ヘルスケア業界襲う「高度化・民主化」の2大変化 デロイトのコンサルが語る、独自の面白みとは

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ライフサイエンス&ヘルスケア領域の進化は日進月歩。製薬会社や医療機器メーカーは変化を先取りすることが求められ、それをサポートするパートナーとしてコンサルティング会社の存在感も増している。コロナ禍もあり今いっそうの注目を浴びているこの領域で、コンサルタントはどのような価値を発揮できるのか。業界の第一線に立つ、デロイト トーマツ コンサルティング(以下、デロイト)の2人に話を聞いた。

業界を襲う「高度化」「民主化」の潮流

ライフサイエンス&ヘルスケアの分野では、いま大きく2つの変化が起きている。まずは「高度化」だ。研究開発分野のコンサルタントとして20年のキャリアを持つデロイトの根岸彰一氏は、最近のトレンドを次のように解説する。

「創薬の世界では、かつては化学合成がメインでした。しかし今は、核酸医療(DNAなど遺伝情報を司る物質『核酸』を利用する医療)をはじめとする、新しいアプローチも普及してきました。新型コロナウイルスで注目されたmRNAワクチンもその1つです。

さらにデータ活用も進展していて、研究開発の高度化は顕著です。製薬会社や医療機器メーカーはグローバルでこの流れをキャッチアップし、ベンチャーとの連携・協業を視野に入れつつ、研究開発を進めなくてはいけない時代です」

デロイト トーマツ コンサルティング ライフサイエンス&ヘルスケア 執行役員パートナー
根岸 彰一

そしてもう1つの変化は「民主化」だ。ライフサイエンス&ヘルスケアは非常に専門性が求められる領域であるがゆえに、一般の生活者は、ごく一部の信頼できる専門家――医師や研究者――に自身の健康を委ねざるをえなかった。

しかし、ここにも変化の潮流がある。デロイトの西上慎司氏は、「ヘルスケアは、自動車やインターネットのように、日常生活の一部になりつつある」と指摘する。

「デジタルデバイスで歩数や脈拍を測って、自分の健康を自分で管理できる時代になりました。今後はそれがもっと高レベルなものになり、例えばAIが身体の状態をモニタリングしてアラートを出したり、医師がそのデータを参考に診察したりする世界が実現するでしょう。データを軸に、病気になる前後の境界線が溶解し、ヘルスケアが生活者にとってより身近なものになる『民主化』が起きているといえます。こうして裾野が広がると、製薬会社や医療機器メーカーは自社単独で課題を解決するのではなく、マルチステークホルダーで新しい価値の提供を目指す場面も増えてくるはずです」

デロイト トーマツ コンサルティング ライフサイエンス&ヘルスケア 執行役員パートナー
西上 慎司

専門知識を持つ人材を幅広く擁するデロイトの強み

高度化と民主化――。この2つの変化に合わせて、コンサルタントに求められるものも変わりつつある。コンサルタントといえば、戦略立案やビジネスプロセス変革など、ビジネスの上流かつ汎用的な支援をイメージする人が多いだろう。しかし、根岸氏は「それだけでは、今起きている大きな変化に対応できない」という。

「戦略立案やビジネスプロセス変革は引き続き重要です。ただ、高度化によって、業務へのより深い理解や専門的な知見が求められるようになりました。最先端の研究内容についてはもちろん、今起きている変化への知見なしにコンサルティングは難しいと思います」

デロイトが製薬会社や医療機器メーカーから高い支持を得ているのも、専門性の高さを広範囲でカバーしているからだ。同社には、コンサルタントとしてキャリアを築いてきた人材だけでなく、医師や看護師、薬剤師、研究者、元省庁官僚、元製薬会社の社員など、バックグラウンドが異なる人材が集まっている。

「デロイト社内には、通信や保険といった他産業にも精通した専門性の高い人材がそろっていて、必要に応じてチームを組んでいます。組織を超えた協力体制が整っているのはグローバルも同じ。例えば日本時間の夕方にメールを1通出せば、翌日には海外のメンバーが専門的な情報を教えてくれるといった環境があります。国内だけでは見えにくい、海外の状況もリアルタイムでキャッチアップしながらコンサルティングできるのは、当社の大きな強みです」(西上氏)

やり抜く力が、さらなる専門性向上につながる

さらに西上氏は、同社が支持される理由として「伴走力」を挙げた。

「従来型コンサルのように『絵を描いて終わり』では、実行段階で変化した環境に対応できなくなってしまうリスクがあります。私たちは、戦略策定から実行支援までクライアントに伴走し、やり切ることにこだわってきました」

このスタンスは、専門性の高さとも直結している。同社は10年以上前から、独自の伴走力・専門性を備えていたため、クライアントから高度な案件を相談される機会が多かった。

「難しい課題も最後まで伴走しきったことで、『もっと高度な課題も、デロイトならできるだろう』と、さらに先進的な内容の相談を受けるようになりました。それらに果敢に挑戦することで、さらに専門性を磨いていった歴史があります。このアドバンテージは非常に大きいと感じています」

仲間を得ながら、自分をレベルアップできる職場

では、働く環境という点で、デロイトの魅力はどこにあるのか。西上氏は「デロイトはロールプレイングゲームの舞台」と目を輝かせる。

「1人で冒険するのでなく、仲間を集めて経験値を稼ぎながら自分のレベルを上げ、いずれは大きな敵を倒して新しい世界を切り開くイメージです。実際、デロイトには世界中に仲間がいます。とくに若いコンサルタントは、クライアントに直接プレゼンテーションする機会も多く、成長のチャンスに事欠かない。刺激的な職場ですよ」

デロイトが切り開く新しい世界とはどんなものなのか。一例を挙げよう。2021年2月、一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアムが設立された。遺伝性血管性浮腫(HAE)は希少疾患の1つ。希少疾患がゆえに診断率は約20%、発症から診断まで平均15.6年かかっている。診断されずに苦しんでいる患者の早期診断を実現するために、医師・患者団体・製薬企業・デジタル企業とタッグを組み、コンソーシアムを推進しているのはデロイトだ。

根岸氏は、同社のカルチャーについてこう語る。

「デロイトは、個人のパーパス(存在意義・目的)を大切にしてくれる会社です。経営者を目指して経験を積みたいという人もいれば、最新のヘルスケア事情に触れていたいという人もいて、それぞれに尊重されます。何より、ライフサイエンス&ヘルスケア事業の先には必ず“人”がいます。クライアントも倫理観が高く、目線の高い方が多い。そういった方々と共に社会貢献できることに喜びを感じているメンバーばかりです。

もちろん、働き方の面でも当社はインクルーシブです。ワーキングプログラムを使って働く時間を柔軟にする社員や、リモートで働く環境が整備されているので、中には地方に住みながら働く社員も。さまざまな仕組みや制度を使って、それぞれのライフスタイルや状況に応じた働き方を実現しています。またグローバル環境で発揮できる強みやデジタル分野での経験値をキャリアのベースとしてきたメンバーに対しても、ライフサイエンス&ヘルスケア領域のコンサルタントとして育成できる仕組みとバックアップ体制があります」(根岸氏)

クライアントと共に高度な医療の実現に挑戦しつつ、産官学の連携も働きかけて、より広く社会に貢献しているデロイト。これまでの経験や専門性にとらわれず、こうしたカルチャーや理念に共感できる人材なら、きっと同社で輝くことができるだろう。

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