』篇が受賞しました。

別所 シネマチックで、目が覚めるほどきれいな映像に引き込まれました。決して高度なカメラワークで撮られているわけではありませんが、迷いなどの心のセリフも映像から聞こえてくるような、主人公の心象風景の表現方法が素晴らしかったです。企業のパーパス・ミッションと、若者の人生の選択というテーマが、しっかりとHRに結び付いているところが素晴らしいです。

HRアワードを受賞した「ニチイ新卒介護職 採用MOVIE『やさしさも、自分らしさ。』篇」

水島 コミュニケーション対象者を労働力としてではなく、人間そのものとして捉え、新卒者のインサイトに寄り添った表現に仕上がっています。一人ひとりの人間に対して真摯に向き合い、誰もが持っている優しさにフォーカスして、その優しさを私たちの企業で発揮しませんか?というメッセージを映像に込めている。「うちの会社のいいところ」の見せ方が、すごく自然でスッと入ってくる動画だったと思います。

――最後に、次年度HR部門のエントリーに興味を持たれている企業へのメッセージをお願いします。

別所 HRの取り組みは、仲間づくりです。新たな仲間に向けたメッセージは、「ラブレター」に似ていると思います。コロナ禍でリモート就活を取り入れたり、リモートワークの普及で遠隔地の方を採用できたりと便利になった時代に、本質的に何をもってつながるのか。それを考えるときに、HR動画の制作はその会社に身を置く価値やモチベーションを見つめ直すことにもつながるはずです。ファンキーだったり、面白いものだったり、バラエティに富んだ物語のエントリーをお待ちしています。

「BRANDED SHORTS」表彰式の様子。各界の著名人が審査員として参加した

水島 Indeedは「We help people get jobs」というミッションを掲げており、あらゆる求職者の仕事探しをサポートしています。働き方の価値観が多様化している今、求職者と採用企業側がお互いWin-Winの状態を作るためにも、採用企業が自社の魅力を自分たちで発信できる世界を作っていきたいと考えています。 またこの賞を通じて、人事担当者にもっとスポットライトを当てたいですね。HR部門へのエントリーをきっかけに、HR動画の制作に興味を持つ人が増えてくれれば、人事の面白さに気づく人も増えると思います。人事が会社のヒーローになっていく世界、そういうものを作っていき、サポートしていきたい。HRアワードがそのひとつのきっかけになればいいなと思っています。

>>BRANDED SHORTS 8月1日より公募スタート

>>Indeedが推進するオウンドメディアリクルーティング

>>求人検索エンジンIndeed(インディード)