「その場で商談が成立」脱炭素経営EXPOの衝撃 「総カーボンニュートラル化」の新潮流が見えた

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「脱炭素」がトレンドワードとなっている今、注目の展示会が東京ビッグサイトで開催された。それがRX Japanが主催する「脱炭素経営EXPO」だ。脱炭素の「経営」に重点を置いたものとしては日本最大級の展示会は、コロナ禍の状況にもかかわらず3日間で4万人以上の来場者を記録した(※1)。反響も大きく、早くも次回以降の出展ブースを確保しようと急ぐ企業が続出しているという。そこまで大きな反響があった理由はどこにあるのだろうか。

大手から中堅・中小まで経営者が多数来場

2022年3月16日。最高気温が20度を超え、まるで初夏のような陽気となったこの日、「脱炭素経営EXPO」が開催された東京ビッグサイトも静かな熱気に包まれていた。コロナ対策が実施されているため、喧噪こそなかったものの、この日だけで1万人以上が来場。どのブースでも熱心な商談が展開されていた。

コロナ禍の状況の中、3日間で4万人以上を動員。会場は熱気に包まれていた

「ご期待の声は多くいただいていたのですが、いざふたを開けてみたら予想以上に盛況でした。開催の3日間を通じ、業種・業界を問わず大手から中堅・中小まで非常に多くの経営者や経営企画に携わる方々が来場されました。ビジネス界全体がカーボンニュートラルに取り組んでいこうとしているのを肌で感じましたし、『日本の総カーボンニュートラル化』は確実に始まっていると思います」

RX Japan
取締役
経営企画室 室長
岡部 憲士

そう語るのは、展示会主催会社であるRX Japan 取締役の岡部憲士氏。出展社数も想定をはるかに超える800社以上に達したが、なんとその多くがすでに次回以降の出展申し込みを済ませているという。今回は“様子見”で最小のスペースでの出展だったが、次回以降一挙に6倍に広げたいという要望も寄せられているほど、高い評価を獲得している。

「今回、出展を見合わせた中からも、盛況ぶりをご覧になって急いで申し込まれる企業は少なくありません。『脱炭素経営EXPO』は、開催前の時点でかなりの反響がありましたので、春展・秋展・関西展の年3回の実施をすでに決定していますが(※2)、来年の春展のお申し込みもすでに入ってきています」

脱炭素経営はあらゆる企業の存続に関わる

多数の企業が即座に投資を決断するほどの出展メリットとは何か。RX Japan 脱炭素経営EXPO 営業責任者の小笠原徳裕氏は、“来場者目線”から次のように分析する。

RX Japan
脱炭素経営EXPO 営業責任者
小笠原 徳裕

「CO2排出量の可視化や再生可能エネルギーの導入、エネルギーマネジメントシステムの構築など、脱炭素経営に取り組むにはさまざまな企業とアライアンスを組んでいく必要があります。AIなど最新テクノロジーも大いに活用できる分野ですから、SaaSを展開するスタートアップなど、あらゆる業種が参入してきています。そうした企業を1社ずつ調査し、商談を重ねていくのは大変ですが、『脱炭素経営EXPO』ならば幅広い製品やソリューションを一度に見ることができます」

脱炭素はあらゆる部分に関わるため、「横に並べて見ること」で自社の脱炭素経営に向けた課題も発見しやすくなると岡部氏も説明する。

「政府は2020年10月に『2050年カーボンニュートラル宣言』を発表しました。カーボンニュートラル化を進めなければならないことは、誰しも念頭にあります。一方で、具体的にどう取り組めばいいかわからないという意見が多く存在します。そうした経営者の方々にとって、さまざまな製品やソリューションに接することは、脱炭素経営の道筋を見いだすきっかけになっているようです」

取り組む重要性を頭では理解していても、まだ“自分事”として捉えきれない経営者やビジネスパーソンにとって、「脱炭素経営EXPO」は羅針盤の役割も果たしているということだろう。

「大手から即受注」が起こる展示会マジック

加えて、経済産業省や環境省など多数の有識者が登壇するセミナーを同時開催しているのも見逃せない。脱炭素経営について相談できるパートナー企業が見つけられるうえ、最新の“生きた情報”も得られるからだ。こうした来場者にとってのメリットは、顧客開拓を目指す出展企業にうってつけだと小笠原氏は強調する。

「まだ十分に開拓されていないカーボンニュートラルのマーケットだけに、『コロナ禍であることを差し引いても、新規顧客との接点がつくりにくい』とのお悩みを持つ出展企業は少なくありませんでした。そうした企業から、高い関心を持つ方々が集まる『脱炭素経営EXPO』は効率よくビジネスチャンスが拡大できる場だと高評価をいただいています。

即日で商談が決まったという出展企業も。脱炭素の盛り上がりを肌で感じられるイベントだ

実際、製品が非常に優れていても、リソースやノウハウ不足などの問題から、なかなか自ら売り込めない中小企業はたくさんあります。しかし弊社の展示会は、通常なら接点もなくなかなかアプローチできない大手企業の経営者が向こうからブースに立ち寄ってくれるのです。その場で商談が進んで即受注に成功したという例は数多くあります」

「集客2倍」も実現する適切なサポート

小笠原氏が続ける。「弊社は年間約90本の展示会を開催していますが、“お祭り”はしません。地に足をつけて、産業界と社会の課題解決に貢献するというコンセプトを貫いてきました。例えば出展サポートチームは、どうしたら出展企業の成果が出せるか、来場者に対してその魅力を伝えられるかを開催前だけでなく、展示会開催中も全ての出展企業のブースを回ってアドバイスしています」

アドバイスどおりにレイアウトや展示の仕方を変えただけで、集客数が2倍に伸びたといった成功事例は枚挙にいとまがないという。そのため、展示会出展経験やPRのノウハウがなくても安心だ。

また、常時最先端のテーマを取り入れて進化を遂げているため、世界の経営トレンドを把握できるのも大きな魅力といえよう。実際、現在欧州で重視されているサーキュラー・エコノミーにもすでに着手している。

「カーボンニュートラル社会を実現するには、大量生産・大量消費を前提としたリニア型経済から脱却し、循環型経済(サーキュラー・エコノミー)に基づいたビジネス変革が必要です。そこで、来年の『脱炭素経営EXPO』の春展では、『サーキュラー・エコノミーEXPO』を同時開催することも決定しました。いずれのEXPOも、出展企業にとっても来場者にとっても大きな発見があるでしょうし、私たちも想像がつかないようなソリューションが生まれる可能性もあります。カーボンニュートラル社会はどこか1社で取り組めば達成できるものではなく、志を持つ企業同士が手を取り合って達成する社会。だからこそ、リアルに人と情報が集まる展示会と相性がいいと、私たちは考えています。同じ志を持つ企業の皆様にはぜひ出展いただきたいですね」(岡部氏)

※1 4万1761名。同時開催の「第18回 スマートエネルギーWeek[春]」「第4回 資源循環EXPO」と3展合計の数値

※2 秋展は2022年8月31日から9月2日まで幕張メッセで、関西展は2022年11月16日から18日までインテックス大阪で、来年の春展は2023年の3月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催予定。